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プロ野球

広島の新外国人カイル・バードを分析!スライダーを軸にした投球に注目!



目次
スライダーが投球の約半数を占める!
4シームと2シームでゴロを量産できるか
広島のリリーフ陣再建に期待がかかる!

今シーズンの広島は2年連続でBクラスという結果に終わった。特に救援防御率がセ・リーグ最下位であり、リリーフ陣の崩壊が顕著にみられた。そこで球団は、マイナーリーグで中継ぎとして200試合以上に登板しているカイル・バードを補強した。今回はリリーフ陣再建に期待がかかる助っ人左腕について、最後にメジャー登板をした2019年のトラッキングデータを用いて分析を行う。

スライダーが投球の約半数を占める!

まずはじめに、バードの平均球速と投球割合をみていく(表1)。持ち球は3種類で、メジャーの救援投手としては平均的な球種数である。球速はどの球種もメジャー平均を下回っており、スピードで勝負するタイプではなさそうだ。広島は速球派右腕・ネバラスカスも獲得しており、タイプのまったく異なる助っ人を補強したといえる。
参考:広島の新外国人ネバラスカスを分析!落差のある高速カーブが武器!

表1 各球種の平均球速と投球割合。投球割合はスライダーが最も多く約半数を占める

2019年シーズンのデータを分析。カッコ内はメジャー平均

特筆すべきは、スライダーの投球割合が約半数を占めている点だ。ほとんどの投手が4シームを軸にピッチングをしていることを考えると、かなり特異な投球スタイルである。そのスライダーを中心に4シームと2シームをバランスよく投球しており、打者にとっては的を絞りづらい配球といえる。プロ野球においては、このような変化球主体で様々な球種をバランス良く投球する投手は非常に珍しく、初めて対戦する打者は対策が必要かもしれない。

4シームと2シームでゴロを量産できるか

続いて、ボール変化量をみていく(図1)。投球の中心となっているスライダーは、横の変化量がメジャー平均より大きい。サイドスロー気味の投手特有の球質で、左打者からはかなり空振りを奪いやすいボールといえるだろう。
参考:メジャーリーグで投球される球質の特徴~ボール変化量とは~

図1 各球種のボール変化量。4シームのホップ成分はメジャー平均より低い

2019年シーズンのデータを対象

4シームはホップ成分がメジャー平均より小さく、いわゆる垂れ系のボールである。一方2シームは、球速は4シームとほぼ変わらないが、シュート方向に小さく逃げる球質である。これらの2つの球種はゴロを打たせることに長けており、バードにはグラウンドピッチャーとしての素養があるといえよう。

また、バードのようにサイドスロー気味の投球フォームの投手には、各球種の変化量が横に広がる特徴がある。そのため好成績を残すためには、高低よりもストライクゾーンの左右に投げ分ける制球力が求められる。

図2 バードのリスク管理表。完全アウトよりもゴロの割合が高い

リスク管理表をみてみると、失点リスクの高いイベントが大半を占めており、2019年は成績が振るわなかったことがわかる(図2)。また、完全アウトよりもゴロの割合が高いことから、三振を奪うよりもゴロを打たせることが得意な投手であることがわかる。
参考:奪三振の重要性とは!勝てる投手のリスク管理能力を分析

ゴロの割合が高い一方、完全アウトの割合が低い点は不安材料といえる。投球の中心となっているスライダーは左打者からは空振りを奪いやすいが、右打者には軌道を見極められやすいという欠点がある。そのため、特に右打者との対戦では高い制球力で左右のコースに投げ分ける投球が求められるだろう。

広島のリリーフ陣再建に期待がかかる!

今回は、新外国人カイル・バードの投球データを分析してきた。広島が3連覇を達成した際のリリーフ陣には、ジェイ・ジャクソン、ブレイディン・ヘーゲンズ、ヘロニモ・フランスアといった強力な外国人投手がセットアッパーとして名を連ねていた。しかし、現在球団に残っているのはこのうち守護神を務めるフランスアのみと、大事な場面を任せられる中継ぎ投手が手薄となってしまっている。バードがセットアッパーとして活躍し、チームのリリーフ陣再建を果たすことができるか注目だ

カイル・バードのプロフィール

Kyle Bird
1993年4月12日生まれ(27歳)、左投左打
レンジャーズ(2019) ー 広島(2021)
【メジャー通算成績】
12試合 0勝0敗1セーブ 防御率7.82

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Baseball Geeks 編集部