ピタゴラス勝率から振り返るプロ野球~5月編~
開幕してから約2か月が経ち、シーズン前半戦も中盤に差し掛かってきた。うまく勝ち星を積み上げているチームもあれば、思うように勝ち星をあげられていないチームもある。
今回は「平均得失点」と「ピタゴラス勝率」という指標を用いて、5月(5月23日時点)の各チームの戦いを振り返る。ピタゴラス勝率について、詳しくは下記の記事を見てほしい。
参考:データで順位を大胆予想!ピタゴラス勝率でみる今季プロ野球の展望は!
今月も阪神・ソフトバンクは好調をキープ!
まず、セ・リーグの平均得失点をみていく(表1)。
平均得点が最も高いのは3位のヤクルトだ。新外国人のホセ・オスナとドミンゴ・サンタナも合流し、打撃型のチームとなった。平均失点が最も少ないのは5位の中日だ。防御率リーグトップ(5月23日時点)の柳裕也を筆頭に投手陣は好調なようだ。しかし、平均得点はリーグ最下位と得点力不足を改善できず、順位を上げるには至っていない。最下位に沈んでいるDeNAは平均失点がリーグワーストだ。5月3日にチームに合流したピープルズが好投を見せているなど、先月と比較すると上向きになってきつつあるため今後に期待したい。また、意外にも首位を走る阪神は、平均得点と平均失点が等しくなっている。
参考:【2021年】新外国人打者No.1は誰だ!打球データを徹底分析!
次に、パ・リーグの平均得失点をみてみよう(表2)。
首位のソフトバンクは、平均得点・平均失点ともにリーグトップであり、投打で好調なようだ。5位のオリックスは、平均失点がリーグワーストだ。5失点以上の試合は9試合もあり、慢性的に失点が多いことがうかがえる。最下位の日本ハムは、得点力が圧倒的に低い。完封負けした試合はないものの、5得点以上の試合は3試合のみであった。チームの顔である中田翔が不振により登録抹消されるなどチーム状況は厳しいが、打力の向上が急務だろう。
差が開いてきたセ・リーグ、混戦が続くパ・リーグ!
続いて、各球団の5月のピタゴラス勝率と実際の勝率をみてみよう(図1)。
阪神は、ピタゴラス勝率を実際の勝率が2割以上も上回っている。5月7日に12失点(6得点)、5月18日に14失点(3得点)と大量失点を喫した試合もあったが、1点差で勝ちきった試合も4試合あった。上手く負け試合を作り、接戦はものにできているようだ。
一方、広島はピタゴラス勝率を実際の勝率が1割以上下回ってしまっている。5月14日の9得点(2失点)、5月19日の10得点(2失点)と大量得点をした日もあったが、完封された試合も3試合あり、阪神とは対照的である。
最後に、各球団の開幕から今までのピタゴラス勝率と実際の勝率をみてみよう(図2)。先月と比較すると、実際の勝率がピタゴラス勝率に近づいている球団が多い。
阪神・読売は、先月の時点では実際の勝率がピタゴラス勝率を下回っていたが、今月は上回った。また先月、実際の勝率がピタゴラス勝率を5分以上も下回ってしまっていたDeNA・オリックス・ロッテは、今月もまだ下回ってしまっているものの改善はされている。今後順位の入れ替えが起こる可能性も高いのではないか。
参考:ピタゴラス勝率から振り返るプロ野球~3・4月編~
セ・パ交流戦で波乱は起こるか?
「平均得失点」と「ピタゴラス勝率」の観点から、5月の戦いを振り返った。25日からは2年ぶりの交流戦も始まり、大きな盛り上がりをみせている。例年様々なドラマが生まれる交流戦。今年はどのような戦いを見ることができるのか楽しみだ。
Baseball Geeks編集部