【パ・リーグ】2019年ポジション別OPSを比較~Aクラス編~
- 目次
- 得失点からみるパ・リーグAクラスの特徴
- 西武:超攻撃型打線で他球団を圧倒
- ソフトバンク:甲斐が打てる捕手として成長
- 楽天:正捕手の成長がチームの課題
- 複数のポジションで高いOPSを記録できるかが鍵に!
パ・リーグのポジション別OPSに注目すると、指名打者や左翼手に強打者が多く、捕手・遊撃手には得点力のある選手が起用されていない傾向がみられた。
今回は、パ・リーグの中から、昨シーズンAクラスであった3チームについてポジション別OPSからわかるそれぞれの特徴を紹介していく。
参考:ポジション別OPSからみるチーム編成と育成
得失点からみるパ・リーグAクラスの特徴
まずは、昨シーズンのパ・リーグの平均得失点状況について整理する(表1)。
リーグ優勝を果たした西武は平均得点がリーグ最多であった。平均失点も最多ではあったが、圧倒的な打力でカバーした。2位のソフトバンク、3位の楽天も平均得失点差がプラスであり、Aクラスのチームは平均得点が平均失点を上回るといった理想的な戦い方ができていたといえる。
順位 | チーム | 勝率 | 平均得点 | 平均失点 |
---|---|---|---|---|
1 | 西武 | 0.563 | 5.29 | 4.86 |
2 | ソフトバンク | 0.551 | 4.07 | 3.94 |
3 | 楽天 | 0.511 | 4.29 | 4.04 |
4 | ロッテ | 0.496 | 4.49 | 4.27 |
5 | 日本ハム | 0.471 | 3.92 | 4.10 |
6 | オリックス | 0.449 | 3.80 | 4.45 |
西武:超攻撃型打線で他球団を圧倒
さて、ここからポジション別OPSとスタメン割合(そのポジションで最も多く出場した選手の出場割合)から各球団の特徴を探っていく。
西武は、捕手・一塁手・三塁手・中堅手のOPSがリーグトップであり、リーグ平均を大きく上回っている。首位打者の森、本塁打王の山川、打点王の中村、そしてシーズン最多安打記録を持つ秋山と圧倒的な打力を見せつけ、見事リーグ2連覇に輝いた(表2)。
OPSの平均が最も低い捕手をはじめ、多くのポジションでトップのOPSを記録した超攻撃型打線であった。
一方、弱点は外野手と指名打者である。全試合スタメンであった秋山のMLBへの移籍により外野手の打力はリーグ最低レベルに落ち込む。主力の移籍後ことごとく台頭する若手が今シーズンは外野手に現れるか注目したい(表3)。
ポジション | 最多出場選手 | スタメン割合(%) |
---|---|---|
捕手 | 森 友哉 | 88 |
一塁手 | 山川 穂高 | 99 |
二塁手 | 外崎 修汰 | 98 |
三塁手 | 中村 剛也 | 87 |
遊撃手 | 源田 壮亮 | 93 |
左翼手 | 金子 侑司 | 79 |
中堅手 | 秋山 翔吾 | 100 |
右翼手 | 木村 文紀 | 80 |
指名打者 | 栗山 巧 | 68 |
ソフトバンク:甲斐が打てる捕手として成長
ソフトバンクは、左翼手・指名打者のOPSがリーグトップであった。グラシアル、デスパイネといった外国人打者の得点への貢献度の高さを示している。捕手のOPSもリーグ2位と高く、守備の要である甲斐が「打てる捕手」へと成長してきているのかもしれない(表4)。
さらに、ヤクルトから圧倒的な打力を持つバレンティンが移籍した。怪我で38試合出場に留まった柳田の復活も重なれば今シーズン以上の破壊力は間違いないだろう。
しかし、5つのポジションにおいてOPSがリーグ平均以下であり、野手は高齢化気味。レギュラーを固定できなかったポジションも多かった。ベテランの内川や柳田の復活だけでなく、若手野手の台頭にも注目したい(表5)。
ポジション | 最多出場選手 | スタメン割合(%) |
---|---|---|
捕手 | 甲斐 拓也 | 93 |
一塁手 | 内川 聖一 | 91 |
二塁手 | 明石 健志 | 43 |
三塁手 | 松田 宣浩 | 100 |
遊撃手 | 今宮 健太 | 73 |
左翼手 | グラシアル | 65 |
中堅手 | 釜元 豪 | 28 |
右翼手 | 上林 誠知 | 41 |
指名打者 | デスパイネ | 81 |
楽天:正捕手の成長がチームの課題
楽天は、二塁手・遊撃手のOPSがリーグトップであった。西武から移籍してきた浅村の存在、自己最多の141試合に出場した茂木の活躍が光った。右翼手・指名打者のOPSもリーグ平均よりも高く、強みとなるポジションも多かった(表6)。
弱点は捕手。OPSがリーグで2番目に低くレギュラーも固定できなかった。正捕手の成長が今後のチームの課題となってくるだろう。
今シーズンはオリックスからロメロ、ロッテから鈴木を獲得し、大型補強に成功した。彼らが本来の力を発揮すれば強みはさらに増す。楽天打線は今シーズン注目の一つかもしれない(表7)。
ポジション | 最多出場選手 | スタメン割合(%) |
---|---|---|
捕手 | 堀内 謙伍 | 36 |
一塁手 | 銀次 | 90 |
二塁手 | 浅村 栄斗 | 95 |
三塁手 | ウィーラー | 56 |
遊撃手 | 茂木 栄五郎 | 83 |
左翼手 | 島内 宏明 | 90 |
中堅手 | 辰己 涼介 | 62 |
右翼手 | ブラッシュ | 32 |
指名打者 | ブラッシュ | 56 |
複数のポジションで高いOPSを記録できるかが鍵に!
今回は、ポジション別OPSからパ・リーグAクラス球団の特徴をみてきた。
西武は6つのポジションにてリーグ平均以上のOPSを記録し、うち4つはリーグトップであった。ソフトバンク・楽天は4つのポジションでリーグ平均以上のOPSを記録し、それぞれ2つのポジションのOPSがリーグトップであった。9つのポジションにおいて、どれだけ強みを作れるかがチームの得点力や勝敗に関わっているといえるだろう。
次回は、パ・リーグBクラスのポジション別OPSについて考察していく。
Baseball Geeks 編集部