最も「アツい」のは誰だ!データからみるプロ野球最強の夏男とは!
今年の梅雨は例年以上に長期化しており、夏本番までもう少し時間がかかりそうである。今年は夏の風物詩である甲子園(全国高等学校野球選手権大会)の中止もあり、より多くの野球ファンがプロ野球に注目しているかもしれない。
参考:【プロ野球】真の満塁男は誰だ!満塁最強打者ランキング
そこで今回は、これからの夏の暑さをものともしない選手や夏にこそ力を発揮するプロ野球最強「夏男」について、過去のデータから考察していく。
強打者デスパイネ・森友哉は夏にも強かった!
まずは、昨シーズンの夏に好成績を残した選手を探るため、8月のOPSランキングをみていく(表1)。
順位 | 名前 (チーム) | OPS | 出塁率 | 長打率 |
---|---|---|---|---|
1 | デスパイネ (ソフトバンク) | 1.273 | 0.436 | 0.837 |
2 | 森 友哉 (西武) | 1.183 | 0.447 | 0.736 |
3 | 木浪 聖也 (阪神) | 1.110 | 0.463 | 0.647 |
4 | 中村 剛也 (西武) | 1.105 | 0.454 | 0.651 |
5 | ロメロ (楽天) | 1.101 | 0.420 | 0.681 |
6 | アルモンテ (中日) | 1.100 | 0.440 | 0.660 |
7 | ビシエド (中日) | 1.072 | 0.422 | 0.649 |
8 | 外崎 修汰 (西武) | 1.025 | 0.431 | 0.594 |
9 | 清水 優心 (日本ハム) | 1.021 | 0.450 | 0.571 |
10 | 吉田 正尚 (オリックス) | 1.015 | 0.466 | 0.549 |
50打席以上が対象
1位はソフトバンク・デスパイネ、2位は西武・森友哉であった。両者ともに言わずと知れた強打者であり、納得の順位である。他にも強打者として名の知られた選手が多く、彼らは夏の暑さをものともせず、シーズンを通じて安定した成績を残していることがわかる。
一方、3位の阪神・木浪聖也は昨シーズンの年間OPSランキング(300打席以上が対象)で89人中75位とかなり低いにもかかわらず、8月だけの成績に注目するとかなり上位にランクインしている。年間を通して活躍したデスパイネや森よりも、夏にこそ強い木浪が「夏男」と呼ばれるべき選手かもしれない。
夏に強い木浪聖也・夏に弱い中田翔!?
ルーキーイヤー、夏に本領発揮!
そこで、続いて8月のOPSと年間OPSの差分が大きい選手をみていこう(表2)。
順位 | 名前 (チーム) | 差分 OPS | 8月 OPS | 年間 OPS |
---|---|---|---|---|
1 | 木浪 聖也 (阪神) | 0.454 | 1.110 | 0.656 |
2 | デスパイネ (ソフトバンク) | 0.399 | 1.273 | 0.874 |
3 | 雄平 (ヤクルト) | 0.236 | 0.959 | 0.723 |
4 | 森 友哉 (西武) | 0.224 | 1.183 | 0.959 |
5 | 中村 剛也 (西武) | 0.217 | 1.105 | 0.887 |
6 | 栗山 巧 (西武) | 0.215 | 0.902 | 0.687 |
7 | ビシエド (中日) | 0.202 | 1.072 | 0.870 |
8 | ロメロ (楽天) | 0.200 | 1.101 | 0.902 |
9 | 島内 宏明 (楽天) | 0.191 | 0.970 | 0.779 |
10 | 岡本 和真 (読売) | 0.186 | 1.014 | 0.828 |
8月に50打席以上、2019年通算300打席以上のみ対象
8月のOPS3位だった木浪が堂々の1位。このランキングをみても、彼はシーズンの中で夏に最も力を発揮する真の「夏男」と呼ぶにふさわしい選手といえる。
また、8月のOPSランキングで1位だったデスパイネが差分ランキングでも2位にランクインした。8月上旬にチームに合流する見込みだが、合流後早々に好成績を残してくれるだろう。
日本の4番は夏が苦手?
