秋山翔吾の2020年データを分析!さらなる飛躍に向けて打球の質を改善できるか
昨シーズンは、メジャー1年目にしてプレーオフ進出を果たすなど、レッズ・秋山翔吾にとって貴重なシーズンとなった。しかし、西武時代の2015年にはシーズン216安打を放ちプロ野球記録を塗り替えるなど輝かしい成績を残してきた秋山にとって、移籍1年目の成績は決して満足のいくものではなかっただろう。そこで今回は、秋山の昨シーズンのトラッキングデータを分析することで、今後の活躍のカギを分析していく。
高い四死球率を記録もゴロ率の高さに課題
まずはじめに、秋山の「被リスク管理表」をみてみる(図1)。四死球の割合がメジャー平均と比較して高くなっており、これはプロ野球在籍時と変わらずに良い傾向である。さらに、完全アウトの割合はメジャー平均を下回っているため、高いコンタクト率も健在だ。
しかしながら、思うような成績を残せなかった最大の要因として、ゴロ率の高さが挙げられる。ゴロ打球は長打になりにくいだけでなく、アウトになる確率も高い。そのため、ゴロを減らし、ライナー・フライの割合を高めることが打率の向上につながるだろう。
成績向上へのカギは“動くボール”への対応
続いて、球種別の打球特性をみていく(図2・3)。秋山の打球速度は、ほぼすべての球種でメジャー平均をかなり下回っていることがわかる。打球速度が大きいほど単打も長打も増えることがわかっており、この数字は改善の余地があるといえるだろう。
参考:速球は最も飛ぶボール? 球種別で見られる打球特性とは
また、平均打球角度が2.9°と低く、ゴロ割合が高くなっていた要因であると考えられる。特に、2シームをコンタクトした時の平均打球角度がマイナスの値を記録している。プロ野球では少なかった、高速でボールを動かすタイプの投手たちに苦戦した様子がうかがえる。
最後に、コース別の打球速度についてみていく(図4・5)。秋山はほとんどのコースで打球速度がメジャー平均よりも低い。その中で、平均を上回っているのは内角高め・真ん中外寄りの2コースのみである。
昨年8月29日のダルビッシュとの対戦では、秋山が155キロの内角高めの4シームを捉えて右前に運んだ。試合後のインタビューでダルビッシュは、「僕は今日の中では納得できる球だったけど、完璧にしっかり打たれた。もともといい打者というのは分かっていたけど、自分が思っている以上の打者なんだな」(引用)とコメントを残しており、秋山が同コースを得意としていることがうかがえる。
参考:サイ・ヤング賞受賞なるか!ダルビッシュ有の大躍進の秘訣に迫る!
勝利を呼び込む風になれ
今回は、メジャー1年目の秋山のトラッキングデータを分析してきた。日本屈指のアベレージヒッターは、メジャーのパワーピッチングに苦しむ結果となった。9月にはチームトップの打率を残すなど、メジャーでの対応を見せていただけに、今シーズンは開幕から優秀な成績を残せるのか要注目だ。待望のメジャー初ホームランも含め、今シーズンの秋山の活躍に期待したい。
引用サイト:ダル、秋山とメジャー初対戦「自分が思っていた以上のいい打者」(サンスポ)
https://www.sanspo.com/baseball/news/20200830/mlb20083010420004-n1.html
Baseball Geeks編集部