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プロ野球

巨人・デラロサのメジャー時代の球質を分析!160キロの速球はシュート系の変化



目次
速球とスライダーで打者を圧倒
沈みながら横に鋭く曲がるスライダー!
球質の安定化と打者への攻め方の確立がポイント

シーズン途中から巨人に加入したデラロサは、最速161キロをマークした速球を武器にクローザーに定着している。メジャー時代では先発としても活躍し、14勝を挙げたこともある実力者であり、CS、日本シリーズでも活躍が期待されている。
今回は、そんなデラロサの投球の秘密をメジャー時代(2017年)のトラッキングデータを用いて分析していきたい。

速球とスライダーで打者を圧倒

まずは、デラロサの各球種の球速と投球割合を見ていく(表1)。
4シームとスライダーの投球割合は共に約半数と両球種が投球の中心であるといえる。

表1 各球種の球速と投球割合。4シームとスライダーが投球割合の多くを占めている
球種 球速
(km/h)
球速
(%)
投球割合
(%)
4シーム156.0
(150)
100.0
(100)
50
2シーム 155.4
(148)
99.6
(100)
3
チェンジアップ142.9
(136)
91.6
(91)
1
スライダー136.0
(136)
87.2
(91)
46

カッコ内はメジャー平均

デラロサ最大の特徴といえるのは、やはり4シームの球速である。球速は156キロとメジャー平均を優に上回る。スライダーは球速%が87%とやや遅く、速球との球速差は大きい。組み合わせというよりも、力のある4シーム中心に一つ一つのボールで勝負していくタイプといえるかもしれない。

沈みながら横に鋭く曲がるスライダー!

続いて、各球種のボール変化量を見ていく(図1)。このデータを使い打者が感じている「球質」を明らかにする。
参考:メジャーリーグで投球される球質の特徴~ボール変化量とは~

図1 各球種のボール変化量。4シームとスライダーの散らばりが大きくなっている

ややバラツキが多いものの、メジャー平均と比べて4シームはシュート系の球質であることが見てとれる。いわゆる手元で「伸びあがる」ような球質ではなく、球質よりも球速で勝負するタイプであるといえる。
参考:“回転数多い=ノビのある球”ではない? データから迫る「ノビ」の正体

また、スライダーは変化の大きな球質である。球速も遅く、どちらかというと「高速カーブ」に近いボールともいえるだろう。4シームがややシュート系であるため、打者はより変化を感じやすいボールかもしれない

超高速な4シームに変化の大きなパワーカーブ系のスライダーとそれぞれ特徴を持つ一方で、両球種は球速差も大きくピッチトンネルを構成しにくいボールといえる。つまり、打者には投げた瞬間にどちらの球種か判断されやすい。
そこで、間の球速帯の2シーム、チェンジアップといった球種が非常に重要となる。特にチェンジアップは速球に変化が近く「奥行」を使うボールとして活用できるだろう。メジャー時代にはほとんど投球されていないが、チェンジアップを増やしてピッチトンネルを構成できると、武器である4シームの威力も増すだろう

球質の安定化と打者への攻め方の確立がポイント

ここまでトラッキングデータを使いデラロサの球質を探ってきた。特徴的なのはやはり4シームの球速で160キロ近いスピードボールは日本では簡単には打たれないだろう。ただし、現状ではピッチトンネルを構成できるボールは少なく、打者は狙い球自体は絞りやすい。チェンジアップのような4シームとスライダーの中間球速(93%、145キロ前後)のボールを投球できると、より4シームの威力も増すだろう。

動画 デラロサのメジャー時代の投球。当時は先発を任されていた

かつてメジャーで14勝を挙げた豪腕は、救援投手として巨人の大きな戦力になっている。2012年以来の日本一に向けて、161キロ右腕から目が離せない。

ルビー・デラロサ プロフィール

 1989年3月4日(30歳)、右投右打、11ドジャース - 13レッドソックス - 15ダイヤモンドバックス - 19途中読売ジャイアンツ
通算メジャー成績
98試合 26勝30敗 防御率4.49 (2010~2017)

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Baseball Geeks編集部