読売の新外国人シューメーカーを分析!最高勝率右腕がパワーアップして来日!!
昨シーズン3位に終わり、3連覇を果たすことができなかった読売。優勝するためのさらなる補強として、メジャーで100試合以上の先発経験があるマット・シューメーカーを補強した。シューメーカーは2014年には16勝でリーグの最高勝率を記録、その年の日米野球では前田健太・大谷翔平と投げあい10イニングで自責点2と素晴らしいピッチングを披露した。メジャーでは日本人選手との共演も多く、トレードマークのヒゲに見覚えのある読者も多いと思われる。
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シューメーカーは昨シーズン、ツインズで16試合に登板(11先発)して3勝8敗、防御率8.06という不本意な結果に終わってしまった。果たして日本球界ではどの程度活躍できる可能性があるのだろうか。本記事では2021年のトラッキングデータをもとに、再起を誓うベテラン右腕の分析を行う。
スプリットを主体とする珍しい投手
まず、平均球速と投球割合をみていく(表1)。4シームの球速はメジャー平均を下回っているが、プロ野球では平均以上となっている。投球割合をみるとスプリットが一番高く、続いてスライダーと4シームになっている。スプリットを投げる投手が多くないメジャーにおいて、スプリットを主体とする珍しい投手といえる。
2021年シーズンのデータを分析。カッコ内はメジャー平均
続いて、ボールの変化量をみていく(図1)。4シームは、メジャー平均よりもシュート成分が大きく、他球種もシュート成分が大きくなっている。どちらかというと、空振りよりもゴロを奪いやすい球質といえる。特徴的なのはスライダーで、縦に落ちるタイプとカーブに近いタイプを投げ分けているようだ。後者は日本でカーブやスラーブと呼ばれることもあるだろう。
圧倒的なコントロールが武器
リスク管理表をみると、メジャー平均よりも完全アウトの割合が低く、その分ゴロの割合が高くなっている(図2)。特に奪三振率で著しく低い値を記録しており、大きな課題といえる。また、被本塁打率も高いため、本塁打が多い東京ドームでの登板にむけて不安が残る結果となっている。
ここまで不安要素を挙げてきたが、活躍を期待させるようなポジティブな変化もある。それは近年球速が向上していることだ(表2)。どの球種もデビュー当時に比べてスピードがあがっており、球速という点では35歳になった今でもパワーアップを続けている。被打球速度をみると特に4シームが痛打されやすくなっており、打者のトレンドの変化によって4シームが狙いうちされるようになった可能性が考えられる。シューメーカーのピッチング自体は変化しておらず、2014年当時の活躍を日本で再現してくれる望みはあるといえよう。
参考: フライボール革命は日本人にも可能か?長打量産に必要なものは?
上段が2015年、下段が2021年のデータ。投手にとってポジティブな変化を赤色で、ネガティブな変化を青色で塗った。
悩める読売先発陣の救世主となれるか
今回は、読売に入団が決まったシューメーカーの投球をみてきた。活躍したのが8年前という点が不安視されることもあるが、球速という点では今もパワーアップを続けていることがわかった。怪我が多いため完投完封を期待するのは難しそうだが、ローテーションをしっかり守ってくれる頼もしい存在になることは十分に考えられる。悩める先発陣の救世主になれるか注目だ。
- マット・シューメーカー
Matthew David Shoemaker
1986年9月27日生まれ(35歳)、右投右打
エンゼルス(2013-2018)ーブルージェイズ(2019-2020)ーツインズ(2021)ー読売(2022)
【メジャー通算成績】128試合(115先発) 46勝41敗 防御率4.24
Baseball Geek編集部