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MLB

進化した投手・大谷翔平の新たな武器とは?MVP獲得なるか



目次
投球の幅を広げる新球種2シーム
制球力向上による三振増加と四死球減少
2年連続のMVP獲得となるか

今シーズンの大谷翔平は投打でのダブル規定到達という前人未到の記録を打ち立てた。そんな中、投手大谷はア・リーグ4位の15勝を挙げた。また、防御率2.33も同4位、奪三振は219個で同3位という圧巻の成績を残した。サイヤング賞の最終候補になり得るとまでいわれた今シーズンの大谷だが、昨シーズンと比べてどこが進化したのか。今回はトラッキングデータを活用してその投球を振り返っていきたい。
参考:大谷翔平の開幕から1ヶ月を分析!魔球スプリットを超える球種とは!?

投球の幅を広げる新球種2シーム

新球種2シームの「変化量」は?

今シーズンの大谷を語る上で欠かせないのが、シーズンの途中から投球し始めた2シームだ(図1)。これまでの大谷は右打者の外角に逃げるボールや落ちるボールは投球していたが、内角をえぐるボールはなかった。2シームを習得したことで内外角を有効に使えるようになり、大谷の投球の幅はかなり広がったといえる。

図1 投手方向から見たボール変化

また、大谷の4シームはシュート成分が小さい分、打者は2シームが「大きくシュートする」ように感じるだろう。その他のスライダーやスプリットといった球種もメジャー平均と比べてかなり変化量が大きく、すべての球種で勝負できるところが投手大谷の最大の強みだろう。
参考:【2021年】メジャーリーグで投球される球質の特徴~ボール変化量とは~

球速や投球割合にも大きな変化?

もう一つ、今シーズンの大谷を象徴するデータがある。それは各球種の球速と投球割合だ(表1)。まず目につくのが、4シームの投球割合の減少とそれに伴うスライダーの投球割合の増加だ。これまでの4シームで押していく投球スタイルから、スライダーでカウントを取りつつ変化球主体で的を絞らせない投球スタイルへと変化していることがよくわかる。

表1 各球種の平均球速と投球割合(2021→2022)

近年のメジャーリーグでは4シームの投球割合を減らしている傾向にあり、大谷もモデルチェンジしているといえるだろう。また、全ての球種において昨シーズンと比べて平均球速が高まっているという点も、今シーズンの圧倒的な成績を支えた一因だといえるだろう。
参考:【2021年】4シームはリスクが高い?最新データから球種別の特性を探る

制球力向上による三振増加と四死球減少

続いて、リスク管理表から大谷の投球内容をみていく(図2)。今シーズンの大谷は四死球割合がメジャー平均以下であった。昨シーズンの大谷は四死球が多く、球数が増えて長いイニングを投げることができない試合もあった。この四死球割合の改善が安定した投球へとつながっているといえる。

また、メジャー平均と比べて完全アウト割合が非常に高いことも大谷の大きな特徴である。大谷は今シーズン、リーグ3位となる219奪三振を記録しており、奪三振率11.87は堂々のリーグ1位である。三振割合が向上し四死球割合が改善されたことが、今シーズンのキャリアハイの成績につながった理由であるだろう。
参考:奪三振の重要性とは!勝てる投手のリスク管理能力を分析

図2 リスク管理表

大谷がここまで高い完全アウト率を叩き出している理由を、大谷の決め球であるスプリットとスライダーの到達位置からみていく(図3・4)。空振りを奪っているスプリットはゾーンギリギリから低めのボールゾーンに、スライダーは右打者の外角低めに投球されている。空振りが欲しいタイミングで「空振りが取れる」コースに投球できていたことが、高い完全アウト率を誇る要因だったことがわかる。

図3 空振り時のスプリットの到達位置
図4 空振り時のスライダーの到達位置

2年連続のMVP獲得となるか

ここまで、様々なデータをもとに今シーズンの投手大谷の飛躍の要因を探ってきた。打者としても主軸を担いチームを引っ張りつつ投手としてもエース級の活躍を見せ、MVP最終候補にもノミネートされた”二刀流”大谷。2年連続MVP受賞となるのだろうか。
参考:弱点を克服した大谷翔平はMVP獲得なるか?打者大谷をジャッジと比較

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Baseball Geeks編集部