【オリンピック野球:傾向と対策】アメリカ代表エドウィン・ジャクソン!高速に動くボールで勝負!
先日、日本代表はノックアウトステージ第2ラウンドでアメリカと対戦し、延長戦の末7-6で勝利をおさめた。今回は、日本戦で登板し、サヨナラヒットを打たれたアメリカ代表エドウィン・ジャクソンを、メジャー在籍時(2019年)のトラッキングデータを使って分析していく。
ジャクソンは、メジャーで17年間、14球団でプレーした選手だ。主に先発として活躍し、最多登板は、2015年の47試合だ。
速球系の割合が少なく、バランスよく球種を使い分ける!
まず、平均球速と投球割合をみていく(表1)。
カットボールとチェンジアップをのぞいた他の球種は、メジャー平均並みの球速となっている。
投球割合は、4シーム・カットボール・スライダーの3球種が20%を超えており、バランスの良い投球をしている。近年、メジャーのトレンドは4シームの割合を減らして他球種と近い割合で投球することである。そのため、ジャクソンは、投球割合だけをみるとトレンドに近いような投球をしていることが分かった。
2019年のトラッキングデータを使用。カッコ内は2019年のメジャー平均
高速で小さく動くボールを駆使!
次にボール変化量をみていく(図1)。
4シームは、メジャー平均よりもシュート成分が少なく、ホップ成分が少ないボールだ。いわゆる「真っスラ」で「沈む」ようなボールとなっている。そのため、ゴロを多く奪いやすい球質だ。
カットボールと2シームは、4シームとの変化量の差分が少なく4シームに近いボールとなっている。2球種ともに4シームに近い球速であるため、4シームとの判別がつきづらい球種だろう。
また、チェンジアップは、落差があるチェンジアップではなく、シュートをするような奥行き型チェンジアップだ。
ジャクソンの全球種の変化量は、バラつきが大きく、いわゆる「動くボール」ようなボールである。そのため、打者は、正確にボールをコンタクトしていくことがより重要になってくるだろう。
ゾーン内で勝負してくる
次に、対左打者と対右打者でのボール到達位置を比較していく。
左打者に対しては、右打者と比べて2シームとチェンジアップをアウトコースへ多く投げていることが分かる(図2)。ジャクソンの2シームとチェンジアップは、ドロップ成分が少ないボールであるため外にシュートして逃げていくようなボールだ。
右打者に対しては、スライダーをアウトコース低めへ多く投げており、空振りを狙っている(図3)。基本的に決め球がスライダーのみのため速球系に的を絞ることで攻略できるのではないだろうか。
ジャクソンは、昨今流行りの高めの速球系は少なく、低めに多く集めてゴロを打たせるスタイルの投手だ。空振りを奪うボールはスライダーのみでゾーン内で勝負してくるため積極的に打っていく必要があるだろう。
最後に、リスク管理をみてみる(図4)。
左右どちらの打者に対しても完全アウトが少ないところが特徴だ。
左打者に対しては、「外野フライ+ライナー」の割合が多くなっている。左打者に対しての空振りを奪うようなボールがないため、左打者が攻略のカギとなってくるだろう。
一方、右打者に対してはゴロの割合が高くなっている。対左よりもスライダーとカットボールの投球割合が高く、低めに集めていることからゴロが多くなっている可能性がある。
エドウィン・ジャクソンをどのように攻略すればよいか?
今回は、アメリカ代表のエドウィン・ジャクソンを紹介した。
空振りを奪うようなボールは、対右打者へのスライダーのみで、いかに左打席で打ち崩すことができるかがカギになってくるだろう。
- エドウィン・ジャクソンの対策
・⽇本では多くない沈む系の速球である。また、⾼速に⼩さく変化する球種が多く、ピッチトンネルを構成できる球種が多い。
・ゴロになりやすいが、タイミングを⼤きく外すボールはないため、速球系球種を張ってゴロでも野⼿の間を抜けるような強い打球を打つことがカギだ。(速球系を甲斐拓也が見事に打ち、サヨナラヒットになった)
【左打者】
・高速で落差の少ない2シームとチェンジアップ
・左打者への決め球となる球種がないため、左打者が攻略のカギ!
【右打者】
・アウトコース低めへのスライダー
・4シームに近いカットボールがゴロになりやすいため注意!
エドウィン・ジャクソンのMLB時代の投球ハイライト
- エドウィン・ジャクソン
Edwin Jackson
1983年9月9日
ドジャース(2003-2005)ータンパベイ・デビルレイズ(2006-2007)ータンパベイ・レイズ(2008)ータイガース(2009)ーダイヤモンドバックス(2010)ーホワイトソックス(2010-2011)ーカージナルス(2011)ーナショナルズ(2012)ーカブス(2013-2015)ーブレーブス(2015)ーマーリンズ(2016)ーパドレス(2016)ーオリオールズ(2017)ーナショナルズ(2017)ーアスレチックス(2018)ーブルージェイズ(2019)ータイガース(2019)
【メジャー通算】 412試合 107勝 133敗 防御率4.78
Baseball Geeks編集部