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MLB

千賀投手の代名詞「お化けフォーク」の実態とは!



目次
フォークボールとは
どうやってお化けフォークになったのか
お化けを支える千賀投手の球種
千賀選手へ ネクストベースの提言

今シーズンからニューヨークメッツに移籍した千賀滉大投手。現在(6/12日まで)、マックス・シャーザー、ジャスティン・バーランダーというメジャー最高峰の2人もいる豪華な先発陣の中で勝利数(6勝)、奪三振数(79個)がチームトップというエース級の活躍を見せている。そんな千賀選手の代名詞であるお化けフォークは一体どのようなボールなのか。その実態をデータで解き明かしていく。

フォークボールとは

森本:早くもお化けというところで人気を博している選手がおります。それが千賀選手です。ということで今回は千賀選手についてご紹介していきたいと思います。

神事:個人的に高校の時に動作分析したことがあって、空振りは多いですね。日本でもやはり空振りが多いピッチャーということでしたが、メジャーでも同様に空振りが多いというのが特徴かなと思いますね。

森本空振りや三振を奪う能力は、ここまでメジャーでも上位に匹敵するぐらいの活躍を見せていて、千賀投手といえば代名詞の“お化けフォーク”があります。メジャーリーグでいうとスプリットと呼ばれるボールが多いかなと思いますが、このボールはすでにメジャーリーグでも通用していると言っていいですか。

神事:非常に通用していると思います。

フォークボールの特徴

神事フォークは、メジャーリーグの全投球の中でも2%しか投げられていない非常に特殊なボールです。ですから、バッターからするとあまり見たことないボールだと思います。日本だと野茂投手も含めて海外に渡る選手の代名詞としてスプリットやフォークがあります。日本では当たり前ですが、アメリカでは投げるピッチャーがいないというのがこのボールの特徴ですね。さらに空振り割合が非常に高いというのもフォークの特徴です。球種別に空振り割合を見てみると、スプリット、フォークが最も空振りが奪える球種であるというデータもありますね。

写真1:球種別空振り割合(トップ6)

どうやってお化けフォークになったのか

森本:そのフォークの中でもなぜお化けと呼ばれるのか、その所以みたいなものはありますか。

神事:それを見る上で大事なのが、ボールの変化量です。これ(写真2)を見ていただくと、ストレートの真下にフォークボールがあることが分かります。ストレートと比べて、その真下に落ちるというのが、彼の(フォークボールの)1つ目の特徴だと思います。更にはというと、ここ(写真2)を見ていただくとマイナスの変化。

写真2:千賀選手の変化量図(ストレートとフォークの比較)

森本:このマイナスの変化というのは具体的にどういう変化や回転をしているんですか?

神事:スプリットはボールを挟みますので、ストレートよりも回転数が落ちる。その影響でボールが落ちていくというような現象になります。ただ千賀選手の場合、トップスピンをしているということが特徴です。普通ですと、ストレートはこういう形(バックスピン)で飛んで行き、スプリットも挟んでいても若干はバックスピンをしながら飛んでいきます。しかし彼の場合はトップスピンの要素(成分)を含んで飛んで行っています。具体的な投げ方で言うと、挟むんですけど、ボールをリリースする時に少しだけ人差し指に縫い目をかける形でリリースした後に、こういうような回転(トップスピン)をしていく中で少しジャイロ回転を含ませながら、ちょっとだけシュートしながら落ちていくということが彼のフォークボールの特徴になってます。

森本:本来のボールだとバックスピンがかかるので少し浮くという軌道になりますが、トップスピンがかかると、もう自分(ボール)から落ちていくんですね。

写真3:お化けフォークの握り

神事:お化けでいうとここ(右下)に投げられるボール。4つに分けられるところで、右下(写真4の薄い青部分)にいくボールは、メジャーリーグで投球されているボールの0.4%しかないです。ただでさえ、フォークボールは少ないですが、さらにそこ(右下)に投げられるボールっていうのが非常に少なくなっているということになります。(右下に)投げたいんですけど、投げるという上では非常に難しい技術が要求されると思います。こう(腕を左に)振っているのにこっち(右下)に落とすって、ちょっと考えられないテクニックじゃないかなと。いわゆる左ピッチャーのカーブとかスライダーみたいなものを右ピッチャーが投げるようなイメージなので、バッターからは予測ができないボールになっているんじゃないかと思いますね。

写真4:千賀選手の変化量図(フォークの特徴)

お化けを支える千賀投手の球種

森本:この千賀投手の他の球種についてはどんな特徴がありますか。

神事:カットボールと、いわゆるスイーパーみたいなものがあって、スイーパーも曲がりは非常に大きいということが特徴になってます。しかし投げる場所をもう少し工夫できるといいですね。対右打者に関しては右バッターのアウトコースに投げ切る。そして対左打者には外からストラークゾーンに入れていくボールを使うことで見逃し割合を増やすというところが、このスイーパーの使い方です。そのため、そこを洗練させていくことが必要だと思いますね。

森本:ストレートの質でいうと、どんな特徴がありますか。

神事:球速そのものは154キロを超えているので、メジャー平均よりもかなり速いということがわかります。ボールの変化でいうと平均に比較的近いボールにはなっています。ですからストレートは速いんですけど、いわゆる「伸びる」という球質ではなく、速いというのが特徴だと思いますね。

写真5:千賀選手の球種別平均値

千賀選手へ ネクストベースの提言

神事「フォーシームを高めに投げなさい!」です。なぜかというと、フォーシームそのものを高めに投げることによって空振りは増えるというところが1つメリットとしてあります。そしてお化けフォークを生かすという意味でも、(フォーシームを)高めに投げるとメリットがあります。ピッチトンネルという、ストレートと途中まで同じような軌道にさせたいっていうところを思うと、お化けフォークはお化けすぎて一回浮いてしまうというような特徴があります。1回浮くと、バッターからは『あ、なんかお化け来たな』となり、どうしても振られないっていうことが起こってしまう。そうなった時にお化けフォークにこのストレートを合わせてあげることで、よりこのお化けをお化けらしく見せるということが可能になる。ストレートを高めにきちんと投げていくと、途中から『お化けだ。』ということがわかるということになります。ストレートを高めに投げるということを徹底できれば、もっともっとストレートでも空振りが取れて、またフォークボール、お化けフォークでも空振りが増えていくということになるかなと思いますね。

森本:次回は大谷選手についての解説と提言をしていただきます!

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Baseball Geeks編集部