アナリストが選ぶMVPは大谷翔平orジャッジのどっち！？

明日、メジャーリーグ（以下、メジャー）のMVPが発表される。アメリカン・リーグでは、投打でのダブル規定到達という前人未到の記録を打ち立てた大谷翔平（エンジェルス）、リーグ本塁打記録を61年ぶりに更新させたアーロン・ジャッジ（ヤンキース）の2人が最有力候補とされている。今回は、ネクストベースに所属するトップアナリストの3人にMVP予想を聞いた。

山口：規定打席に到達した打者65名、規定投球回に到達した22名の成績に対してポイントをつけていきました（図1）。打撃の成績にこのポイントを換算させると、ややジャッジの成績が大谷を上回ります（図2）。

参考：弱点を克服した大谷翔平はMVP獲得なるか？打者大谷をジャッジと比較

山口：しかし、大谷は投手としても活躍していますので投手部門もポイント付けしていこうと思います。大谷はほとんどの成績がリーグ10位以内を記録しているため、投手成績だけで96ポイントと好成績です。打者のポイントと合算するとジャッジが263ポイント、大谷が345ポイントと上回ります（図3）。これらの理由から、大谷がMVPに該当するのではないかと考えます。

参考：進化した投手・大谷翔平の新たな武器とは？MVP獲得なるか

森本：私はジャッジがMVPになると予想します。ヤンキースは激戦区とも呼ばれるア・リーグの東地区で優勝、地区の中でもHR・得点・打点・盗塁がトップの成績でした（図5）。このヤンキースの成績からジャッジの成績を引き、差分を算出しました。HRはブルージェイズに次ぐ成績だったものの、得点・打点がリーグ最下位になってしまいます（図6）。

森本：ジャッジがいなくなった場合、他の選手で代わりは務まるのでしょうか。ジャッジ・ジャッジ以外のレギュラー選手・レギュラー選手以下でグループを作り、平均打球速度・推定打率・推定長打率・推定HR率を算出しました（図7）。この成績をみてもジャッジの代わりが務まる選手はレギュラー選手以下のみならず、レギュラー選手にも存在しないということがわかります。優勝の立役者であり、唯一無二の存在でもあるジャッジがMVPを受賞すると考えています。

参考：注目の指標バレルとは？打球速度と打球角度の重要性

神事：打球速度と球速、この2つに絞って考えました（図8）。大谷は最高打球速度191.7キロ、ジャッジは190.5キロと大谷が上回っています。また、大谷は最高球速163.2キロ、ジャッジは159キロを記録しました。ジャッジは送球のデータになりますが、球速の面でも大谷が上回っています。

神事：ノルディック複合というスポーツはジャンプとクロスカントリーの両種目の成績によって順位を争います。この種目の王者には「KING OF SKI」といった称号が与えられますが、これを野球に置き換えて考えました。打球速度といったパワー部門、投球部門といった技術部門の両方を兼ね備えた大谷はまさしく「KING OF BASEBALL」の称号が与えられる選手であり、MVPにふさわしい選手だと考えます。

今回は、ネクストベースが誇るトップアナリストたちにア・リーグMVPの予想を聞いた。どちらの選手も甲乙つけ難いといった活躍をみせており、受賞発表が待ち遠しい状態である。受賞を手にするのはメジャートップクラスの投手、野手成績を記録した二刀流か。それとも圧倒的打撃力を見せつけ、半世紀以上ぶりに記録を更新させたメジャー屈指の大砲か。歴史的な瞬間を見逃すな。