【オリンピック野球:傾向と対策】ドミニカ共和国代表ハン・マリネス!武器はサイヤング賞投手にそっくりなスライダー!
東京オリンピック野球競技の開幕がいよいよ間近となってきた。日本代表の初戦の相手はドミニカ共和国代表だ。
そこで今回は、メジャー経験のあるドミニカ共和国代表の投手ハン・マリネスをメジャー在籍時(2018年)のトラッキングデータを使って分析していく。
マリネスは、約5年間メジャーでプレーし7球団渡り歩いた選手だ。主に中継ぎとして、メジャー通算103試合に登板している。2018年にボルティモア・オリオールズ退団以降メジャー球団の在籍はなく、現在は無所属。
参考:【オリンピック野球】ドミニカ共和国代表と注目選手を紹介!元トロント・ブルージェイズの主砲バティスタに注目!
球速がメジャー平均以上の速球系とスライダーの2球種で勝負!
まず、平均球速と投球割合をみていく(表)。
どの球種もメジャー平均を上回る球速を記録している。特にチェンジアップは、投球割合は少ないものの、平均球速が148キロとメジャー平均よりも大幅に速い球になっている。
※2018年のトラッキングデータを使用。カッコ内は、2018年のメジャー平均
投球割合をみると、2シームが45%、スライダーが37%となっている。2シームと4シームの速球系の割合が50%を超えており、速球系とスライダーの2球種を軸にした投手だ。
サイヤング賞投手と似たスライダー?!
次にボール変化量をみていく(図1)。
速球系のボールは、メジャー平均よりもシュート成分が大きく、ホップ成分が小さいため、高速かつ左打者の場合沈むように逃げていくようなボールとなっている。そのため、ゴロに打ちとりやすい球質といえるだろう。
スライダーは、いわゆる「縦スラ」といわれる縦に落ちるスライダーだ。
参考:「変化量」からみるボールの特性とは?トラッキングデータを指導に活かそう
球速比が90%付近でこの球質のため、空振りがとりやすいスライダーといえるだろう。また、マリネスのこのスライダーは、変化量・球速・球速比ともに2020年サイヤング賞投手シェーン・ビーバー(インディアンス)のスライダーと似ていると言えるだろう。
参考:サイ・ヤング賞最有力候補をデータで分析!投手三冠に輝いたビーバーの球質とは
対左打者と対右打者で違ったボールを投げる!
次に、対左打者と対右打者でのボール到達位置を比較していく(図2・3)。
マリネスは対左(図2)では、2シームをアウトコースへ投げており、4シームはほとんど投げていないことが分かった。マリネスの2シームは、左打者に対して沈みながら逃げていくようなボールであるため、ゴロや空振りが多くなるだろう。
スライダーは、外から内に巻く使い方と足元に曲がって落ちてくるような使い方をしていることが分かった。
対右(図3)は、左打者にあまり使っていない4シームを多く投げている。また、スライダーをアウトコース低めボールを集めて空振りをとろうとしていることが分かる。右打者は、この縦に落ちるスライダーに注意だ。
最後に、リスク管理をみてみる(図4)。
対左打者時では、ゴロ割合が高いことが特徴だ。前述した2シームの球質および投げる場所が大きく影響しているだろう。
対右打者時は決め球がスライダーのみで、ボールが真ん中に集まっているため外野フライやライナーが多い可能性がある。
ハン・マリネスをどのように攻略すればよいのか?
今回は、ドミニカ共和国代表のハン・マリネスを紹介した。マリネスのスライダーは縦に落差のあるボールなので厄介だろう。縦スライダーには注意が必要だ。また、日本代表はマリネスのウィークポイントである右打者でどれだけ打てるかがカギになりそうだ。
- ハン・マリネスの対策
【左打者】
・左打者に対するアウトコースへの沈みながら逃げていくような2シームに要注意!
・インコースの膝の高さからインコース低めのボールゾーンへ落ちる縦スラに注意!
【右打者】
攻略のカギは右打者!鈴木誠也(広島)・山田哲人(ヤクルト)ら右打者がどれだけ打つことができるかに注目!
アウトコースへの縦スラに注意!
2016年ミルウォーキー・ブルワーズ在籍時の川崎宗則との対戦
- ハン・マリネスのプロフィール
Jhan Marinez
1988年生まれ8月12日生まれ
フロリダマーリンズ(2010)ーホワイトソックス(2012)ーレイズ(2016)ーブルワーズ(2016-2017)ーパイレーツ(2017)ーレンジャース(2017)ーオリオールズ(2018)
【メジャー通算成績】
103試合 1勝5敗 防御率3.56
Baseball Geeks編集部