サイ・ヤング賞候補デグロムを分析!メジャー屈指の高速スライダーで3年連続の受賞へ!
今シーズンのサイ・ヤング賞は、日本時間11月11日に発表される。日本人選手ではダルビッシュ有の受賞に期待がかかるが、そのライバルとして注目されているのがニューヨーク・メッツのジェイコブ・デグロムである。投手にとって最も名誉である賞のひとつ、サイ・ヤング賞を過去2年連続で受賞しており、今年も最有力候補として名前が挙がっている。そこで今回は、今シーズンのトラッキングデータでからデグロムの投球を分析していく。
参考:サイ・ヤング賞受賞なるか!ダルビッシュ有の大躍進の秘訣に迫る!
メジャートップクラスの球速で打者を圧倒!
はじめに、デグロムの球速と投球割合をみていく(表1)。
デグロムの持ち球は4シーム、スライダー、チェンジアップ、カーブの4球種であり、全ての球種でメジャー平均の球速を上回っている。中でも4シームの平均球速は158.4キロとかなり高速で、先発投手であるにもかかわらず、メジャートップクラスの記録を残している。
投球割合をみると4シームとスライダーの2球種で約8割を占めていることから、これらがピッチングの中心になっていることがわかる。しかし、4シームの投球割合は年々減少しており、打者は安易に狙い球を絞りづらくなっている。また、スライダーもかなり高速なボールで、投球割合をみても自信のある武器として使われているのだろう。
最大の武器は小さく曲がる高速スライダー!
続いて、各球種のボール変化量と投球位置をみていく(図1、2)。
4シームはメジャー平均よりもややホップ成分が高く、いわゆるノビのあるボールだといえる。さらに先述の通り、球速がかなり速いこともあり空振りを奪いやすいボールである。
参考:ホップ成分が大きい速球は空振りを奪いやすいって本当!?
スライダーは変化量が小さく、高速かつ小さく曲がるボールである。空振りだけでなくゴロにも打ち取りやすい、まさにデグロムの最大の武器と呼べるだろう。チェンジアップはかなり落差が大きく、スプリットに近いボールである。さらに、ややシュート気味に落ちることから、左打者に対してとても有効な球質といえる。
投球到達位置をみると、4シーム・スライダー・チェンジアップが異なるコースに制球されていることがわかる。具体的には、それぞれ高め・(右打者の)外角低め・(右打者の)内角低めに投げ分けられている。各球種の球質を考慮すると、これらのコースはいわゆるピッチトンネルの構成を促し、打者はより一層球種を絞ることが困難になるだろう。各球種の特性を活かしたコースに投げ分けることができる制球力も、デグロムの強みのひとつである。
3年連続サイ・ヤング賞受賞なるか
ここまで、今シーズンのデグロムの投球をみてきた。デグロムは、メジャートップクラスの球速に加え、4シーム・スライダー・チェンジアップの3球種でピッチトンネルを構成した投球スタイルを確立している。このことからも、2年連続でサイ・ヤング賞を受賞している理由がわかるだろう。今シーズンはダルビッシュなど様々な投手がナショナルリーグのサイ・ヤング賞候補として名乗りを挙げている。果たしてデグロムは3年連続で受賞することが出来るのか、要注目である。
- ジェイコブ・デグロムのココがすごい!
①メジャートップクラスの球速!
②高い投球割合を占める高速スライダー!
③各球種を活かす高い制球力!
Baseball Geeks 編集部