オリックス新外国人アルバースを分析!回転数は少ないが「伸びる」速球…??
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オリックスは今オフ、昨シーズンメジャーリーグで5勝をマークしたアンドリュー・アルバースを獲得した。
1996年以来のリーグ優勝に向け、アルバースはキーマンとなれるのか。今回は、アルバースの昨シーズンの投球をトラックマンデータから紹介していく。
アルバースはどんな球種を持っているのか
球速が遅い「速球派」!
まずは、球速と投球割合を紹介する。アルバースの大きな特徴は4シームの球速で、メジャーリーグ平均を大きく下回る(表1)。
球種 | 平均球速 (km/h) | 投球割合 (%) |
---|---|---|
4シーム | 142 (150) | 24 |
2シーム | 141 (148) | 41 |
スライダー | 126 (136) | 19 |
チェンジアップ | 127 (135) | 8 |
カーブ | 111 (126) | 8 |
カッコ内はメジャーリーグ平均
投球割合をみると、4シームや2シームの速球系球種が6割以上を占めている。アルバースは球速こそ低いものの、速球中心に投球を組み立てる投手なのだ。
では、アルバースの速球はどんな球質なのか。
アルバースのボールはどれくらい曲がるのか
回転数は少ないが「伸びる」ボール
ボールの回転数と変化量をみてみる。投球割合の高かった4シームと2シームは、ホップ成分が大きなボールで、新外国人の中で2番目にホップ成分が大きかった(表2)。
参考:2018年プロ野球新外国人投手をデータで紹介!!球速が最も速いのはあの投手…!!?
球種 | 回転数 (rpm) | 縦変化 (cm) | 横変化 (cm) |
---|---|---|---|
4シーム | 2088 (2255) | 49 (43) | -20 (-22) |
2シーム | 1982 (2150) | 39 (28) | -36 (-37) |
スライダー | 2252 (2362) | 2 (9) | 7 (12) |
チェンジアップ | 1265 (1770) | 19 (23) | -29 (-33) |
カーブ | 2249 (2498) | -20 (-19) | 26 (22) |
カッコ内はメジャーリーグ平均
回転数にも注目したい。一般的に、アルバースのような回転数が少ない4シームは、いわゆる「伸び」が小さなボールだとイメージされやすい。
しかしながら、実は「回転数が多い=伸びるボール」ではない。変化の大きさには、「回転軸の向き」が影響しており、回転軸がきれいなバックスピンであれば、回転数が少なくても変化量は大きくなるのだ。
アルバースの4シームや2シームは、回転軸がバックスピンに近いため、回転数は少ないが「伸びる」ボールなのだ(図1)。
参考:メジャーリーグで投球される球質の特徴~ボール変化量とは~
アルバースはどんな成績を残すのか
アルバースはホップ成分の大きな速球が投球の中心だ。
しかし、懸念材料もある。
4シーム、2シームの球速はメジャーリーグ平均を大きく下回り、日本でも決して速いとは言えない。ホップ成分の大きなボールは、空振りを奪いやすくなる一方で、フライ打球も増えやすく、長打が増えるリスクも含んでいる。
そのため、アルバースが大きな活躍を見せるためには、他の球種と組み合わせて、より4シームを際立たせる必要があるだろう。
昨シーズンは4シーム、2シームの投球割合が非常に高かった。変化球の投球割合を増やすことで、より成績の向上が望めるかもしれない。
オリックスは、ここ10年間で8度Bクラスに沈み、リーグ優勝は1996年を最後に遠ざかっている。しかし、昨年のドラフト会議では大型新人を獲得し、若手の台頭も著しい。リーグ優勝に向けて着々と力はついてきた。
キーマンとなるアルバースの4シーム、そして投球割合にも注目だ!
アルバースのプロフィール
・1985年10月6日生まれ(32歳)
・左投右打 背番号27
・ミネソタ・ツインズ (2013)、ハンファ・イーグルス (2014)、トロント・ブルージェイズ (2015)、ミネソタ・ツインズ (2016)、シアトル・マリナーズ (2017)、オリックス・バファローズ (2018 - )
・2017年メジャー成績5勝1敗(メジャー通算成績7勝6敗)
Baseball Geeks編集部