ソフトバンクの新外国人チャットウッドを分析!高速で大きく落ちるカットボールに注目!
昨シーズン、リーグ4位で8年ぶりのBクラスという悔しい結果に終わったソフトバンク。平均失点は「3.46点」とリーグ最小であったが、故障者が続出し精彩を欠く試合も多かった。また、昨シーズン21試合に先発し9勝、防御率1.60を誇ったニック・マルティネスがパドレスへ移籍となり退団。
そこで先発ローテーションの穴を埋めるべく、メジャー通算229登板(143先発)を誇るタイラー・チャットウッドを獲得した。今回は、チャットウッドのメジャー時代の投球をトラッキングデータから分析していく。
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2シームとカットボールが投球の中心!
まず、投球割合と平均球速をみていく(表1)。2シームとカットボールが全投球の8割以上を占めており、主にこの2球種でピッチングを組み立てているようだ。平均球速をみると、4シームや2シームといった速球系の球速はメジャー平均を上回っている。プロ野球ではかなり速い部類で、先発投手としては最速を記録する可能性も考えられる。動くボールが投球の中心かつ球が速いというのが、チャドウッドの特徴だろう。
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2021年のデータを分析。カッコ内はメジャー平均。
続いて、ボールの変化量をみていく(図1)。最も投球割合の高い2シームは、メジャー平均よりもホップ成分が少し大きく、4シームと近い変化をしている。打者の手元で小さく動くボールで、芯を外してゴロを打たせたい場面で有効になるだろう。
チャットウッドの決め球であるカットボールは、メジャー平均よりも大きく落ちるスライダーに近い変化で、なおかつ高速である。ダルビッシュ有(パドレス)のカットボールのように空振りも奪えるような球質で、空振り率「4割」を誇っている。カーブは、変化量のばらつきが大きく不安定だ。球速は遅く、ピッチトンネルは構成せず、打者のタイミングを外したい場面や、カウントを整えるのに有効だろう。
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課題はコントロール!
ここで、リスク管理表をみてみよう(図2)。完全アウト・ゴロの割合はともにメジャー平均ほどで、三振を奪うこともゴロを打たすこともできる「ハイブリッド型」の投手だ。懸念点としては、四死球が多いことが挙げられる。2018年には103.2回を投げ、95与四球でリーグワーストを記録してしまうほどの荒れ球だ。
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最後にカットボールの到達位置をみてみる(図3・4)。外角低めに投球されたカットボールでは空振りを奪えているが、真ん中に投球されたカットボールは空振りになってないことがわかる。外野フライや本塁打の割合も少なく、メジャーでも球威でおせているため、制球が安定すればプロ野球でも失点リスクの小さいピッチングが期待できるだろう。
※赤いエリアほど投球率が高い。
王座奪還への戦力となれるか!
ここまで、ソフトバンクに入団が決まったチャットウッドについてみてきた。2017年には投手ポジションで優秀守備選手賞を受賞しており、フィールディングにも定評があるようだ。エース千賀滉大や、再契約されたコリン・レイなどとともに、メジャー経験も豊富な右腕がソフトバンクを優勝へ導くことを期待したい。
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- タイラー・チャットウッド
Tyler Chatwood
1989年12月16日 右投右打
エンゼルス(2011)ーロッキーズ(2012-2017)ーカブス(2018-2020)ーブルージェイズ(2021)ージャイアンツ(2021)ーソフトバンク(2022)
【メジャー通算成績】229試合(143先発) 52勝60敗 5セーブ 15ホールド 防御率4.45
Baseball Geeks編集部