【プロ野球】追い込んだら打たれない投手は誰?2ストライク時のデータを分析
野球には、打者有利なカウントと投手有利なカウントが存在する。2ストライクの場面は、特に打球速度が下がるため投手有利なカウントだといえる。このような状況で確実にアウトを奪うことができる投手は、応援するファンにとっても観ていて安心できる存在だろう。
参考:初球の入りは大切!?カウントによる打者・投手への影響
今回は、2ストライクに追い込んでから確実に打者を打ち取れる投手について、プロ野球のデータから探っていく。
阪神・岩崎優は追い込んだら無敵!
ではまず、2ストライク時の被打率ランキングから、昨シーズン追い込んでから確実にアウトを奪った投手たちをみていこう(表1)。
順位 | 名前 (チーム) | 被打率 | 奪三振率 (%) |
---|---|---|---|
1 | 岩崎 優 (阪神) | 0.087 | 50.0 |
2 | 秋吉 亮 (日本ハム) | 0.099 | 43.2 |
3 | 千賀 滉大 (ソフトバンク) | 0.109 | 51.5 |
3 | 有原 航平 (日本ハム) | 0.109 | 47.5 |
5 | 山本 由伸 (オリックス) | 0.112 | 43.3 |
6 | 松井 裕樹 (楽天) | 0.113 | 58.8 |
7 | 増井 浩俊 (オリックス) | 0.116 | 52.0 |
8 | 宮西 尚生 (日本ハム) | 0.118 | 47.7 |
9 | 青山 浩二 (楽天) | 0.120 | 34.0 |
10 | 福 敬登 (中日) | 0.121 | 44.5 |
2ストライクでの対戦が100打席以上の投手が対象
昨シーズン最も2ストライクに強かった投手は阪神・岩崎優だった。2ストライクに追い込んでからの被打率は1割を大きく下回るという好成績を記録した。2ストライクから安打を打たれることはかなり珍しく、ひとたび追いこんでしまえば無敵といっても過言ではないだろう。
昨シーズン最多セーブのタイトルに輝いた楽天・松井裕樹は2ストライク時の奪三振率が最も高かった。2ストライクを迎えた打者のうち約6割が三振に倒れており、安定した成績を残していた。しかし、再び先発に戻った今シーズンは本来の奪三振能力を発揮しきれていない。チーム内での役割が変わったことも要因として考えられるが、今後さらに調子を取り戻してくれることに期待したい。
参考:「先発タイプ」ってどんな投手?持ち球からその適性を考える
抜群の安定感を誇る日本ハム・宮西尚生
続いて、8月24日時点での2ストライク時の被打率ランキングから、今シーズンの追い込んでから確実にアウトを奪っている投手たちをみていこう(表2)。
順位 | 名前 (チーム) | 被打率 | 奪三振率 (%) |
---|---|---|---|
1 | 宮西 尚生 (日本ハム) | 0.058 | 43.1 |
2 | モイネロ (ソフトバンク) | 0.068 | 70.4 |
3 | 清水 昇 (ヤクルト) | 0.080 | 54.5 |
4 | 島内 颯太郎 (広島) | 0.089 | 56.9 |
4 | 石川 柊太 (ソフトバンク) | 0.089 | 51.8 |
6 | 平良 海馬 (西武) | 0.093 | 49.1 |
7 | 藤浪 晋太郎 (阪神) | 0.095 | 47.9 |
8 | 上沢 直之 (日本ハム) | 0.105 | 47.9 |
8 | サンチェス (読売) | 0.105 | 32.8 |
10 | 戸郷 翔征 (読売) | 0.112 | 46.6 |
2ストライクでの対戦が50打席以上の投手が対象。8月24日時点での成績
今シーズン、2ストライク時の被打率が最も低いのは日本ハム・宮西尚生である。昨シーズンのランキングでも8位にランクインしており、シーズンをまたいでも抜群の安定感を誇っていることがわかる。プロ入り13年目のベテランの12年連続50試合以上登板、最優秀中継ぎのタイトルを3度獲得した実力は衰えを知らない。
また、ランキング2位のソフトバンク・モイネロは2ストライク時の奪三振率が最も高かった。現時点でリーグ3位の57奪三振は、中継ぎ投手としては飛び抜けた成績である。このまま好調をキープし、勝利の方程式としてチームに勢いをつけることを期待したい。
ストライク先行の投球で投手有利な状況を作れるか
今回は、2ストライクに追い込んでから確実にアウトを奪う投手たちをみてきた。彼らのような投手は、ストライク先行の投球でいかに早く2ストライクまで持っていくことができるかが重要なポイントになるだろう。西武・平良海馬や読売・戸郷翔征など新人王候補の若手もランクインしていたが、2ストライクに追い込むまでの組み立てさえ上手くいけば、どの投手も大化けする可能性が十分にあるだろう。
これからの試合では、今回紹介した投手たちが2ストライク時にどのような投球をしているのかにも注目してほしい。
Baseball Geeks編集部