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MLB

2021年打者大谷翔平を分析!キャリアハイの要因は打球角度?



目次
本塁打と外野フライの割合の増加に注目!
ライト方向への打球に大きな変化が
変化球への対応が改善!
ゾーン内のボールを積極的に振るようになった
ア・リーグMVP受賞!

2021年の大谷翔平は圧巻だった。打者として46本の本塁打を放ち、サルバドール・ペレス(ロイヤルズ)、ブラディミール・ゲレーロjr(ブルージェイズ)との激しい本塁打王争いを演じた。投手として、160キロを超えるボールを投げ、9勝をあげた。投打ともに傑出した成績を残したことでア・リーグMVPを受賞した。今回は、これまでのシーズンとなにが違うのか、2021年の打者大谷を探っていく。

参考:大谷翔平は投打で最速!記録ずくめの今季初登板&二刀流をデータで分析

本塁打と外野フライの割合の増加に注目!

まずは、リスク管理表をみてみる(図1)。最下段が最新の2021年のデータである。

図1 打者大谷のリスク管理表(2018-2021)

2021年の大谷は、ゴロの割合がこれまでで最も低く、外野フライ割合+本塁打割合がこれまでで最も高くなった。これは、打球角度が大きくなったことによるフライの増加が考えられる。フライが増えたことで長打になる打球が増え、2021年の好調に繋がったのではないだろうか。

しかし、完全アウトの割合が最も高く、三振が多いシーズンとなってしまった。2022年の課題となりそうだ。

ライト方向への打球に大きな変化が

つぎに、打球の性質をみていく。
2021年の大谷の特徴として、打球方向による打球性質の違いがあげられる。

打球方向の割合

まずは、打球方向の割合からみていきたい(表1)。2019年の大谷はレフト方向にも飛距離の大きな打球を放つことができることが強みであり、ゴロは引っ張り方向に、フライはセンターから左中間に打つという傾向であった。
参考:打者・大谷翔平 2年目の進化【前編】~キーワードは「打球速度」~

一方、2021年の打球方向の割合をみてみると、以前よりも引っ張り方向への打球が増えている事がわかる。一般的に、引っ張り方向は打球が最も飛びやすい方向であり、打球の飛距離が伸びていることがわかる。
参考:なぜ流し打ち方向への打球は飛ばないのか?

表1 大谷の打球方向別の割合

打球速度と打球角度

次に、打球速度と打球角度をみていく(表2・表3)。
打球速度と打球角度は、近年注目されている「バレル」を構成する要素であり、打者のパフォーマンスを評価するうえで重要な指標である。
参考:注目の指標バレルとは?打球速度と打球角度の重要性

まず、打球速度からだ(表2)。2021年の大谷は、以前よりも引っ張り方向に強い(高速な)打球を放っている。これは、打球割合(表1)も含めると、以前よりもボールを前(投手側)でインパクトできているか、スイングスピードが増大している可能性があると考えられる。
参考:なぜ流し打ち方向への打球は飛ばないのか?

表2 大谷の打球方向別打球速度

次は、打球角度だ(表3)。リスク管理表(図1)でもふれたように、2021年は、外野フライと本塁打の割合が大きい。このことから打球角度も2021年の活躍の要因だろう。
2020年の打者大谷の記事において、「打球角度」が小さいことが課題の1つであるとした。
参考:二刀流大谷翔平の2020年打撃データを分析!復調へのカギは変化球への対応?

表3 大谷の打球方向別打球角度

2021年は全方向で打球角度が向上しており、特に、ライト方向(引っ張り方向)への打球角度が大幅に増大している。
今シーズンの大谷は「バレル%(打球に占めるバレル打球の割合)」が非常に高く、メジャートップの22.3%を記録している。
参考:【MLB2021】指標「バレル%」から注目打者を紹介!

変化球への対応が改善!

次に、速球と変化球への対応をみていく(表4)。
大谷は、もともと速球に対してはしっかり対応できており打球速度においては、各年で150キロ以上を記録している。これは2021年のメジャー平均を大きく上回っている。

表4 大谷の年度別速球と変化球のスタッツ

※速球は4シームのみ。変化球は、2シーム・カットボール・スライダー・チェンジアップ・スプリット・カーブが対象。その他球種は扱わなかった。
※打球速度・打球角度は、インフィールド内に飛んだ打球の平均値。

2021年に大きく変化したのは変化球への対応である。大谷の2021年での変化球に対するデータをみると、打球速度・打球角度ともにメジャー4年間で最高の数値となっている。変化球が来てもライナー性またはフライ性の打球を打てるようになっている

データから速球よりも変化球の方が打球速度が低くなるということが分かっているが、2021年大谷の変化球の打球速度は、メジャーの速球に対する平均打球速度をも大きく上回っている。大きく飛躍した要因として、変化球をうまく打てたことも挙げられるのではないだろうか。
参考:【2021年】4シームはリスクが高い?最新データから球種別の特性を探る

ゾーン内のボールを積極的に振るようになった

最後に、ストライクゾーンとボールゾーンそれぞれに投球されたボールへの対応を表す指標をみていく(表5・6)。
大谷は、昨シーズンよりもストライクゾーンのボールの見逃し率が減少し、スイング率が増大している。昨シーズンよりも「空振り/スイング率」は悪化しているものの、積極的にスイングしていくことが大谷自身のメジャーキャリアハイにつながったのかもしれない

表5 ストライクゾーンへ投球されたボールへの対応
表6 ボールゾーンへ投球されたボールへの対応

ボールゾーンに対しては、空振り/スイング率が悪化している。来シーズンは、ボールゾーンへのボールをどのように対応するかが課題となってきそうだ。

ア・リーグMVP受賞!

ここまで、2021年の打者大谷をみてきた。
見事な活躍を見せ、MVPとなった。最終戦までもつれこんだ本塁打王争いは惜しくも3位となってしまった。しかし、今シーズンの二刀流での成績が日本のみならず、アメリカでも多くの人々を興奮させたに違いないだろう。2021年を振り返ると、MVP受賞、本塁打王争いだけでなく、2way-player枠やオールスターでの史上初となる二刀流などメジャーの話題を多く集めた。
2022年は、どのような活躍を残すのか。大谷から目が離せない。

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Baseball Geeks編集部