阪神の新外国人ケラーとウィルカーソン!優勝へのラストピースとなるか?
2021年は、惜しくもリーグ2位となった阪神。ドラフトでは、注目高校右腕の森木大智(高知高)や大学生投手の鈴木勇人(創価大)、桐敷拓馬(新潟医福大)を獲得した。絶対的守護神であったロベルト・スアレスがメジャーのサンディエゴ・パドレスへ移籍するため、投手陣の再整備が必要になってきそうだ。そんな中、現時点(2月18日)でメジャー経験のあるカイル・ケラー、アーロン・ウィルカーソンの2人の入団が決定した。
今回は、ケラー(2021)とウィルカーソン(2019)のメジャーでの登板をトラッキングデータから分析していく。
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ケラーは2021年、パイレーツで主に中継ぎとして32試合に登板し防御率6.48の成績であった。短い期間ではあるが筒香と同僚だった選手だ。
ウィルカーソンは、メジャーでの最新の登板は2019年となる。2021年は、ドジャース傘下AAAのオクラホマシティ・ドジャースで23試合(19先発)、8勝5敗であった。ウィルカーソンも短い期間ではあったが、AAAで筒香の同僚であった。
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ジョンソンを彷彿とさせるカイル・ケラー!
まずはケラーからだ。平均球速と投球割合からみていく(表1)。
ケラーは、4シームとカーブの2球種のみの投手だ。2球種ともに球速はメジャー平均を上回っており、スタイルは2019年に阪神でプレーしていたピアース・ジョンソン(パドレス)を彷彿とさせる投手である。
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※2021年のデータを使用。カッコ内はメジャー平均
続いて、ボールの変化量をみていく(図1)。
4シームは、ホップ成分がメジャー平均よりも大きい「伸びる」ボールだ。ホップ成分が大きいと打者の空振り率が大きくなるため、プロ野球では4シームでの奪空振りに期待がかかる。
カーブは、メジャー平均よりも落差の小さいボールだ。球速帯、変化量ともにジョンソンに近いカーブを投げている。
リスク管理表をみると、メジャー平均よりもゴロ割合が大きく下回っており、外野フライ割合が大きくなっている。ゴロアウトを狙うというよりもフライの多い投手だ。また、四死球割合は、メジャー平均を大きく上回っている。持ち球が2球種のため、打者が的を絞りやすいことも考えられるので、投球コースが重要となってきそうだ。
- カイル・ケラー
Kyle Keller
1993年4月28日生まれ 右投右打
マーリンズ(2019)ーエンゼルス(2020)ーパイレーツ(2021)ー阪神(2022)
【メジャー通算】44試合1勝1敗 防御率5.83
真っスラ系4シームのウィルカーソン!
次にウィルカーソン(2019年のデータを使用)について、平均球速と投球割合からみていく(表2)。
ウィルカーソンは、全球種において球速がメジャー平均を下回っており、あまり速いボールを投げる投手ではない。投球割合をみてみると4シームが半分を占め、残り3球種をまんべんなく投げている。
2019年のデータを使用。カッコ内は2021年のメジャー平均
続いて、ボールの変化量をみていく(図3)。4シームは、シュート成分が少ない「真っスラ系」のボールだ。球速は、そこまで速くないものの真っスラ系のボールであるため打者は打ちづらく感じる可能性がある。
チェンジアップは、シュート成分が少なく、伸びるようなボールだ。落差で勝負するのではなく、4シームとの球速差で勝負する「奥行き型」のチェンジアップだ。
スライダーはほぼメジャー平均と同じような変化量のボール。カーブは球速帯が遅く大きく縦に曲がるような変化のボールのため打者からは見極めがしやすいボールだ。
リスク管理表をみると、完全アウトの割合がメジャー平均を下回っている(図4)。2019年時点では、三振を多く奪っていく投手ではなさそうだ。しかし、2021年のAAAの成績にはなるが、K%-BB%(奪三振率ー与四球率)が22.5%(2021年メジャー平均は14.5%)と安定した成績を残しており、プロ野球への適応次第では大きな活躍をするかもしれない。
参考:奪三振の重要性とは!勝てる投手のリスク管理能力を分析
- アーロン・ウィルカーソン
Aaron Wilkerson
1989年5月24日生まれ 右投右打
ブルワーズ(2017-2019)ー阪神(2022)
【メジャー通算】14試合1勝1敗 防御率6.88
今年こそは優勝を
今回は、阪神に入団の決まった2人の新外国人投手のメジャー時代の投球をみてきた。
矢野監督は2022年度限りの退任を発表しており、2022年の阪神はチームとしても勝負の年となる。2021年は東京オリンピックもありイレギュラーな年でもあったが、シーズン途中まではリーグ首位独走をしていた力のあるチームなのは間違いない。新外国人選手の加入で新たな良い変化が生まれるか楽しみだ。
Baseball Geeks編集部