スタットキャストとは?メジャーの最先端技術を紹介!
打球角度、スピンレート、ルート効率。
大谷移籍を機にメジャーリーグ中継を見始めた人は、耳慣れないデータを聞くことが増えてきたのではないだろうか?
近年メジャーリーグでは、スタットキャスト(Statcast)というシステムを導入したことにより、野球中継に大きな革命が起きている。
あらゆるプレイが数値化できるようになり、これまで漠然としかわからなかった選手の「すごさ」を客観的な指標で表現できるようになったのだ。
今回は、日本でも注目されはじめている「スタットキャスト」について解説していこう。
スタットキャストとトラックマンは何が違う?
スタットキャストとは、ボールを追尾するレーダー「トラックマン」と、人の動きをカメラで捉える「映像解析システム」を統合したITシステムである。メジャーリーグ中継で表示されるデータは、「トラックマン」「映像解析システム」の両データを元に表示されている。
スタットキャストはよくトラックマンと混在されるが、実はトラックマンは「スタットキャストの一部」なのだ(図1)。
トラックマンは軍事用レーダーでボールをトラッキングするシステムで、投球されたボールの回転数や打球の角度などが計測できる。映像解析システムでは、画像解析によって選手の動きをトラッキングし、走塁や守備に関する数値が計測できる。
参考:「トラックマン」とは?最先端の計測機器で取れるデータを紹介!!
では具体的にどのようなデータが取得できるのか代表的な項目を紹介していこう。
スタットキャストで取得できるデータ
- 投球データ
・球速
・回転数
・ボールの変化量
トラックマンで測定される。回転数が注目されがちだが、それだけではなくボールの変化の大きさを測定することもできる。
参考:メジャーリーグで投球される球質の特徴~ボール変化量とは~
- 打撃データ
・打球の速度
・打球の角度
・打球の飛距離
トラックマンで測定される。メジャーリーグの打者は、長打になりやすい打球の速度と角度を示す「バレルゾーン」への打球を意識している。
参考:【打撃特集2】注目の指標バレルとは?打球速度と打球角度の重要性
【動画】ボールの軌道や飛距離などがビジュアル化される
- ランナーデータ
・打撃してから各塁までの到達時間
・最高速度
・リードの大きさ
映像解析システムで測定される。リードを含めた「客観的な走力」を数値化することができる。
【動画】「走力」が客観的な数値でわかる
- 守備データ
・打球に到達するまでの距離
・野手が投げた球速
・捕手から各塁への送球時間
映像解析システムで測定される。エラー数だけでは測れない外野手の捕球能力を測る指標も登場している。
【動画】本当の「ファインプレー」がわかる
日米でのデータ活用の違い
「データ」と聞くと、分析好きなコアなファンのためのものだと思う人もいるかもしれない。しかし、メジャーリーグではスタットキャストでデータを使った新たな野球の見方を提供し、新たなファンの創出した。
このように、データにはスポーツを面白くする大きな可能性があるのだ。
大谷ら日本人メジャーリーガーの活躍で、日本でもデータを使った報道が少しずつ増えてきた。日本プロ野球でもスタットキャストのような「革命」が起き、新たな楽しみが増えることを期待したい。Baseball Geeksでは、これからもデータ×野球(スポーツ)の可能性を信じ、新たな楽しみ方を発信していく。(敬称略)
Baseball Geeks編集部