レッドソックス澤村拓一の投球データを分析!メジャー1年目から大車輪の活躍!
メジャーリーグのレギュラーシーズン終了まで残り1ヶ月を切った。メジャー1年目の澤村拓一は、リリーフとしてすでに51試合に登板する活躍をみせており、防御率3.06、4勝1敗という成績を残している。澤村の所属するレッドソックスは、チーム内での新型コロナウイルスの感染が拡大し、主力選手が次々離脱する苦しい状況だ。澤村も9月1日に陽性が判明したが、15日に復帰(日本時間)。今回は、澤村の今シーズンのこれまでの投球を、トラッキングデータから振り返っていく。
参考:澤村拓一が所属するレッドソックスってどんなチーム?投打のキーマンを紹介!
4シームとスプリット中心の投球!
まず、各球種の平均球速と投球割合をみていく(表1)。
最も投球割合の高い4シームは、155キロ近い平均球速を記録しておりメジャーの中でも高速である。現時点での澤村の今シーズン最高球速は、5月7日に記録した158.9キロだが、ライアン・マウントキャッスル(オリオールズ)にホームランを浴びている。
カッコ内は2021年(日本時間8月29日時点)のメジャー平均
そして、やはり特筆すべきはスプリットの球速だ。メジャー平均よりも10キロ近く球速が速くなっており、4シームとの球速比である球速(%)は95%を超えている。大谷翔平もスプリットを大きな武器としているが、大谷のスプリットよりも高速だ。この速さで大きく動くボールとなると、打者は容易には打ち崩すことはできないだろう。
参考:奪三振を量産する大谷翔平の高速スプリットとは?
メジャー平均よりも落ちるスプリット!
次に、各球種のボール変化量をみていく(図1)。
4シームはスライド成分が少し大きく、いわゆる「真っスラ」気味の変化をしている。また、ホップ成分はメジャー平均ほどだ。開幕時はホップ成分の大きい「ノビる」4シームを投球していたため、開幕時から球質が変わったようにもみえる。そして、澤村の最大の武器であるスプリットは、メジャー平均よりも落ちる球質だ。横の変化量のばらつきが大きく、変化の異なる2種類のスプリットを投げ分けていることも考えられる。スライダーは平均よりもホップ成分が大きく、4シームやスプリットとの区別がつきにくくなっている。
参考:澤村拓一の投球データを分析!大谷を上回る超高速スプリットとは?
最後にリスク管理表をみていく(図2)。
完全アウトの割合は、メジャー平均を上回っている。スプリットは右打者・左打者ともに、スライダーは右打者に対しての決め球となっており、多くの空振りを奪うことができている。この2球種の「Whiff%(空振り/スイング)」はメジャー屈指の高さであり、5割近い数字を残している。一方、四死球の割合が高くなっており、やはりコントロールは課題のようだ。
参考:【MLB2021】前半戦振り返り投手編!異次元の投球をみせるデグロムに注目!
ポストシーズン進出なるか?!
レッドソックスは現在、ア・リーグ東地区で4位だが、勝率.558、2位のヤンキース・ブルージェイズとのゲーム差はなしとなっており、ワイルドカードでのポストシーズン進出をかけて熾烈な争いを繰り広げている。メジャー1年目から多くの出場機会を得て躍動する澤村の投球を、ポストシーズンでも見ることができるのか楽しみだ。
Baseball Geeks編集部