大谷翔平の今シーズンを大予想！【最終回：ストレート学】

連日、2021年のスポーツ界を賑わせたエンゼルス・大谷翔平選手。
投手としてチームトップの9勝をマークしながら、打者としてリーグ3位の46本塁打を放つなど、日本人選手としては史上初となる満票投票で、イチロー氏以来2人目となるリーグMVPに輝く活躍をみせた。シーズン開幕前から、今シーズンの活躍に注目が集まっていることだろう。

そんな大谷翔平の凄さや今シーズンの展望を紹介するスポーツサイエンスバラエティ番組「Next Baseball Academy 大谷翔平学」が、毎週日曜日よる11時から「ひかりTV」にて絶賛放送中。
4回にわたり、打者大谷・投手大谷の今シーズンの活躍を予想していく。

「Next Baseball Academy 大谷翔平学」に関する番組詳細はコチラ！

Baseball Geeksでも4回にわたり、二刀流・大谷翔平の凄さを「トラッキングデータ」から分析し、今シーズンも活躍できる要因について紹介する。
最終回となる第4弾として、「大谷翔平のストレート」について分析する。
参考：大谷翔平の今シーズンを大予想！【第3回：スプリット学】

まずは、大谷のストレートの平均球速と最高球速をみていく（表1）。
表1をみると、大谷のストレートの平均球速は、メジャー平均を大きく上回っている。メジャー1年目の2018年シーズンこそ下回るものの、ストレートの球速が速いことは投手としての大きな武器である。ここで、ストレートの球速が速いことの重要性についてみていこう。

ストレートは球速が速くなると空振り割合が上昇し、フライ割合が低下することがわかっている（図1）。
空振り（奪三振）は最も失点リスクの低いイベントである。一方、フライ（ライナーや本塁打を含む）は失点リスクが高い。投手の果たすべき最大の役割は、失点を許さないことだ。失点リスクの観点からも、メジャー屈指の球速は大谷の大きな武器であるといえるだろう。
参考：奪三振の重要性とは！勝てる投手のリスク管理能力を分析

続いて、大谷がストレートで空振りを奪った投球コースをみていく（図2）。
図2をみると、ストライクゾーン高めからボールゾーンに投球されたボールで空振りを奪っている。特に、ストライクゾーンギリギリの高さにおける空振りが多いことがわかる。

前述のとおり、ストレートの球速が高まるほど空振り割合は高くなる。また、ストレートのホップ成分が大きくなると空振り割合が高まることもわかっている。そして、近年メジャーリーグで注目を集めているのが「高めのストレート」だ。
参考：ホップ成分が大きい速球は空振りを奪いやすいって本当！？

ストレートは高めに投球されるほど空振り割合が増加する傾向にあり、メジャーリーガーは空振りを狙うために高めの投球を増やしている。また、高めのストレートは他の変化球との組み合わせをよくするうえでも重要である。ヤンキースに7年間在籍した田中将大投手も、高めのストレートを有効に活用していた。
参考：田中将大 電撃復帰！メジャー7年間の投球データから今季を占う！

大谷の武器であるスプリットは、ストレートの「真縦」に大きく落ちる。ストレートは最も空振りが奪いにくい球種である。メジャー屈指の球速を誇るストレートを効果的に活用するために、高めへとストレートを積極的に投球できるかどうかが、今シーズンの活躍のための大きなポイントになるだろう。
参考：【2021年】4シームはリスクが高い？最新データから球種別の特性を探る

二刀流・大谷翔平選手の凄さに迫る、スポーツデータ解析を活用したスポーツサイエンスバラエティ番組「Next Baseball Academy 大谷翔平学」が、ひかりTVにて2022年2月20日（日）より独占配信されており、最終回が3月13日（日）23時より放送される。

本番組は、大谷翔平選手の活躍の要因を最新の野球科学に基づいた解析データを用いて授業形式で解析し、科学で野球を学ぶ新しい形のスポーツ番組だ。Baseball Geeksを運営する株式会社ネクストベースがデータ提供をしており、本記事のようなデータから非常にマニアックなデータを用いて、大谷選手の類まれなる能力を紐解いていく。

ぜひご覧いただき、マニアックな講義を楽しんでいただきたい。