大谷翔平の開幕から1ヶ月を分析!魔球スプリットを超える球種とは!?
昨シーズン、投手として100イニング・100奪三振、打者として100安打・100打点・100得点以上をマークし、ギネス記録に載るほどの大活躍を見せたエンゼルス大谷翔平。今シーズンも既に3勝、8本塁打と好調だ。19日の登板も勝利こそはしなかったが、6回2失点・7奪三振と好投を見せた。今シーズンもメジャーで注目すべき選手の1人だろう。
今回は、2022年5月18日までの投手大谷が昨シーズンからどのような変化をしているのかについて探っていく。
参考:大谷翔平の今季初登板をデータで分析!新しいスライダーで奪三振の山を築く
全球種の球速が向上!カーブ・スライダーは魔球超え!
持ち味の豪速球は最速を更新!
まずは、平均球速と投球割合をみていく(表1)。
注目すべきポイントは全球種の球速が上昇していることだ。特に、4シームは156.0キロを記録している。これは、今シーズンのメジャー平均(151.0キロ)を上回るだけでなく、トミー・ジョン手術前、かつ自己最速であった2018年の平均球速(155.5キロ)よりも上回っている。持ち味ともいえる豪速球の更なる進化に注目したい。
また、今シーズンはカーブ・スライダーを多投していることもみてわかる。この2球種は「空振り/スイング率」が脅威の50%超えを果たしている。スイングされた2球のうちに1球は空振りを奪っていることになる。これは、昨シーズンに「魔球」といわれたスプリットよりも「空振り/スイング率」が高い成績だ。
参考:大谷翔平の今シーズンを大予想!【第3回:スプリット学】
変化量は今シーズンも健在!
大谷の変化量の特徴として、カット気味に動く4シーム・メジャー平均に比べて大きく横に曲がるブーメラン系のスライダーが挙げられる。各球種のボール変化量を昨シーズンのものと比較すると、大きな差異がないことがわかる(図1・2)。しかし、変化量を維持しつつ、球速が昨シーズンよりも速くなっているため、打者はより判断が困難になるだろう。
一方、昨シーズンの全投球中12.2%を占めていたカットボールが今シーズンはほとんど投じられていない。このカットボールは、大谷特有の大きく横に曲がるスライダーと4シームの中間球の役割を果たしていた。投球の幅を広げるために効果的な球種だが、今シーズンは影を潜めている状態だ。
「空振り/スイング率」が大幅に上昇したカーブ・スライダー。一方、効果的な球種ではあるが、今シーズンあまり投じられていないカットボール。進化した武器をどう活かしていくのか、今後の組み立てに注目だ。
奪三振力が向上!しかし懸念すべき点も?
最後に、リスク管理表をみていく(図3)。
2022年現在までのリスク管理をみると、完全アウト割合がメジャー平均だけでなく、昨シーズンの成績を大きく上回っている。現在奪三振数は53個、リーグ4位の成績だ。また、四死球割合はメジャー平均・昨シーズンの成績よりも低くなっている。今シーズンは昨シーズンよりもコース内での勝負ができているのかもしれない。
参考:奪三振の重要性とは!勝てる投手のリスク管理能力を分析
しかし、懸念すべき点もある。外野フライの割合が昨シーズンよりも上回っているということだ。外野フライになると長打の確率が増え、ライナーに至っては37%の確率でしかアウトを奪うことができない。更なる活躍のために修正すべきポイントになるだろう。
進化をみせる大谷!8年ぶりの地区優勝なるか
今回は、2022年現在までの投手大谷の活躍について振り返ってきた。昨シーズンよりも進化した点が多く、今シーズンも楽しみな要素が多い選手なのは間違いない。また、エンゼルスは現在地区で2位であり、1位のアストロズと首位争いを繰り広げている。自身初・チーム8年ぶりの地区優勝を達成できるのか期待したい。
Baseball Geeks編集部