田中将大 電撃復帰!メジャー7年間の投球データから今季を占う!
ヤンキースからFAとなっていた田中将大が日本球界に帰ってくる。8年ぶりの古巣復帰となる楽天との契約合意が報じられた。日米通算177勝のレジェンドが再び日本で観られる日を、今から楽しみにしているファンは多いだろう。そこで今回は、田中がメジャーデビューを果たした2014年から昨シーズンまでの投球データを比較することで、今後の活躍を占う。
2020年の各球種のデータを振り返る
まずはじめに、昨シーズンの投球データを振り返る(図1)。勝負球のスプリットは、落差が小さなボールと大きなボールがあり、変化量にばらつきがみられる。いわゆる2シームのようにゴロを奪うボールと、大きく落として空振りを奪うボールの2種類を投げ分けている可能性が高い。
しかし、落差は年々小さくなっており、通常であれば成績の悪化にもつながりかねない。そのような中で、7年もの間メジャーの第一線で活躍し続けることができた要因は、スプリットの落差以外にも様々な武器を身につけたことに他ならない。続いては、過去データを含めて田中の投球をさらに読み解いてみる。
メジャー7年間の活躍の秘訣を探る!
7年間の活躍の秘訣を探るべく、まずは球速の推移をみていく(図2)。2015年を境に、球速は低下傾向にあった。しかし、昨シーズンは渡米時程度にまで球速を回復させた。なんと衰えどころか、日本時代と変わらぬ球速を維持していることには驚きを隠せない。
続いて、投球割合の推移をみていく(図3)。メジャー平均をみてもわかるように、多くの投手は4シームを中心に投球を組み立てる。しかし、田中はいずれの年もスプリットやスライダーといった変化球の割合が最も高く、複数の球種をバランスよく投球している。特にスプリットに関しては、常に高い割合を維持しており、メジャーにおいても変わらぬ存在感をみせていた。
さらに、2シームの割合は年々減少し、代わりにスライダーが増加傾向にある。長年のメジャーでの経験を経て、ゴロよりも奪三振を狙う投球スタイルをより確立しようという意図がうかがえる。
今シーズンの投球の注目ポイント!
最後に、今シーズンの注目ポイントとして「投球コース」を紹介したい(図4)。昨シーズンに投げられた全ての速球とスプリットをみると、高低へ徹底的に投げ分けられていることがわかる。これによって、打者の目付けを上げるだけでなく、いわゆるピッチトンネルを構成した投球で打者に球種を絞らせない投球を実現しているのであろう。
日本球界では、高めのコースを有効に使う投手はまだ少なく、全ての球種を低めに投げる配球が未だに目立つ。三振を狙うスタイルを確立した田中にとっては今シーズンも同じように高低を有効に使う投球ができるかどうか注目であろう。
古巣での復帰戦で日本100勝目がみられるか!
ここまで、田中のメジャー時代のデータを分析してきた。球速は回復傾向にあり、今年もその力強い投球をみせてくれるに違いない。メジャーでの7年間でモデルチェンジはあったものの、各球種のレベルの高さは健在である。変化球主体の投球スタイルや、高めを積極的に使った配球が浸透していない日本球界でどのような投球をみせてくれるのだろうか。
田中は現在、日本では通算99勝。古巣での復帰戦で、節目となる100勝目を飾ることができるのか、今から楽しみだ。
Baseball Geeks 編集部