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プロ野球

ヤクルトの新外国人サイスニードを分析!特異的なカットボールに注目!



目次
カットボールが投球の約7割を占める
4シーム並みに「ノビ上がる」カットボール
ヤクルトの投手力向上に貢献できるか

昨シーズンの平均失点がリーグワーストと、投手力の課題がみられたヤクルト。チームは投手陣の新戦力として、昨シーズンまでメジャーに在籍していたサイスニードを獲得した。今回は、チームの投手力改善に期待がかかる助っ人の投球を、2020年シーズンのトラッキングデータから分析していく。
参考:【セ・リーグ】2020年のポジション別OPSを分析!~Bクラス編~

カットボールが投球の約7割を占める

まずはじめに、各球種の平均球速と投球割合をみていく(表1)。
最も特徴的な点として、サイスニードは4シームを投球していない。ほとんどの投手が4シームを主体として投球を組み立てている中、カットボールの投球割合が約7割を占めている。平均球速も150キロ近くを記録しており、相当自信のあるボールなのだろう。

表1 平均球速と投球割合。カットボールが投球割合の約7割を占める

カッコ内はメジャー平均

次いでカーブとスライダーの投球割合が高く、実質3球種で投球を組み立てている。プロ野球においては投球の組み立て方は異なるかもしれないが、このように変化球のみで投球を組み立てる投手への対策が必要となってくるだろう。

4シーム並みに「ノビ上がる」カットボール

続いて、各球種のボール変化量をみていく(図1)。
投球の中心であるカットボールはホップ成分が非常に大きく、左投手が投じる「ノビのある」4シームのような非常に特殊な球質である。まるで、過去3度サイ・ヤング賞に輝いたカーショウ(ドジャース)の4シームのような球質だ。打者からすると見慣れていないボールのため、攻略することは容易ではないかもしれない
参考:大谷翔平とサイ・ヤング賞投手たちをデータで徹底比較【ストレート編】

図1 サイスニードのボール変化量。カットボールのホップ成分が非常に大きい

カットボールに次いで投球割合の高いカーブは、メジャー平均よりも落差が大きい。球速も比較的高速であり、パワーカーブのようなボールであるといえる。また、スライダーは変化量のばらつきこそ大きいものの、横の変化量が40センチを超えるボールもある。横曲がりの大きなブーメラン系のスライダーが安定すると、右打者にとって厄介なボールとなるだろう。
参考:メジャーリーガーの平均的なボールって?

図2 サイスニードのリスク管理表。完全アウトとの割合がメジャー平均と比べて高い

リスク管理表をみてみると、完全アウトの割合がメジャー平均よりも高い(図2)。特徴的な変化をみせるカットボールやスライダーは、プロ野球においても威力を発揮するだろう。しかし、外野フライとライナーの割合が非常に高いこともわかる。メジャーよりも平均球速が比較的低速なプロ野球においてはリスクの高い打球の割合が減少する可能性もあるが、各球種を上手くコースに投げ分けられるかが活躍のポイントとなるだろう。
参考:奪三振の重要性とは!勝てる投手のリスク管理能力を分析

ヤクルトの投手力向上に貢献できるか

今回は、新外国人サイスニードの投球データを分析してきた。メジャーでは中継ぎを任せられてきたが、ヤクルトでは先発の一角として起用される可能性が高い。特徴的な投球スタイルを武器に、3年ぶりのAクラス入りを目指すチームの救世主となるだろうか。サイスニードの活躍に注目したい。

サイスニードのプロフィール

Cy Sneed
1992年10月1日生まれ(28歳)、右投右打
アストロズ(2019-2020) ー ヤクルト(2021)
【メジャー通算成績】
26試合 0勝4敗 防御率5.59

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Baseball Geeks 編集部