ピタゴラス勝率から振り返るプロ野球~3・4月編~
プロ野球が開幕して1ヶ月が経過した。佐々木朗希(ロッテ)が28年ぶりの完全試合達成、大勢(読売)が4月までのプロ野球最多セーブ記録に王手をかけるなど、若手選手の大記録が集まる1ヶ月となった。
今回は、「平均得失点」と「ピタゴラス勝率」という指標を用いて、開幕から4月25日時点までの各チームの戦いを振り返る。ピタゴラス勝率について、詳しくは下記の記事を見てほしい。
参考:データで順位を大胆予想!ピタゴラス勝率でみる今季プロ野球の展望は!
セは熾烈な首位争い、パは楽天が好発進
まず、セ・リーグの平均得失点表をみていく(表1)。
広島は、リーグの中で平均得点が最も多く、平均失点が最も少ない。特に注目したいのは点の取り方だ。チーム打率・犠打数・犠飛数がリーグ1位、本塁打数はリーグ最下位といういわゆる「スモール・ベースボール」を展開している。首位を読売に許してしまっているが、再び首位の座に返り咲くことができるのかに注目したい。
一方、平均得点が最も少ないのは最下位の阪神だ。唯一平均得点が2点台を記録している。得点力を上げることが順位浮上の鍵になりそうだ。5位のDeNAは平均失点がリーグで最も多い。チーム防御率もリーグ最下位であり、5失点以上を記録した試合が10試合もある。投手陣の再建が急務だろう。
次に、パ・リーグの得失点表をみてみよう(表2)。
首位である楽天は、リーグの中で最も平均得点が多い。平均失点もリーグ2位の成績であり、投手・野手ともに順調なスタートダッシュが切れたといえよう。平均得点がリーグ最下位の西武は、主力である森友哉・山川穂高の怪我による離脱で苦しい試合が多かった。ここからの挽回に期待したい。
平均失点が最も少ないのはオリックスだ。昨シーズンの投手タイトルをほぼ総なめした山本由伸や新外国人選手であるジェシー・ビドルの好投などがプラスに作用しているといえる。最下位の日本ハムは平均失点が最も高い。リーグ唯一の4点台を記録し、他チームと比較しても1点近くの差が生まれている。しかし、平均得点は楽天・ソフトバンクに次ぐ成績だ。いかに失点を減らせるかが最下位脱出のポイントになるだろう。
参考:オリックスの新外国人ビドルとワゲスパックを分析!連覇に向けて厚みを増す投手陣!
ピタゴラス勝率と実際の勝率を比較
次に、各球団のピタゴラス勝率と実際の勝率を比較していく(図1)。
図1をみると、実際の順位とピタゴラス勝率の順位が異なる結果となっている。読売・オリックス・ヤクルトは、実際の勝率がピタゴラス勝率を大きく上回っている。
読売は、期待のルーキーである大勢が勝利の方程式を担い、接戦をものにしている。ヤクルトは、4月7日、4月24日に11失点(3得点)と大量失点をしたが、ピタゴラス勝率の観点からみればいい負け方をしているとも考えられる。オリックスは、昨シーズン本塁打王を獲得した杉本裕太郎の不調により得点力不足が続いているものの、上手く勝てているといえるのではないか。
一方、ロッテ・阪神は実際の勝率がピタゴラス勝率を1割以上も下回ってしまっている。統計的にはもっと勝てていてもおかしくないということだ。得失点差をどう勝利に結びつけるかが今後のポイントとなりそうだ。
今年も勝率の変化に注目
今回は、平均得失点とピタゴラス勝率の観点から、ここまでの戦いを振り返った。現時点では試合数が少ないこともあり、ピタゴラス勝率と実際の勝率が大きく異なる球団もあった。今年もこのような振り返りを毎月行う予定である。まだシーズンは始まったばかり。どのような戦いを見ることができるのか楽しみだ。
Baseball Geeks編集部