2020年MLB日本人投手を分析!多彩な球種のダルビッシュ・球速1位大谷の投球スタイルとは?
プロ野球開幕が決まり、待ちに待った野球シーズンが始まろうとしている。そこで今回は、かつてプロ野球で活躍し、現在はメジャーリーグ(以下、MLB)でプレーする日本人投手について分析していく。
参考:【MLB最速投手ランキング】サイヤング賞バーランダーの順位は?
なお今回は、ダルビッシュ有・田中将大・前田健太・大谷翔平・平野佳寿・菊池雄星の昨シーズンのデータを比較した。
(※大谷翔平のみ2018年のデータ)
持ち球はダルビッシュが最多で8球種!
まず、それぞれの持ち球と投球割合について比較していく(表1)。
全投手が4シームとスライダーを投球していた。カーブやスプリットも持ち球とする投手が多かった中、ナックルカーブを投球していたのはダルビッシュのみであった。
最も多くの球種を投じたのはダルビッシュで8球種、最も投じた球種が少なかったのは平野で3球種であった。ダルビッシュはカットボールも複数有している可能性が高く、まさに多彩な変化球を操る投手といえるだろう。
参考:「先発タイプ」ってどんな投手?持ち球からその適性を考える
※小数第1位を四捨五入
4シームの投球割合は大谷・平野・菊池が非常に高く、約半数を占めていた。一方で、ダルビッシュ・田中・前田とMLBでのキャリアが長い投手等は4シームの投球割合が低いのが特徴であった。平均球速が速いMLBでは、速球中心のスタイルで長く活躍するのは容易でないのかもしれない。
変化球を見ると田中・前田はスライダーの投球割合が非常に高く、投球割合の約3分の1以上を占めていた。スプリット・チェンジアップといわゆる落ちるボールも得意としており、速球を併せた3球種を主体にする投球スタイルであった。
特異なのはダルビッシュで、最も投球割合が多い球種がカットボールであった。カットボールは元々MLB全体でも6%程度と少ない球種であり、投球の中心と据えているスタイルは非常に珍しいと言えるだろう。
球速からみる各投手の球種の特徴
続いて、各球種の球速および球速%を見ていこう(表2)。カッコ内は4シームに対する球速比(球速%)であり、数値が高いほど4シームとの球速差が小さいことになる。
4シームの平均球速が最も速かったのは大谷で、155キロとMLB平均よりも5キロ以上も速かった。先発ながらこの球速は特筆しており、復帰予定の「投手大谷」も楽しみでならない。
スライダーは全投手が投球するがタイプは異なる。菊池はカットに近い高速系であり、前田や田中は平均に近い球速、ダルビッシュや大谷は低速なボールであった。この「タイプ違い」については、今後変化量も含めさらに考察していきたい。
スプリット・チェンジアップといった落ちる系のボールは、基本的に90%に近い球速帯で空振りを狙うスタイルの投手が多いようだ。ただし、その中で特筆すべきは田中のスプリットである。代名詞ともいえるこのボールは、球速95%と非常に速い。落差に注目されがちな球種であるが、田中のスプリットはこの「球速」にも注目して欲しい。
投手によって投球スタイルは様々!
今回は、MLBで活躍する日本人投手の特徴について考察してきた。次回は、「ストレート編」と題してMLB日本人投手の4シームにスポットを当て、それぞれの球質について考察していきたい。
Baseball Geeks 編集部