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MLB

藤浪晋太郎 復活に向けた提言!



目次
藤浪選手の現状は?
横に広いリリースポイント?
バラついている回転数
藤浪選手に届け! 復活への提言

MLB開幕から2か月ほど経ち、日本人プレーヤーの活躍が耳に入ってくる。その中で、ネクストベースの上級主席研究員の神事とトップアナリストの森本が各日本人MLBプレーヤーについて深堀りしていく。第一弾はアスレチックスの藤浪晋太郎投手だ。

藤浪選手の現状は?

森本:5月時点で初勝利をあげました。しかしながら、防御率10点を超えているということで、中々苦しんでいるという出足です。ここまでのピッチングを見てどうですか?

神事:コントロールは日本にいた時から不安定でしたが、それがそのままMLBでも露呈してしまったという形ですね。

森本空振り率はMLB上位の数値を記録、ストレートのスピードはMLB上位2割に入るほどであり、持っているボールはMLBでも引けを取っていないです。一方、フォアボールが多く、コントロールが課題というところが顕著です。コントロールに関して何か気になっているデータはありますか?

神事:気になる点は2つ。リリースポイントと回転数です。

横に広いリリースポイント?

森本:こちらが藤浪投手のリリースポイントになります(図1)。比較しながら、解説していこうと思います。大谷選手のリリースポイントはこのようになっています(図2)。大谷選手の特徴としては、球種ごとにリリースポイントが異なっているという点が挙げられます。

藤浪選手リリースポイント
図1 藤浪投手のリリースポイント
大谷選手のリリースポイント
図2 大谷選手のリリースポイント
ダルリリースポイント
図3 ダルビッシュ投手のリリースポイント


神事スイーパーだとリリースの位置が低く、カーブにおいてはリリースの位置が高くなるというのも特徴だと思います。

森本:続いて、ダルビッシュ投手です(図3)。色々なボールが非常に近いリリースとなっています。非常に多彩な球種を持っているダルビッシュ投手ですが、近いリリースポイントから投げるというのが特徴です。

森本:再び藤浪投手のリリースについてですが、どのような特徴がありますか?

神事:球種の中で非常に大きくばらついています。横幅だと30cmぐらいのバラつきが出ています。特にフォーシームは、横に広くなっています。大谷投手の場合、下から順にスイーパー、ストレート、カーブと斜めの範囲の中でリリースが収まっているというのが特徴です。本来ならば、肩・体を傾けることでボールの制御をしたいのですが、肘の角度でリリースをコントロールしてしまっている可能性が挙げられます。手先で制御しようとすると、速い動きの中でコントロールしなくてはいけなく、ばらつきが大きくなります。それよりも体の近いところ、つまり速度の遅いところでコントロールしてあげると、その分だけ定まりやすくなります。
参考: 菊池雄星が独白!メジャー挑戦を支えた最先端のデータ活用法とアナリストとの対話

バラついている回転数

森本:もう1つ気になる点として挙げられていたのが、回転数です。藤浪投手のストレートの平均回転数が1800 回転台で、これはメジャー下位1%に当たります。

神事:大谷選手は同じような球速でありますが、2200回転を超える回転数であるというところを考えると、かなり低いというところがまあ分かると思います。球が速いから空振りは奪えているのですが、いわゆるノビとか球質で勝負するとなると、この回転数の改善しておきたい点だとと思います。

森本:逆にいうと、まだまだ空振りでストライクをとれる余地は残っているということですね。回転数が少ないことに際して、コントロールや制球面での影響はありますか?

神事:藤浪投手は回転数そのものが低いってところだけではなく、回転数のばらつきも非常に大きいということが分かってます。平均回転数は1800回転ですが、2200回転を超えるものもあれば 1500回転ちょっとのボールもあるという状況です。

森本:球速を横軸として、縦に回転数を取ったようなデータを出していますが、かなりバラつきがあります(図4)。

図4 球速と回転数

神事ボールに加える力も非常に大きくバラついているというのが可能性としてあります。回転数が多いピッチャーは指があまり伸びることなく回転を与えているのですが、藤浪投手のように回転があまりかからないピッチャーですと、指が伸びてしまってプッシュする形で回転を掛けています。プッシュする形ですと、回転数が抑えられてしまいます。フォームが安定していなく、かつボールに加える力も安定しないため回転数のバラつきが出てきてしまっています。ボールの投射の方向も違く、投げられたボールの変化も違うというところで非常に制御しにくい条件が整ってしまっているというのが現状です。

森本:すぐに出来る改善点はありますか?

神事:回転数のバラつきを改善するならば、ボールの握りを深めにすることだと思います。MLB球は滑りやすく、指が伸びやすくなってしまいます。ボールの握りを深めにすることで、ボールが抜けにくくなり、回転数が上がると考えられます。

森本:藤浪投手は手も大きく、指も長いですから深い握りでも対応できそうですね。

神事:報道によるとそういう深い握りを試したことがあり、あまり上手くいかなかったとのコメントもありました。とはいえ、更にボールに加える力を安定させる取り組みとして、まずできることだと思います。
参考:“回転数多い=ノビのある球”ではない? データから迫る「ノビ」の正体

藤浪選手に届け! 復活への提言

神事:僕達のラボは、シーズン中でも動作分析をしたいというプロ野球選手が来ているというところもありますし、実際に藤浪投手の動作分析は是非ともしたいところです。例えば10球投球してどこにバラつきが大きいのか、仮説では多分肘とか手先の方でのバラつきが大きいんじゃないかと考えてます。肘・手先に頼らず、コントロールしていくというところに焦点を当てて、ディスカッションさせてもらえたらなと思います。サンフランシスコ経由で市川に来てもらって、動作分析してかつ握りをチューニングできればいいですね。

森本:コントロールっていうのは、まあ多くのピッチャーの中でも永遠の課題かなと思いますね。気持ちが弱いとかなんかこう色んな心の状態がとか言われたら余計になるから!
次回はレッドソックス吉田正尚選手について解説・提言をしていただきます!

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Baseball Geeks編集部