日本ハム新外国人ハンコックを分析!155キロの4シームと縦に落ちるスライダーが武器!
日本ハムに新たな中継ぎ投手が加入した。ジャスティン・ハンコックだ。193センチの長身からスリークォーター気味で投球する。中継ぎとして日本ハムに貢献しているハンコックをトラックマンデータを用いて分析していく。
参考:【2019年】新外国人投手を徹底解剖!トラックマンデータでみる速球1位は!?
守護神として期待されるハンコック
日本ハムはマルティネスの離脱によりすべての外国人選手が試合に出場できる状況となっている。ハンコックは開幕直後はホールドとセーブをそれぞれマークするなど順調だったが、セーブ機会で失点し逆転される場面もあり不安定な成績だ。まだシーズン序盤のため起用法はまだ定まってはいないが、安定感を取り戻せば、守護神として期待されるだろう。
平均球速155キロの速球で押していく!
ここからは、2018年のハンコックの投球をトラックマンデータから分析していこう。まずは各球種の球速と投球割合を見ていく(表1)。
球速 | 球速 (km/h) | 球速 (%) | 投球割合 (%) |
---|---|---|---|
4シーム | 155.1 (150) | 100.0 (100) | 71.7 |
スライダー | 141.9 (136) | 91.5 (91) | 27.8 |
チェンジアップ | 144.0
(136) | 92.9 (91) | 0.5 |
カッコ内はメジャー平均
一番の武器は平均球速155キロの4シームだ。これは、今シーズン来日した新外国人の中でも最も速かった。投球割合は7割以上が4シームであり、自信の速球を中心に組み立てることがわかる。変化球の球速も速く、4シームとスライダーの高速なボールで組み立てるタイプといえる。
高速で変化する4シーム!?
続いては、ハンコックの投球のボール変化量を見ていく(図1)。
武器である4シームはシュート成分がかなり大きい球質であり、元巨人のカミネロ投手の4シームに似ている球質だ。打者の手前でホップするような球質ではないが、高速で”動く”球質であり打者は的が絞りにくい。また、4シームの変化量にばらつきがみられる。球質が安定せず、同じ4シームでも変化が違うようなボールである。
スライダーは縦の変化量が大きく、横の変化量は少ない。いわゆる縦スラ系のボールである。高速に落ちるため、空振りを狙えるボールとなるだろう。
曲がる?落ちる?2種類のスライダー!
球種 | 球速 (%) | 回転数 (rpm) | 横変化 (cm) | 縦変化 (cm) |
---|---|---|---|---|
4シーム | 100.0 (100) | 2452.3 (2263) | 31.6 (19) | 36.8 (40) |
スライダー | 91.5 (91) | 2484.3 (2394) | -5.1 (-14) | 0.2 (5) |
チェンジアップ | 92.9 (91) | 1948.0 (1775) | 41.9 (34) | 24.2 (18) |
カッコ内はメジャー平均
縦に落ちるスライダーを投球しているハンコックだが、4シームとの組み合わせ次第で、打者はより曲がるように感じる可能性がある。
ハンコックの4シームはシュート成分が大きいため、右打者に向かっていく(左打者には逃げる)軌道になる。それを利用し、例えば、右打者の内角を攻め、4シームの軌道を打者にイメージさせる。その後スライダーを投球すると、4シームの軌道のイメージによって通常より曲がるように見えるだろう。このように同じスライダーでも打者の見え方を変えることができれば、投球の幅が広がるだろう。
参考:メジャーで流行!ピッチトンネルの概念とは!?
課題はメジャー時代の球速を取り戻すこと
開幕直後は順調だったもののセーブ機会で失点するなど不安定さも目立つ。まだメジャーリーグ時代のような球速が出ていないことが原因として考えられる。安定した活躍をするためには、球質より球速で押していくタイプのハンコックにとって、球速を取り戻すことが課題だろう。そして、ハンコックの特徴的な4シームとスライダーを活かした投球を行うことができれば打者を手玉に取ることができるだろう。
動画 ハンコックのメジャー時代の投球。長身の体から投げる高速の4シームに注目!
今年の日本ハムは野手ではワン・ポーロン、投手では金子弌大と弱点を見事に補う的確な補強を行った。宮西や秋吉らと共に強力なリリーフ陣の一員となり、「投手王国」を復活させることが3年ぶりの日本一のカギを握る。
ジャスティン・ハンコック プロフィール
ジャスティン・ハンコック Justin Hancock
1990年10月28日生まれ、29歳、右投右打、パドレス11-日本ハム19
メジャー成績
シカゴ・カブス(2018年) 10試合 0勝0敗(メジャー通算0勝0敗)
Baseball Geeks編集部