【動画あり】巨人の新外国人テイラー・ヤングマンを分析!メジャー9勝右腕は大化けの可能性あり!?
キーワード:新外国人、2018、読売、ジャイアンツ、球種、変化球、球速、回転数、変化量、データ、Taylor Jungmann、テイラー・ヤングマン
1月中旬、巨人がメジャー通算9勝の実績を持つテイラー・ヤングマンを獲得した。昨シーズン11年ぶりにBクラスに沈んだ巨人のファンは、メジャー復帰を果たした前巨人マイコラスの再来を期待する。
今回は、新外国人投手分析第5弾として、ヤングマンの2017年のメジャーリーグでの投球を紹介したい。
ヤングマンはどんな球種を持っているのか
4シームの球速に課題
まずは、ヤングマンの球種と球速をみてみる。
注目すべきは球速だ。4シームの球速はメジャーリーグ平均を大きく下回り、新外国人投手の中で2番目に遅かった(表1)。
球種 | 平均球速 (km/h) | 平均球速 (%) | 投球割合 (%) |
---|---|---|---|
4シーム | 145 (150) | 100 (100) | 66 |
2シーム | 141 (148) | 97 (99) | 25 |
カーブ | 121 (126) | 84 (84) | 9 |
カッコ内はメジャーリーグ平均
9勝をマークした2015年は150km/h近い球速を誇っていただけに、ここ2年結果を残しきれなかったのは、球速の低下が大きな原因だろう。
また、昨シーズンは登板イニングが少なく、4シームに投球割合が偏ったが、2016年を見ると4シームとカーブが投球の中心で、チェンジアップも投球していた。
ヤングマンのボールはどれくらい曲がるのか
大きなクロスステップからカット系のボールを投げ込む
続いてボールの変化を見てみる。以前のコラムでも触れたが、ヤングマンは変わった球質の4シームを投球する。シュート成分とホップ成分が共に小さく、カットボールのような球質だ(表2)。
参考:メジャーリーグで投球される球質の特徴
球種 | 回転数 (rpm) | 縦変化 (cm) | 横変化 (cm) |
---|---|---|---|
4シーム | 2393 (2255) | 32 (43) | 13 (22) |
2シーム | 2545 (2150) | 15 (28) | 15 (37) |
カーブ | 2998 (2489) | -28 (-19) | -37 (-22) |
カッコ内はメジャーリーグ平均
カーブはスライド方向が大きく、本人も武器と自負している。
両球種のように、ヤングマンが投じるボールは全体的にシュート成分が小さく、変化がスライド方向(カット系)に偏りをみせている(図1)。
また、これらの特殊な球質を際立たせているのはリリースポイントだ。リリースが高いだけでなく、平均よりもピッチャープレート1個分も大きく三塁側から投球されている(表3)。
リリース高 (cm) | リリース横 (cm) | エクステンション (cm) |
---|---|---|
191 (182) | 121 (58) | 185 (188) |
カッコ内はメジャーリーグ平均
大きくクロスステップしながらカット系のボールを投げ込んでくるため、打者は非常に困惑するだろう。
見慣れないボールで芯を外すようなタイプで、特に右打者の外角や左打者の内角に投じられるボールは、ゴロを打たせたい場面で大きな威力を発揮するかもしれない。
ヤングマンはどんな成績を残すのか
大きなクロスステップから、カット系のボールを投球するのがヤングマンの特徴だ。
4シームの球速さえ戻れば、芯でとらえるのが非常に困難な投手だろう。
一方、28歳という年齢を考えると、球速を数年前の水準に戻せるかどうかはわからない。大化けの可能性を秘めているものの、現状のままでは活躍は難しいかもしれない。
球速が同水準であれば、他の打ち取り方を模索しなければならない。
現状では、先発投手として球種が多くない。例えば、高速なスライダーや、高速に沈むスプリット等を取得することで、投球の幅を広げる事が出来るだろう。
【動画】9勝をマークした2015年は、150km/h近い4シームとカーブで打者を圧倒していた
4年ぶりのセ・リーグ制覇に向け、チームの外国人選手枠、先発ローテ争いは熾烈を極めている。
争いに勝ち抜き、登場曲の一節通り「すばらしい」活躍を見せてくれることを期待しよう。
テイラー・ヤングマンのプロフィール
・1989年12月18日生まれ(28歳)
・右投右打 背番号39
・ミルウォーキー・ブルワーズ (2015 - 2017)、読売ジャイアンツ (2018 - )
・2017年メジャー成績0勝0敗(メジャー通算成績9勝13敗)
Baseball Geeks編集部