前田健太・ダルビッシュ有の開幕戦を振り返る!データからみえた課題とは?
日本時間4月2日、ついに開幕した今シーズンのメジャーでは、前田健太(ツインズ)とダルビッシュ有(パドレス)が開幕投手という大役を担った。しかし、前田は4回1/3で2失点(自責点1)、ダルビッシュは4回2/3で4失点と、それぞれ勝ち星を挙げることはできなかった。そこで今回は、両投手がみせた開幕戦での投球をトラッキングデータから振り返る。
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前田健太:今季もスライダー中心の投球に注目!
まず、前田の開幕戦での投球データを昨シーズンの平均値と比較していく(表1)。球速には大きな変化はなかったが、投球割合をみると4シームの割合が減り、代わりに2シームやスライダーの割合が増えていることがわかる。4シームの投球割合は年々減少傾向にあったが、今シーズンもこの投球スタイルにさらに磨きがかかりそうだ。
投球割合が3%以上の球種のみ対象
続いて、ボール変化量を比較していく(図1・2)。開幕戦で奪った10個の空振りのうち6つがスライダーと、今シーズンもこの決め球の威力は健在なようだ。また、昨シーズンみられたカットボールに近い球質ではなく、横曲がりが大きなボールが多くみられた。同球種に対する空振りを奪うボールとしての役割が、これまで以上に高まっているのかもしれない。
しかし、最大の武器である落差の大きなチェンジアップでは2つしか空振りが取れていない。ボールゾーンに投球されたこの球種で空振りを奪うことができるのかどうかが、今後の課題といえるだろう。
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ダルビッシュ有:2つの球種をシフトチェンジか?
次に、ダルビッシュの投球データをみていく(表2)。ダルビッシュも球速には大きな変化はないようだ。投球割合をみてみると、前田とは反対に4シームが増加している。2018年以降、投球割合が減少傾向にあった4シームだが、今シーズンはどのような投球スタイルをみせてくれるのか注目だ。
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続いて、ボール変化量をみていく(図3・4)。昨シーズンと比較して大きな変化があったのは、カットボールとスプリットだ。昨年のカットボールは、小さく動かすようなボールからパワーカーブのようなボールまで同一球種内で様々な球質がみられたが、開幕戦では一般的なスライダーに近いボールだけがみられた。また、スプリットは昨シーズンの2シームに近い球質に比べると、落差が大きくなった。どちらの球種も、比較的左右どちらの打者からも空振りを奪いやすい球質に変化している。実際、開幕戦でダルビッシュが奪った8つの空振りのうち6つがカットボールであった。
一方、昨シーズン高い空振り率を記録したスライダーでは、空振りを奪うことができなかった。4月2日に対戦したダイヤモンドバックスのスターティングメンバーは、投手を除く8人のうち実に7人が左打ちだった。右投げの投手が投げる横曲がりが大きなボールは、左打者に対して見せ球にはなるが空振りを奪うことが難しい。今後、左打者への投球の組み立て方が課題のひとつといえるだろう。
前田が日本勢一番乗りとなる初勝利
今回は、前田とダルビッシュの開幕戦についてトラッキングデータで振り返った。前田は、今季2戦目となった日本時間8日のタイガース戦で6回6奪三振2失点と粘投し、日本人投手一番乗りとなる今季初勝利を挙げた。一方ダルビッシュは、7日のジャイアンツ戦で6回7奪三振1失点の好投をみせたが、またも勝ち星はお預けとなっている。
昨シーズンはサイ・ヤング賞候補に名を連ねた両投手。今回の開幕投手という大役を経て、今シーズンもさらにパワーアップした投球をみせてくれることに期待したい。
Baseball Geeks編集部