一方、夏を苦手とした選手たちもいる。昨シーズンの年間OPSよりも8月のOPSが低い選手についてみていこう(表3)。
順位 | 名前 (チーム) | 差分 OPS | 8月 OPS | 年間 OPS |
---|---|---|---|---|
1 | 中田 翔 (日本ハム) | -0.382 | 0.396 | 0.778 |
2 | バティスタ (広島) | -0.282 | 0.581 | 0.863 |
3 | 松田 宣浩 (ソフトバンク) | -0.267 | 0.518 | 0.785 |
4 | レアード (ロッテ) | -0.250 | 0.560 | 0.811 |
5 | 神里 和毅 (DeNA) | -0.237 | 0.492 | 0.729 |
6 | 梅野 隆太郎 (阪神) | -0.233 | 0.486 | 0.718 |
7 | 王 柏融 (日本ハム) | -0.228 | 0.419 | 0.647 |
8 | 高橋 周平 (中日) | -0.223 | 0.552 | 0.776 |
9 | 亀井 義行 (読売) | -0.186 | 0.600 | 0.786 |
10 | 中島 卓也 (日本ハム) | -0.179 | 0.343 | 0.522 |
8月に50打席以上、2019年通算300打席以上のみ対象
なんと、ワースト1位は侍ジャパンで4番を務めた経験もある日本ハム・中田翔であった。言い換えると、彼こそが昨シーズン夏を最も苦手とした選手ということである。中田は8月のOPSがかなり低くワースト1位になってしまったが、年間のOPSではNPB平均を超えている。つまり、その他の月で8月の成績をカバーすることで好打者として結果を残し続けているのだろう。
歴代最強の夏男はバレンティン!
最後に、2001年から2019年までの8月の平均OPSから、21世紀最強の夏男についてみてみよう(表4)。
順位 | 名前 (チーム) | OPS | 出塁率 | 長打率 |
---|---|---|---|---|
1 | バレンティン (ソフトバンク) | 1.078 | 0.405 | 0.673 |
2 | 鈴木 誠也 (広島) | 1.072 | 0.453 | 0.619 |
3 | ビシエド (中日) | 1.055 | 0.446 | 0.609 |
4 | T.ウッズ (中日) | 1.051 | 0.418 | 0.633 |
5 | 吉田 正尚 (オリックス) | 1.009 | 0.428 | 0.581 |
6 | セギノール (オリックス) | 1.004 | 0.394 | 0.610 |
7 | カブレラ (ソフトバンク) | 0.993 | 0.396 | 0.597 |
8 | 小笠原 道大 (中日) | 0.984 | 0.399 | 0.585 |
9 | デスパイネ (ソフトバンク) | 0.964 | 0.378 | 0.586 |
10 | 森 友哉 (西武) | 0.957 | 0.403 | 0.554 |
2001年~2019年に300打席以上が対象。OB選手のチームはNPB最終所属球団
1位から3位まではソフトバンク・バレンティン、広島・鈴木誠也、中日・ビシエドと現役選手がランクインした。彼らは、毎シーズン継続的に8月に好成績を残していることから来月もチームの勝利に大きく貢献するに違いない。
OB選手で最も順位が高かったのは、横浜(現DeNA)や中日で活躍したT.ウッズであった。彼は本塁打王のタイトルを3度獲得しており、「夏に強い」というよりは「夏にも強い」といったところだろう。
夏の暑さも吹き飛ばす活躍に期待!
今回は、プロ野球最強の「夏男」について分析してきた。年間を通じて好成績を残すことに越したことはないが、「夏と言えばこの選手!」といった名物選手がいることはファンにとって応援し甲斐があるだろう。これから夏本番を迎えるが、今回紹介した選手たちがより一層活躍してくれることを期待したい。
Baseball Geeks編集部