2022年セ・パ交流戦振り返り【打者編】
今年の交流戦はセ・リーグが55勝53敗と勝ち越した。2年連続の勝ち越しはセリーグ初の記録である。また、交流戦2位の成績を記録した阪神は今季初となる最下位脱出を決めた。交流戦ではどんな選手が活躍したのだろうか。今回は、交流戦での「打者」について振り返る。
ヤクルトの圧倒的打力
まず、交流戦でのチーム打撃成績をみてみよう(表1・表2)。
交流戦優勝を決めたヤクルトは本塁打数・OPS・平均得点の項目で12球団トップの成績だ。本塁打数はチームで24本を記録しており、MVPを獲得した村上が6本、塩見・山田が共に5本と貢献している。また、平均得点は唯一の4点台を記録した。
チーム打率1位はソフトバンクだ。交流戦は9勝9敗、柳田が1試合で5三振を記録するなど今ひとつの成績ではあったが、交流戦打率2位である牧原(3割8分3厘)の活躍がプラスに作用しているといえる。
参考:【セ・リーグ】5月のポジション別OPSを分析!各チームの強みと弱みは?
一方、広島はチーム打率・本塁打数・OPS・平均得点が最下位と得点力不足に苦しんだ。交流戦前はリーグ打率がトップであったが、交流戦順位は最下位と振るわなかった。また、本塁打を放った選手は菊池・坂倉のみという寂しい結果となった。
参考:ピタゴラス勝率から振り返るプロ野球~5月編~
交流戦MVPの村上、復調した杉本と大山
次に、交流戦でMVP・日本生命賞を獲得した選手の紹介を行う(表3)。
MVPを獲得した村上宗隆(ヤクルト)は打率3割5分1厘(4位)・6本塁打(2位)・13打点(8位)を記録した。また、OPSが1位の成績を残しており、チームの優勝・全カード勝ち越しに貢献した。
日本生命賞を獲得したのは杉本裕太郎(オリックス)と大山悠輔(阪神)である。
交流戦首位打者の杉本(オリックス)は3割9分1厘を記録し、4割に迫る好成績を残した。3月・4月の打率が1割台だったが、調子を取り戻したといっていいだろう。Aクラス入りへと貢献できるのか注目したい。
最下位脱出の立役者といえる大山(阪神)は本塁打・打点で2冠を達成した。交流戦前は怪我の影響もあり、45試合で7本塁打・24打点だったが、交流戦では7本塁打・21打点と少ない試合数にも関わらず同等の成績を見せた。今後のリーグ順位に大きく影響を与えるに違いない。
参考:ピタゴラス勝率から振り返るプロ野球~3・4月編~
<番外編>投手の打撃成績は?
普段打席に立つことのないパ・リーグの投手の打席を見ることができるのも、交流戦の楽しみの一つだろう。番外編として、投手の打撃についてみていく(表4)。交流戦期間に打席に立った投手は72人で、うち11人がヒットを放っている。特に注目すべきはガンケル(阪神)・小川泰弘(ヤクルト)・山﨑福也(オリックス)である。
ガンケル(阪神)は5打数4安打と打率がトップで、2塁打も2本放っている。投手成績も2勝と投打における活躍を見せた。小川(ヤクルト)は3日の西武戦で8回3安打無失点、さらに勝利打点となる本塁打を放った。交流戦で投手が本塁打を打つ事例はセ・リーグ史上初である。
山﨑(オリックス)は最も打数が多かった。2日の登板日にヒットを放ち、翌日には代打での出場もしている。また、山﨑は高校時代に選抜高校野球で1大会最多安打(13安打)を放ち、打力があることで知られている。来季の交流戦も楽しみな選手の1人だ。
交流戦好調のチームの勢いはどこまで続く?
ここまで、今年の交流戦の打撃成績をみてきた。前半戦終了、そしてオールスターまで残り1か月を切った。交流戦で勢いを取り戻したチームの躍進が続くのか、はたまた他のチームが勢いづくのか。
Baseball Geeks編集部