広島の新外国人アンダーソンとターリーを分析!タイプの異なる2人に期待!
昨シーズン4位に終わった広島。平均失点「4.15点」はリーグ5位であり投手力が課題となった。今回は、広島への入団が決まった2人の新外国人投手、ドリュー・アンダーソン、ニック・ターリーのメジャー時代の投球をトラッキングデータから分析していく。
アンダーソンは昨シーズン、レンジャーズで9試合に登板(1先発)して1勝1敗、防御率3.27という結果を残している。大谷翔平(エンゼルス)とも9月30日(日本時間10月1日)に対戦しており、空振り三振を奪っているというのだから夢が膨らむ。ターリーは、昨年は3Aでしか登板が無かったため、メジャーで25試合に登板した2020年のデータを分析する。
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ゴロの山を築くドリュー・アンダーソン!
まず、平均球速と投球割合をみていく(表1)。4シームの球速はメジャー平均をやや下回っているが、プロ野球では速い部類だ。投球割合をみると4シームが約半分を占めており、投球の中心であることがわかる。チェンジアップ・スライダー・カーブはそれぞれバランス良く投球されている。
2021年シーズンのデータを分析。カッコ内はメジャー平均
続いて、ボールの変化量をみていく(図1)。投球の中心である4シームは、メジャー平均よりもホップ成分が大きく、シュート成分が小さい。「真っスラ」系の伸びる球質で、空振りを奪えるボールだろう。また、球質のばらつきも少なく安定しているようだ。チェンジアップはメジャー平均よりもシュート成分が大きく、変化の大きいボールとなっている。一方、スライダーはメジャー平均よりも変化が小さい。カーブは球速が遅く大きく落ちるボールとなっており、ピッチトンネルを構成せず、主にカウントを整える役割を果たすだろう。
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リスク管理表をみると、メジャー平均よりも完全アウトの割合がとても低い(図2)。一方、ゴロの割合が高くなっており、空振りを奪いきれていないようだ。外野フライの割合が高いのは不安要素ではあるが、平均球速がメジャーよりも遅いプロ野球では外野フライが減り、完全アウトが増える可能性も考えられる。
- ドリュー・アンダーソン
Drew Anderson
1994年3月22日生まれ(27歳)、右投右打
フィリーズ(2017-2019)ーホワイトソックス(2020)ーレンジャーズ(2021)ー広島(2022)
【メジャー通算成績】19試合(2先発) 1勝3敗 防御率6.50
4シームとカーブのみで勝負するニック・ターリー!
ターリーは、4シームとカーブの2球種のみを投げる珍しい投手だ(表2)。この組み合わせで勝負していた広島の左腕として、江夏豊をどことなく思い起こさせる投手だ。投球割合は4シームの方が多いが投球の中心とはいえず、この2球種を半々で投げているといえるだろう。4シームの平均球速は約152キロとメジャー平均を超えており、プロ野球ではかなり速いといえる。また、2017年にはチェンジアップも少し投げており、球種の増加にも注目したい。
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2020年シーズンのデータを分析。カッコ内はメジャー平均
続いて、ボールの変化量をみていく(図3)。4シームは、先程のアンダーソンとは反対にメジャー平均よりもホップ成分が小さい。「垂れる」ボールであり、空振りを奪うというよりはゴロを打たせるのに向いている球質といえる。また、カーブはメジャー平均よりも落差が大きく、打者のタイミングを外すのに有効だろう。
最後に、リスク管理表をみてみる(図4)。完全アウトの割合はメジャー平均ほどだ。4シームを高めに投げることで、三振を奪えていたようだ。一方、ゴロの割合が低く、外野フライの割合も高くなってしまっている。4シームとカーブで球速が大きく異なるので見分けがつきやすく、強打されている可能性が考えられる。また、四死球も多くなっている。ボールゾーンのカーブを見送られ、四球になってしまうケースも多いようだ。
- ニック・ターリー
Nik Turley
1989年9月11日生まれ 左投左打
ツインズ(2017)ーパイレーツ(2020)ー広島(2022)
【メジャー通算成績】35試合(3先発)0勝5敗 1セーブ 3ホールド 防御率7.78
投手陣の底上げに期待!
今回は、広島に入団が決まった2人の新外国人投手のメジャー時代の投球をみてきた。ドラフトでは、1位で黒原拓未(関学大)、2位で森翔平(三菱重工West)と即戦力として期待される投手を獲得。また、玉村昇悟、高橋昂也など若い投手の台頭も著しい。オミクロン株の拡大により来日時期は未定だが、来日した暁にはカープ投手陣の中で一軍での活躍をつかめるのか注目だ。
Baseball Geek編集部