【プロ野球】オープン戦の活躍はシーズンに直結するのか?~打者編~
- 目次
- 開幕後に活躍したOP戦首位打者は秋山翔吾のみ?
- 本塁打率・三振率から打者のシーズン成績を予測!
- 今季OP戦で活躍の大山悠輔・佐野恵太のここまでの成績
- シーズンの成績予測にはOP戦の本塁打率と三振率に注目!
レギュラーシーズン(以下、シーズン)開幕前に行われるオープン戦は選手にとってアピールの場であり、開幕1軍メンバーを決める上で大きな判断材料にもある。一方、プロ野球ファンの間では、オープン戦の結果はシーズン中の成績を考える上で参考にならないという声も聞かれる。
では実際に、これらはどの程度関係があるのだろうか。今回はオープン戦でどの打撃指標をみれば、選手のシーズンでの活躍を予測できるのかを探る。
参考:現役最強の4番打者は誰?プロ野球OPSランキング
開幕後に活躍したOP戦首位打者は秋山翔吾のみ?
まず初めに、打率についてみていく(表1)。プロ野球には「オープン戦首位打者はシーズンでは活躍できない」というジンクスが存在する。実際に、過去10年間のオープン戦首位打者のうちシーズン中に打率3割を越えたのは2015年の秋山翔吾のみであった。オープン戦で高い打率を記録したからといって、シーズンでも同様の好成績を残せるとは限らないようだ。
年度 | 選手 (チーム) | オープン戦 | シーズン |
---|---|---|---|
2010 | G.G.佐藤 (西武) | 0.433 | 0.204 |
2011 | 浅村 栄人 (西武) | 0.411 | 0.268 |
2012 | 松山 竜平 (広島) | 0.403 | 0.204 |
2013 | 畠山 和洋 (ヤクルト) | 0.393 | 0.219 |
2014 | 井上 晴哉 (ロッテ) | 0.435 | 0.211 |
2015 | 秋山 翔吾 (西武) | 0.459 | 0.359 |
2016 | 鈴木 大地 (ロッテ) | 0.400 | 0.285 |
2016 | 坂田 遼 (西武) | 0.400 | 0.285 |
2017 | シリアコ (DeNA) | 0.375 | 0.074 |
2018 | 内田 靖人 (楽天) | 0.386 | 0.198 |
2019 | 楠本 泰史 (DeNA) | 0.388 | 0.208 |
本塁打率・三振率から打者のシーズン成績を予測!
続いて、オープン戦とシーズンの様々な打撃指標について相関係数をみていく(表2)。相関係数とは、2つのデータの間にどれくらい関係性があるのかを示す統計学的指標で、その関係の強さを「-1から1」の数字で表す。例えば、相関係数が0であれば2つのデータ間には関係性がなく、1に近いほど正の関係が、-1に近いほど負の関係が強いことになる。
打撃指標 | 相関係数 | 相関の強さ |
---|---|---|
本塁打率 | 0.455 | 相関がある |
三振率 | 0.438 | 相関がある |
四球率 | 0.303 | 弱い相関がある |
OPS | 0.233 | 弱い相関がある |
打率 | 0.125 | ほとんど相関がない |
1999年から2019年までの20シーズン、シーズンで300打数以上の選手(延べ1243名)を対象
オープン戦とシーズンの主要な打撃指標をみてみると、強い相関関係がみられるものはなかった。つまり、オープン戦での成績の良し悪しからシーズンの成績を予想することは少々難しいのかもしれない。しかし、その中でも本塁打率と三振率は他の打撃指標と比較するとやや相関関係がみられた。このことから、オープン戦で1打数あたりの本塁打や三振が多い選手はシーズンにも同様の成績になる傾向があると考えられる。
これらを踏まえると、ある打者がシーズン開幕後に活躍するかどうかを考える際は、オープン戦での打率よりも本塁打率や三振率に注目するべきだろう。
今季OP戦で活躍の大山悠輔・佐野恵太のここまでの成績
オープン戦は若手選手を試す場でもあり、首脳陣はその時の成績からシーズン開幕後も結果を残せるかどうかを予測しなければならない。先述の通り、オープン戦とシーズンの本塁打率には相関関係がみられ、この予測を行う際の参考になることがわかった。
実際に近年では、2018年の岡本和真や2019年の村上宗隆といった若手がオープン戦で多くの本塁打を記録し、シーズンでも首脳陣の期待に応える活躍をみせている。では、今シーズンのオープン戦で好成績を残した選手たちのここまでの活躍はどうだろうか。今回は、オープン戦でそれぞれ本塁打を3本記録した2選手をピックアップした(表3)。
選手 (チーム) | 打率 | 本塁打 | OPS |
---|---|---|---|
大山 悠輔 (阪神) | 0.266 (0.274) | 18 (14) | 0.882 (0.773) |
佐野 恵太 (DeNA) | 0.354 (0.295) | 11 (5) | 0.952 (0.764) |
9/13時点の成績。カッコ内はキャリアハイ
阪神・大山悠輔はシーズン序盤は控えの試合が多かったものの、7月からはクリーンナップに定着し、本塁打数で既にキャリアハイを更新した。昨シーズンも規定打席をクリアした打者ではあるが、今年はさらに一皮むけてドラフト1位の期待に応える選手へとブレイクしたといえるだろう。
DeNA・佐野恵太はメジャーへ移籍した筒香嘉智の穴を埋める選手として、その期待に応え続けている。ここまで打率・本塁打・OPSの全てでキャリアハイを大きく越える成績を記録しており、間違いなく今年ブレイクした選手ということができるだろう。
シーズンの成績予測にはOP戦の本塁打率と三振率に注目!
今回は、オープン戦の成績とシーズンの成績にどのような関係があるのか分析を行った。強い関係がある打撃指標はなかったものの、本塁打率と三振率についてはある程度似た成績になる傾向がみられた。特に、オープン戦での本塁打率はブレイク予想の判断材料として使えるかもしれない。今後、オープン戦の結果を見る際には本塁打率と三振率にも注目してほしい。
BaseballGeeks編集部