【プロ野球】外国人投手をデータ分析!メジャー時代の結果から成績予測はできるのか?
待ちに待ったプロ野球開幕から早くも1週間が経過した。そんな中、今年も助っ人外国人選手の活躍に期待するファンも多いだろう。そこで今回は、昨シーズン新加入した外国人投手のうち前年にメジャーで出場経験のある11名が、来日後の成績や投球結果にどのような変化があったのかをみていく。
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先発のバーヘイゲン、中継ぎのギャレットが好投!
それぞれの成績は単純比較できるわけではないが、まずは彼らの2020年のプロ野球での成績と2019年のメジャーでの成績を比較してみる(表1)。
プロ野球で主に先発として起用されたのは、バーヘイゲン・ムーア・イノーアの3人だった。なかでもバーヘイゲンは、規定投球回に到達はしなかったものの8勝を挙げ、防御率3.22と先発としての役割は果たしている。メジャー時代から成績も向上した。ムーアは序盤に離脱期間があり、年間を通して先発ローテーションを守ることが出来なかった。それでも78回を投げ6勝、防御率2.65の成績で優勝に貢献した。一方で、イノーアはメジャー時代よりも成績が大幅に悪化した。シーズン途中で先発から中継ぎへと配置転換されるも結果は出せず、シーズン終了を待たずに退団している。
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中継ぎではギャレットが結果を出した。シーズン後半はやや不安定な投球もあったが、チーム2位タイの49試合に登板。160キロを超えるストレートを武器に49.1回を投げ防御率3.10はまずまずの数字だろう。エドワーズも、1投球回あたり何人の走者を出したかを表すWHIPが0.88と、走者を出さず安定した投球をみせたといえる。特に10月は12試合に登板し、防御率0.79と圧巻の内容だ。一方、初の南アフリカ出身プレーヤーとして話題となったスコットは苦しんだ。メジャー時代も防御率14.33だったが、それをさらに下回る防御率15.75と戦力になることができなかった。
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ヤクルトの助っ人は投手力向上に貢献できず
続いて、BB%・K%・GO/AOの3つ指標から各投手の具体的な投球内容をみていく(表2)。BB%は与四球、K%を奪三振の割合を表し、GO/AOはゴロアウトに対するフライアウト(ライナーを含む)の割合を表す指標だ。
先発ではバーヘイゲンがメジャー時代を上回る数値を残した。メジャー時代もゴロアウトが多い投手だったが、昨シーズンのGO/AOは1.94と、ゴロアウトがフライアウトのほぼ2倍を記録している。ゴロアウトが多いため、本塁打を打たれるリスクも減ってくる。実際、1試合あたりの被本塁打数を表すHR/9は0.56と、70回以上を投げた投手のなかでは、パ・リーグ4位の数字だった。
中継ぎではギャレットが目立った。バーヘイゲン同様に3つの指標すべてでメジャー時代を上回っている。失点のリスクが高いフライがやや多いのは気になるものの、被本塁打は2本のみでHR/9は0.36だった。これは40回以上に投げている投手の中ではチーム3位の数字だ。
一方、被本塁打が多いことを懸念されていたイノーアは、HR/9が3.00と20回以上を投げる投手の中で12球団ワーストとなった。チームメイトのクックは、メジャー時代からBB%とK%が悪化しているものの、GO/AOは大きく改善された。それでも結果を残すことができておらず、ヤクルトの両投手は助っ人としての役割を果たすことができなかった。チームの失点数も12球団ワーストの数字を記録している。
メジャー時代の成績は参考になるのか?
ここまで、昨シーズン加入した外国人投手たちのプロ野球での成績とメジャーでの成績を比較してきた。すべての選手がプロ野球でもメジャー時代と同様の成績や投球の結果になるわけでないことが分かった。しかし、トラッキングデータから球質を分析することで、投球スタイルや課題は予測できるといえそうだ。始まったばかりの今シーズンは、このようなデータも参考にしながらプロ野球を楽しんでみてはいかがだろうか。
勝田聡/Baseball Geeks編集部