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プロ野球

プロ野球セ・リーグBクラスをデータ分析!OPSから見たチームの特徴とは?



目次
得失点からみるセ・リーグBクラスの特徴
広島:丸が抜けた穴をどう埋める?チームの再構築が必要か
中日:失点は最小!打撃型ポジション以外の若手の台頭に注目
ヤクルト:投打にわたる底上げが必須
今シーズンの展望

昨シーズン、セ・リーグをAクラスで終えた読売、DeNA、阪神。それぞれのポジション別OPSから読売は坂本・丸の打力で得点を積み重ねたこと、DeNAは筒香が抜けた穴が不安要素であること、阪神は守備型のチームであり攻撃面の補強が必要であることがわかった。
参考:プロ野球セ・リーグAクラスをデータ分析!OPSから見たチームの特徴とは?

今回は、昨シーズンBクラスに終わった広島、中日、ヤクルトの特徴をみていく。

得失点からみるセ・リーグBクラスの特徴

まずは、昨シーズンの順位表から各チームの得失点状況について見てみる(表1)。

広島は得点と失点が同程度で投打のバランスが取れていた。中日は失点の少なさがリーグトップで、今シーズンの成績は野手陣の得点力にかかっているといえそうだ。ヤクルトは得点こそ多かったものの、失点の多さが足を引っ張った。

表1 2019年セ・リーグ順位表
順位チーム勝率平均得点平均失点
1読売0.5464.644.01
2DeNA0.5074.174.27
3阪神0.5043.763.96
4広島0.5004.134.20
5中日0.4823.943.80
6ヤクルト0.4184.595.17

広島:丸が抜けた穴をどう埋める?チームの再構築が必要か

それではここから、ポジション別OPSとスタメン割合(そのポジションで最も多く出場した選手の出場割合)から各球団の特徴を探っていく。

広島は、鈴木が守る右翼手のOPSが飛びぬけて高い。さらに、「打てる捕手」會澤が主にマスクをかぶり、捕手のOPSもリーグトップであった(表2)。

表2 2019年広島のポジション別OPS。右翼手、鈴木のOPSが飛びぬけて高い

二人がチームの大きな強みとなっているが、課題もある。二遊間や左翼手は平均と比べ、大きなマイナスを作った。田中・菊池・丸の同年代のセンターラインが力を発揮し3連覇に貢献したが、高齢化に伴った得点力の衰退もあり、丸が抜けた穴をカバーできなかった。

また、チーム内で2番目にOPSが高い一塁手のバティスタも昨シーズン限りでチームを去った。これ以上得点力のマイナスを大きくしないためには今後の編成、育成を重要視するべきだろう。期待される若手野手の台頭が今後のチームの浮沈の鍵となる(表3)。

表3 2019年広島のスタメン割合。OPSが平均以下のポジションが多く選手を固定できていない
ポジション最多出場選手スタメン割合(%)
捕手會澤 翼70
一塁手バティスタ62
二塁手菊池 涼介96
三塁手安部 友裕48
遊撃手田中 広輔57
左翼手西川 龍馬37
中堅手西川 龍馬50
右翼手鈴木 誠也97

中日:失点は最小!打撃型ポジション以外の若手の台頭に注目

昨シーズン、リーグで最も失点が少なかった中日。しかし、攻撃面ではOPSがリーグ平均以下のポジションが多く、課題が残る(表4)。

表4 2019年中日のポジション別OPS。捕手のOPSがリーグワーストである

大きな得点源は一塁手のビシエドと三塁手の高橋。特にビシエドは攻撃型選手の多い一塁手ながら、それでも平均を大きく超えてチームの強みとなっている。

一方、捕手は全球団の全ポジションの中で最もOPSが低い。攻撃型のポジションで強みを作りながらも、得点力が伸びなかった要因の一つだろう。

レギュラーをなかなか定着させられなかった中、ドラフト4位で入団した郡司はオープン戦・練習試合で結果を残している。郡司が「打てる捕手」として定着すれば、大きく勝ち星を伸ばす可能性も出てくる(表5)。

表5 2019年中日のスタメン割合。強打者ビシエドは一塁手で固定されている
ポジション最多出場選手スタメン割合(%)
捕手加藤 匠馬52
一塁手ビシエド99
二塁手阿部 寿樹80
三塁手高橋 周平80
遊撃手京田 陽太93
左翼手福田 永将42
中堅手大島 洋平99
右翼手平田 良介66

ヤクルト:投打にわたる底上げが必須

リーグ最下位だったヤクルト。しかし、チームの平均OPSは読売に次ぐ2位であった(表6)。

表6 2019年ヤクルトのポジション別OPS。二塁手と左翼手のOPSが平均大きく上回っている

高いOPSへの貢献が大きかったのは二塁手の山田と左翼手のバレンティン。この二人の得点力は他球団の同ポジションの選手と比べてもかなり大きかった。バレンティンの移籍は今季のチームに大きな影響を与えるだろう。

ヤクルトの外野陣は、バレンティンが守る左翼手以外の右翼手、中堅手でOPSがリーグ平均以下である。これ以上弱点にならないよう、外野手の起用や育成はポイントとなる。

また、三塁手のOPSもリーグ平均を大きく下回っている。加えて、スタメン割合が45%と低いことを考慮すると、このポジションへの安定した得点源の配置も課題の1つである。村上を我慢強く三塁手で起用できれば、今後のチーム作りに大きく好影響を与えるだろう(表7)。

表7 2019年ヤクルトのスタメン割合。三遊間の入れ替わりが激しい
ポジション最多出場選手スタメン割合(%)
捕手中村 悠平77
一塁手村上 宗隆82
二塁手山田 哲人98
三塁手太田 賢吾45
遊撃手奥村 展征36
左翼手バレンティン73
中堅手青木 宣親78
右翼手雄平75

今シーズンの展望

今回は、ポジション別OPSから昨季のセ・リーグでBクラスだった3チームの特徴をみてきた。
広島は鈴木、會澤に次ぐ得点力のある選手をスタメンに固定させたい。中日は既に失点の少なさでリーグトップであるため、今後はOPSのマイナスが大きいポジションの得点力を底上げして「打てるチーム」を目指していきたい。ヤクルトは昨シーズンの失点の多さから守備面の改善が急がれるが、打力の大黒柱であったバレンティンが移籍したことで今シーズンは打撃面でも不安が残る。

前編と後編にわたり、ポジション別OPSからセ・リーグの特徴について考察してきた。次回はパ・リーグ編を紹介したい。

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Baseball Geeks 編集部