二刀流大谷翔平の2020年打撃データを分析!復調へのカギは変化球への対応?
ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平はメジャー移籍後、ア・リーグでの新人王受賞やサイクルヒット達成など大きな活躍をみせてきた。このような背景のなかで、メジャーでは2020年シーズン初めに「Two-Way Player rule」という二刀流選手のための新ルールが適用された。そこで今回は、ルール改正にも影響を与えるほどの注目を集める大谷の打撃を昨シーズンのトラッキングデータから振り返る。
大幅改善されたゴロ割合が復調の兆し?
まずはじめに、被リスク管理表をみていく(図1)。単打だけでなく長打にもなりやすい外野フライやライナーの割合が、メジャー平均よりも低いことがわかる。一方、完全アウトの割合はメジャー平均を上回っている。昨シーズン、大谷の打撃は低調に終わったが、打球特性の面からも苦戦していたことがうかがえる。
ポジティブな結果としては、ゴロ割合が前年から大幅に減少した点があげられる。今シーズン、好成績を残すためにはさらにゴロを減らすとともに、正確性を向上させ長打になりやすいフライやライナーの割合を増やしたい。
参考:大谷翔平の2019年シーズンをデータで評価!今季活躍の鍵は打球角度?!
直球系に対して圧倒的な打球速度を記録!
続いて、球種別の打撃特性をみていく(図2・3)。打球速度・角度ともに、4シームや2シームなど直球系の球種に対してメジャー平均を上回っていることがわかる。プロ野球よりも平均球速が高いメジャーでも、高速な速球に見事に対応することができている。
参考:【MLB打者ランキング2018年】大谷翔平1年目の打球速度は?
しかし、カーブを除くその他の変化球に対しては、打球速度と打球角度は低い値を記録している。特にスライダーやチェンジアップは、持ち球とする投手が多い球種であるため対策が必要かもしれない。
最後に、コース別に打球速度をみていく(図4・5)。注目は、高めのコースでメジャー平均を上回る打球速度を記録している点だ。メジャーでトレンドとなっている「高めに投球される速球」に対して、しっかりと対応できることがわかる。
しかし、低めのコースでは打球速度がメジャー平均を下回っている。先述したスライダーやチェンジアップなどの変化球は、低めに集められることが多い。そのため、今シーズンの活躍は低めの変化球への対応力がポイントになるかもしれない。
チームを7年ぶりのプレーオフへ導けるか!
今回は、打者大谷のトラッキングデータを分析してきた。昨シーズンは、打率.195・本塁打7本と満足のいく結果とはいかなかった。しかしながら、直球系の球種にはメジャーの強打者にも引けを取らない打球を放っていることもわかった。今シーズンは、変化球に対しても高い打球速度・角度を記録し、エンゼルスを7年ぶりのプレーオフ進出へ導くことを期待したい。
Baseball Geeks編集部