【動画あり】中日の新外国人ディロン・ジーを分析!メジャー通算51勝右腕のナックルカーブに注目!!
Aクラスを目指す中日のファンに朗報だ。
メジャー通算51勝の実績を持つディロン・ジーを獲得したのだ。2014年には開幕投手を務めた右腕に、ファンも球団も大きな期待を寄せる。
今回は新外国人投手分析第2弾として、ジーの2017年のメジャーリーグでの投球を分析し、紹介したい。
ジーはどんな球種を持っているのか
高速な変化球が武器
まずは、それぞれの球種の平均球速と投球割合を見てみる(表1)。
球種 | 平均球速 (km/h) | 平均球速 (%) | 投球割合 (%) |
---|---|---|---|
4シーム | 147 (150) | 100 (100) | 29 |
2シーム | 146 (148) | 100 (99) | 18 |
カットボール | 139 (142) | 95 (95) | 22 |
チェンジアップ | 135 (135) | 92 (90) | 15 |
ナックルカーブ | 124 (126) | 85 (84) | 16 |
カッコ内メジャーリーグ平均
4シーム(日本でいうストレート。以下、4シームで統一)の球速は147km/hとメジャーリーグ平均(表中カッコ内)を下回った。しかしジーの特徴は変化球の球速にある。
表中の平均球速(%)は、4シームの球速を100%としたときに、どれくらい近い球速で変化球を投球しているかを示す。ジーの変化球は球速が4シームに近く、打者からすると球種を判別するのが難しい。
更に、日本では珍しいナックルカーブを投球している。高速に大きく曲がるのが特徴で、日本の打者は手を焼くだろう。
ジーのボールはどれくらい曲がるのか
小さな変化で打ち取る投球
続いて、回転数とボール変化量を見てみる(表2)。
4シームは、メジャーリーグ平均よりもホップ成分が小さく、大きくシュートするボールだ。
参考:メジャリーガーが投げる平均的なボールって?
球種 | 回転数 (rpm) | 縦変化 (cm) | 横変化 (cm) |
---|---|---|---|
4シーム | 2304 (2255) | 33 (43) | 37 (22) |
2シーム | 2335 (2150) | 23 (28) | 45 (37) |
カットボール | 2451 (2333) | 23 (24) | -4 (-4) |
チェンジアップ | 1819 (1770) | 13 (23) | 44 (33) |
ナックルカーブ | 2533 (2489) | -23 (19) | -30 (-22) |
カッコ内はメジャーリーグ平均値
日本では、「ノビ」が小さな、いわゆるおじぎするボールは良くないと評価が下されがちだが、実はジーのようにシュートしながら沈む球質も武器になる。
ホップの変化量が小さいと打者の予測よりもボールが沈んでくるため、ボールの上を叩いてしまうのだ。
加えて、ジーは他のボールとの組み合わせも面白い。
昨シーズンの全投球をプロットしてみる(図1)。
4シーム(図中赤)とホップ成分が近いボールが多いことがわかる。例えばカットボール(図中黄)は、4シームとホップ成分がほぼ同じため、打者はぎりぎりまで同じボールに見える。変化自体は平均的なボールであっても、ぎりぎりに違う変化を見せるため、打者は芯を外されることが多いだろう。
このように、変化球の球速が速いだけでなく変化も近いボールが多いため、打者は手元に来て高速に「動く」といった印象を受けるかもしれない。
ジーはどのような投球スタイル?
ジーは高速にボールを動かして打者を打ち取っていく。ナックルカーブも強力で、実績通りの好投手だ。
空振りよりも、ゴロを量産していくタイプで、日本にはあまりいないタイプに感じる。
【動画】ゴロに加え、勝負所で空振りも奪える投球はジーの持ち味だ
このような実績の投手が来日するのは珍しい。投球スタイルも含め、非常に面白い投手だ。
多くの球種を組み合わせて打ち取るタイプなだけに、日本のボールに馴染めば大きく活躍するかもしれない。
メジャー通算51勝の投球が、今から待ち遠しい。
ディロン・ジーのプロフィール
・1986年4月28日生まれ(31歳)
・右投右打 背番号60
・ニューヨーク・メッツ (2010 - 2015)、カンザスシティ・ロイヤルズ (2016)、テキサス・レンジャーズ (2017)、ミネソタ・ツインズ (2017)、中日ドラゴンズ (2018 -)
・2017年メジャー成績3勝2敗(メジャー通算成績51勝48敗)
・同じく新戦力の松坂大輔は、ニューヨーク・メッツ時代のチームメイト
※変化量は球場毎の誤差を独自に補正
Baseball Geeks編集部