プロ野球セ・リーグAクラスをデータ分析!OPSから見たチームの特徴とは?
昨シーズンのセ・リーグは首位読売が2位DeNAに5.5ゲーム差をつけて優勝し、幕を閉じた。しかし、その読売をはじめとする多くチームが左翼手・右翼手で強打者を起用しているものの、捕手・遊撃手を得点源として活用できていないという特徴がある。
今回は、セ・リーグの中から、昨シーズンAクラスであった3チームについてポジション別OPSからわかるそれぞれの特徴を紹介していく。
参考:ポジション別OPSからみるチーム編成と育成
得失点からみるセ・リーグAクラスの特徴
まずは、昨シーズンの順位表から各チームの得失点状況について見てみる(表1)。
リーグ優勝を果たした読売は得点がリーグトップで失点も少なく、まさに理想的なチームであった。DeNAは得点と失点が同程度で投打のバランスが取れていた。阪神は得点でリーグワーストだったが、最終的にはAクラスでシーズンを終えており、その失点の少なさからも超守備型のチームであったといえる。
順位 | チーム | 勝率 | 平均得点 | 平均失点 |
---|---|---|---|---|
1 | 読売 | 0.546 | 4.64 | 4.01 |
2 | DeNA | 0.507 | 4.17 | 4.27 |
3 | 阪神 | 0.504 | 3.76 | 3.96 |
4 | 広島 | 0.500 | 4.13 | 4.20 |
5 | 中日 | 0.482 | 3.94 | 3.80 |
6 | ヤクルト | 0.418 | 4.59 | 5.17 |
読売:坂本・丸の得点力で他球団を圧倒
では、ここからポジション別OPSとスタメン割合(そのポジションで最も多く出場した選手の出場割合)から各球団の特徴を探っていく。
リーグ優勝を果たした読売は、遊撃手と中堅手のOPSがリーグ平均を大きく上回った(表2)。ほぼ全試合で坂本と丸が固定されおり、得点への貢献度の高さがうかがえる。特に、遊撃手は2番目にOPSが低いポジションであり、チーム最大の強みとなっている。
また、二塁手以外目立った弱みがなく、攻撃型ポジションでも平均程度を保てた。岡本のコンバートや外国人選手の入れ替わりにより、布陣は大きく変わることも予想されるが、弱みを作らずに強みを残していければ、今シーズンもその攻撃力には大きく期待できるだろう。
ポジション | 最多出場選手 | スタメン割合(%) |
---|---|---|
捕手 | 小林 誠司 | 48 |
一塁手 | 岡本 和真 | 48 |
二塁手 | 若林 晃弘 | 40 |
三塁手 | ビヤヌエバ | 39 |
遊撃手 | 坂本 勇人 | 99 |
左翼手 | ゲレーロ | 57 |
中堅手 | 丸 佳浩 | 99 |
右翼手 | 亀井 善行 | 66 |
二塁手は、攻撃力が低くスタメンも固定できなかった。まずは平均程度の打力を有する二塁手の台頭が待たれる(表3)。
DeNA:筒香が抜けた穴をカバーできるか
DeNAは、三塁手のOPSがリーグトップ。また、二塁手・左翼手・右翼手も強みとなった(表4)。
ただし、今シーズン左翼手の筒香がメジャーへ移籍。主砲の移籍はチームにとって大きなダメージになりそうだ。穴埋めとして期待がかかるのが新外国人のオースティン。一塁手か外野手で起用される見込みである。いずれにせよ、投打のバランスを保つためには彼の活躍は必要不可欠になるだろう。
また、二塁手と右翼手で最も出場した選手はソトであった。どちらもリーグ平均以上のOPSを記録しているが、逆に言えば強みは同時に一つのポジションしか作れていないともいえる。得点力がある彼が内外野2つのポジションを守れることは大きなアドバンテージであるが、チームとしての強みを作るためにも得点源になる代替選手を固定させたい(表5)。
ポジション | 最多出場選手 | スタメン割合(%) |
---|---|---|
捕手 | 伊藤 光 | 56 |
一塁手 | ロペス | 98 |
二塁手 | ソト | 36 |
三塁手 | 宮﨑 敏郎 | 78 |
遊撃手 | 大和 | 86 |
左翼手 | 筒香 嘉智 | 71 |
中堅手 | 神里 和毅 | 68 |
右翼手 | ソト | 57 |
阪神:得点源の確保が求められる
阪神は、投手を除く8ポジション中6ポジションにおいてOPSがリーグ平均を下回った。Aクラス入りはしたものの、今後勝ち星を伸ばすためには、まずはリーグ平均程度のOPSを確保したい(表6)。
しかし、阪神はそれぞれのポジションで固定された選手が起用されている傾向にある。最も入れ替わりが多い遊撃手でも同一選手が60%以上起用されている。代替選手の台頭がなければ、大きな上積みは期待できないかもしれない(表7)。
ポジション | 最多出場選手 | スタメン割合(%) |
---|---|---|
捕手 | 梅野 隆太郎 | 85 |
一塁手 | マルテ | 72 |
二塁手 | 糸原 健斗 | 81 |
三塁手 | 大山 悠輔 | 89 |
遊撃手 | 木浪 聖也 | 62 |
左翼手 | 福留 孝介 | 66 |
中堅手 | 近本 光司 | 95 |
右翼手 | 糸井 嘉男 | 67 |
新外国人は今シーズンはボーア、サンズと2人が入団した。昨シーズン片鱗をみせたマルテとともに、打撃陣を引っ張る存在になることに期待したい。
今シーズンの展望
今回はセ・リーグAクラスの3チームの特徴をみてきた。
昨シーズンリーグ優勝を果たした読売は、坂本、丸の存在が大きく、今シーズンも多くの得点を稼げるだろう。しかし、最多勝投手の山口が抜け、投手力はやや不安が募る。若手の育成も図り、長期に強いチームを作りたい。
DeNAはチーム1の主力打者を欠いて今シーズンを迎える。得点力として期待がかかる新たな助っ人でこの穴埋めを図り、昨シーズン以上の結果を残せるか注目である。
守備型のチームである阪神はOPSがリーグ平均を下回るポジションが多い。そのため、今シーズンリーグ優勝を狙うためには打線の強化は必須であり、より多くのポジションで得点に貢献できる選手が出てきてほしい。
次回は引き続き、セ・リーグBクラスの3チームについてその特徴を探っていく。
Baseball Geeks 編集部