大谷翔平、衝撃の2勝目を分析!快投の鍵はダルビッシュ似となったストレートの球質!?
「投手」大谷にとってメジャー2戦目、本拠地初登板となるアスレチックス戦は圧巻の投球であった。6回までなんと1人のランナーも許さず、7回12奪三振の好投で2勝目をマークした。
今回はそんな4月8日の投球を、トラックマンデータを使って解説したい。
デビュー戦分析はこちら:大谷翔平デビュー戦の全球種をデータで分析!武器は球速160キロの速球だけにあらず!?
意外にも、球速はデビュー戦以下!?
まずは各球種の球速をデビュー戦と比較してみる。大谷最大の特徴はスピードボールだ。4シームの球速はデビュー戦、2戦目共にメジャーリーグ平均(150キロ)を大きく上回る球速だった(表1)。
球種 | 平均球速 (km/h) | 最高球速 (km/h) |
---|---|---|
4シーム | 157→155 | 160→160 |
スプリット | 144→139 | 146→144 |
スライダー | 132→130 | 137→133 |
カーブ | 121→114 | 122→118 |
各データは左からデビュー戦→2戦目
しかし意外にも、全球種の平均球速はデビュー戦の方が高かった。では2戦目での快投にはどんな秘密があったのか。ボール変化量の観点から、ボールの「質」を比較してみたい。
ボール変化量の解説:野球データ分析における新時代の幕開け
ダルビッシュ似に変化した4シームの球質…!?
デビュー戦の全投球と、2戦目の全投球のボール変化量をプロットした(図1、2)。
大きく違いが見られたのが4シームの変化量だ。
デビュー戦の4シームは平均よりもホップ成分が小さくいわゆる「伸び」の小さなボールだったが、2戦目の4シームはホップ成分が増加しシュート成分が減っている。
カットボールにやや近い変化で、ダルビッシュの4シームに近い球質となっていた。2戦目は変化球の変化量にばらつきがあったものの、4シームの「質」が高まったことで変化球の効果も高まり多くの空振りを奪った。
参考:「ダルビッシュ、田中将大、上原浩治のストレートは変化球?」データで分析
ホップ成分増加でさらに進化?
4シームの球質が変化した大谷が、最後に4シームの「ホップ成分」にフォーカスしたデータをみてみよう。
今シーズン大谷が投球した全4シームから、フェア打球となったボールと、空振りを奪ったボールのホップ成分を比較した(図3)。
空振りを奪ったボールはフェア打球となったボールよりも「伸び」ており、ホップ成分が増加するに従って打者が捉えにくくなっている。大谷の4シームは球速が非常に速い。回転軸の向きが良くなり、2戦目のようにより「伸び」のある4シームとなれば、さらに空振りの奪えるボールとなるだろう。
【動画】4シームで空振りが奪えたことが好投につながった
以前のコラムで紹介したように、大谷は変化球にも武器を持つ。
4シームの「質」が高まれば、さらに進化した投球がみれるに違いない。
Baseball Geeks編集部