田澤純一が日本で再起を図る!メジャー時代のデータからみる復活のカギとは!
今月12日、メジャーリーグ(以下、メジャー)のレッドソックスなどで活躍した田澤純一投手がBCリーグ・埼玉武蔵ヒートベアーズへ入団することが発表された。
今回は、2013年にワールドシリーズ制覇の経験もあるベテラン投手が、今後日本球界で活躍するためのキーポイントについてメジャー時代の投球データから分析してく。
参考:MLB日本人投手のストレートを分析!ダルビッシュ・田中らの球質の違いとは!
日本で平均を超える4シームの球速!
まず初めに、田澤が最後にメジャーで登板した2018年のデータを球種別にみていく(表1)。
球種 | 球速 (km/h) | 球速割合 (%) | 投球割合 (%) |
---|---|---|---|
4シーム | 147.2 (150) | 100 (100) | 57.7 |
スプリット | 138.9 (137) | 94.4 (91) | 16.8 |
スライダー | 126.5 (136) | 85.9 (91) | 4.4 |
カーブ | 119.9 (127) | 81.5 (85) | 21.2 |
2018年シーズンのデータを分析。カッコ内はメジャー平均
最も投球割合が高いのは4シームで、投球の約6割を占めていた。次いでカーブ・スプリットの投球割合が高く、ほぼこれら3球種で投球が組み立てられていることがわかる。
4シームの球速はメジャーでは低速だが、日本ではまだまだ高速であろう。そのため、球速だけみると今後の活躍に期待が持てる。
また、カーブの球速割合はメジャー平均を大きく下回るスローカーブ系のボールであり、スプリットの球速割合はメジャー平均を大きく上回る超高速なスプリットである。
最大の武器は小さく逃げるスプリット!
続いて、各球種の変化量をみていく(図1)。
4シームは平均的な球質である。先述した通り、日本では平均以上の球速ではあるが、打者にとって見慣れた変化である。そのため、投球コースを徹底すること、変化球を上手く組み合わせた投球をしていく必要があるだろう。
スプリットの落差はかなり小さい。一般的に、高速で小さく落ちるボールは空振りよりもゴロを奪いやすい球質である。しかし、田澤のスプリットは外に逃げるような軌道で特異な球質といえる。落差こそ大きくないが、珍しい軌道であるため打者にとってはかなり打ちづらいボールかもしれない。
カーブは縦に大きく落ちるボールである。球速が低速であることからも、リリースの瞬間に打者に球種を見破られやすく、球数が増えてしまうかもしれない。そのため、メジャーでもトレンドになっているナックルカーブのように、高速に変化する球種にシフトチェンジしていくことも今後の活躍のポイントになるだろう。
メジャーでの成績不振の要因と今後の展望!
最後に、田澤の4シームの球速の経年変化をみていく(図2)。
2014年をピークに平均球速が右肩下がりに落ちていることがわかる。このことが、メジャーでの成績が悪化した要因の一つと考えられる。2018年時点では日本のプロ野球平均以上であったが、今後も球速低下が進むようであれば投球スタイルの変化が求められるだろう。
そこでポイントとなるのがカーブとスプリットだ。カーブを低速で大きく落ちるボールからナックルカーブやパワーカーブといった高速な球種にシフトチェンジすることや、特異な球質であるスプリットの投球割合を増やしていくことが、日本球界で生き残っていくための鍵になるかもしれない。
今回は、今シーズンから日本球界に復帰する田澤の投球データを分析してきた。今年で34歳のベテランだが、ワールドシリーズ優勝などの輝かしい実績と数々の修羅場をくぐり抜けてきた多くの経験を活かし、日本でもう一度活躍する姿に期待したい。
Baseball Geeks 編集部