打者・大谷は189三振!空振りは本当にいけないことなの?
好打者はボールを見極めることができ、空振りが少ないと考える人は多いのではないか。ところで、昨シーズンメジャーでMVPに輝いた大谷は、メジャーワースト4位の189三振を喫していた。MVPに輝いた選手の三振がとても多かったというのは、優秀な選手は空振りが少ないという主張に矛盾しているように思う。そこで今回は、空振りは悪いことであるのか検証していく。
参考:2021年打者大谷翔平を分析!キャリアハイの要因は打球角度?
空振りするのは悪いこと?
空振り率の高い打者は?
まず、空振り率の高い打者についてみていく。今回は、「Whiff%(空振り/スイング)」という指標を用いる。これは、打者がスイングした際に、どれだけ空振りになったかを表す指標だ。
Whiff%が高い、つまり空振りの多い打者のランキングをみてみよう(表1)。
1位は、ハビア・バイエズ(タイガース)だ。なんとスイングの4割が空振りとなっており、31本の本塁打を放った一方でメジャーワースト5位の184三振を喫している。
昨シーズン規定打席に到達した打者を対象
2位は、昨シーズンメジャー最多の213三振を喫したジョーイ・ギャロ(ヤンキース)。3位は、183三振でメジャーワースト6位であったミゲル・サノ―(ツインズ)であった。打率は高くないものの、本塁打の多い打者たちだ。4位には大谷翔平(エンゼルス)もランクインしている。
空振り率の低い打者は?
ここで、Whiff%が低い打者、つまり空振りが少ない打者についてもみてみる(表2)。
ランキング1位は、デビッド・フレッチャー(エンゼルス)で10%を切っていた。同僚である大谷とは同い歳であり、2020年には高さ約1.4メートルのボール球を二塁打にするなど悪球打ちで有名な打者だ。
以上から、空振り率の高い打者には、ホームランバッターがずらりと並ぶことがわかる。一方、空振り率の低い打者は、足が速く当てるのが上手いアベレージヒッターとして結果を残している選手もいるが、いずれも本塁打は少なかった。空振りが多くなるのは、強打者を目指す上では仕方がないことであり、名誉の空振りともいえよう。空振り率だけで打者を評価するのは難しそうだ。
空振りを恐れず振りにいこう!
ここまで、空振り率から三振はいけないことなのかについてみてきた。プロ野球も開幕して1ヶ月以上が経った。応援しているチームの選手がチャンスで空振りをして、どうしてそんなボールに手がしまうのかと思ったことがある人も少なくはないのではないか。しかし、空振りを責めず、積極的に振りにいったことを褒めるべきかもしれない。
参考:打者の長打力の評価指標IsoPとは!
Baseball Geeks編集部