【オリンピック野球:傾向と対策】ドミニカ共和国代表エンジェル・サンチェス!現読売の先発投手を分析!
侍ジャパンの東京オリンピック初戦が目前だ。初戦の相手は、ドミニカ共和国代表である。
今回は、現在読売で活躍しているドミニカ共和国代表の投手エンジェル・サンチェスをメジャー時代のトラッキングデータ(2017年)を使って分析していく。
サンチェスは、昨年プロ野球で15試合登板、8勝4敗という好成績を残した。メジャー登板は、2017年にパイレーツでの8登板のみとなっている。
参考:【オリンピック野球】ドミニカ共和国代表と注目選手を紹介!元トロント・ブルージェイズの主砲バティスタに注目!
4シームを軸に多彩な変化球で勝負!
まず、平均球速と投球割合をみていく(表)。
どの球種もメジャー平均を上回る球速を記録している。4シーム・カットボール・チェンジアップは、特に高速なボールである。
※2017年のトラッキングデータを使用。カッコ内は、2017年のメジャー平均
投球割合をみると、4シームが約半分を占めており、サンチェスの投球の軸といえるだろう。また多彩な球種を使って投球を組み立てる投手だ。読売移籍後、スプリットを多く投球し始めたことで、より狙い球が絞りづらい投手となっている。
曲がらないカットボール?!
次に、ボール変化量をみていく(図1)。
速球系のボールは、メジャー平均よりもホップ成分が大きく、シュート成分が大きいボールとなっている。
カットボールは、スライド成分が少なくシュート成分を含んだボールで、変化量はいわゆる「真っスラ」に近いボールだ。横の変化量のばらつきが大きく、打者目線では、スライダー(ジャイロ回転)しているのに曲がらないボールだ。ボールによっては、ジャイロ回転しているのにシュートしてくるように感じるだろう。
カーブは、いわゆる「パワーカーブ」だ。球速が130キロあり、縦に落差のあるボールとなっている。
プロ野球で投げ始めたスプリットがカギ?
次に、対左打者と対右打者でのボール到達位置を比較していく(図2・3)。
対左は、アウトコースを中心に投げている。また、チェンジアップを対右よりも多く投げている。
対右では、カットボールをより多く投げている。
最後に、リスク管理をみてみる(図4)。
対左・対右ともに「外野フライ+ライナー」と「本塁打」の割合の合計がメジャー平均よりも割合が高い。特に対左での、本塁打割合がとても高い。メジャー当時(2017年)は、決め球がなく多くの球種で真ん中付近に集まってきてしまったため本塁打の割合が高くなった可能性がある。しかし、現在はスプリットを投げているため変わってくる可能性がある。
エンジェル・サンチェスをどのように攻略すればよいのか?
今回は、ドミニカ共和国代表のエンジェル・サンチェスを紹介した。今シーズンは、プロ野球で14試合5勝5敗とまずまずの投球をしている。日本の環境に慣れていることから先発で多くの登板機会があると考えられる。警戒すべきポイントは、バランス良く多彩な球種で投球している点だ。特に、メジャー当時では投げていなく、プロ野球で決め球として使っているスプリットには要注意だ。
- エンジェル・サンチェスの対策
【左打者】
・決め球として使われるスプリット
・インコースへのカットボール
【右打者】
・アウトコースへのカットボール
- エンジェル・サンチェスのプロフィール
1989年11月28日生まれ
パイレーツ(2017)ーSKワイバーンズ(2018-2019)ー読売(2020-)
メジャー通算 8試合 1勝0敗 防御率8.76
KBO通算 57試合 25勝13敗 防御率3.68
プロ野球通算 29試合 13勝9敗 防御率3.81(7/28日現在)
Baseball Geeks編集部