楽天の新外国人ブセニッツを分析!真縦に落ちる高速カーブが武器!
今シーズン楽天にアラン・ブセニッツが加入した。巡ってきた来日初登板以降、好投を続けている。今回はブセニッツの投球をトラックマンデータを使って分析していく。
チームの外国人事情
楽天の外国人枠は、中継ぎとしてフル稼働している宋とハーマン、攻撃の中心のウィーラーとブラッシュで埋まっていた。しかし、ハーマンが登録を抹消され、ブセニッツに登板機会が巡ってきた。上位に位置するチームを支えたハーマンの代役、それ以上の活躍ができるか注目が集まる。
球速が最大の武器!
まずは各球種の球速と投球割合を見ていく(表1)。持ち球は4球種だが、4シームが6割、カーブが3割以上と主にこの2球種で構成している。
球種 | 球速 (km/h) | 球速 (%) | 投球割合 (%) |
---|---|---|---|
4シーム | 153.4 (150) | 100.0 (100) | 61 |
カーブ | 133.0 (126) | 86.7 (85) | 35 |
2シーム | 152.6 (148) | 99.5 (100) | 4 |
チェンジアップ | 143.4 (136) | 93.5 (91) | 1 |
2018年シーズンのデータを分析。カッコ内はメジャー平均
注目すべきは、すべての球種の球速がメジャー平均を超えていることだ。4シームの平均球速は新外国人投手の中で2番目に速い。昨年メジャーで最速158キロを計測しており、力のあるボールを投げ込んでくる。また、カーブの球速は133キロ(速球比87%)と超高速であり、高速カーブを駆使して活躍しているジョンソン(阪神)よりもさらに速かった。
参考:【2019年】新外国人投手を徹底解剖!トラックマンデータでみる速球1位は!?
真縦に落ちる高速カーブ
続いて、各球種のボール変化量を見ていく(図1)。4シームは縦、横の変化量ともに平均的な球質である。
カーブは縦の変化量が大きいのが特徴だ。横変化の大きなジョンソンのカーブとは違い、真縦に落ちるボールである。
カーブは元々落下しながら打者に向かう軌道のため、打者は打球角度を上げにくい。さらに、ブセニッツのカーブは非常に高速に大きく落ちてくる軌道で打者に向かうため、ゴロや空振りを量産できる球種であろう。
活躍のカギは第3の球種
それでは、ブセニッツは大活躍間違いないのか。そのためにポイントとなるのが第3の球種である。
ブセニッツの投球割合の大半は4シームとカーブで占めているが、変化量が大きいカーブは4シームとピッチトンネルを構成するのが難しく、球種の判別自体はしやすい。そのため打者に球種を絞られたり、どちらかの球種の制球が乱れた場合には単調な攻め方になりやすい。そのため第3の球種がポイントなのである。投球割合が少ない球種を見ていく(表2)。
球種 | 球速 (%) | 回転数(rpm) | 横変化 (cm) | 縦変化 (cm) |
---|---|---|---|---|
4シーム | 100.0 (100) | 2488 (2263) | 18.0 (19) | 39.1 (40) |
カーブ | 86.7 (85) | 2778 (2494) | -21.8 (-24) | -31.5 (-23) |
2シーム | 99.5 (100) | 2438 (2142) | 29.9 (37) | 32.4 (24) |
チェンジアップ | 93.5 (91) | 1993 (1775) | 39.4 (34) | 5.7 (18) |
2018年シーズンのデータを分析。カッコ内はメジャー平均
2シームは4シームに比べ、小さく動くような球質だ。また、チェンジアップは高速に大きく沈んでいく球質である。2球種とも球速が速く、4シームとピッチトンネルを構成できるボールである。速球、カーブに加えてこれらのボールを織り交ぜることができれば、打者は球種を絞りにくく安定した投球ができるだろう。
参考:「ピッチトンネル」に関する詳しい解説はこちら
6年ぶりの日本一へ
速い速球に高速カーブをもつブセニッツ。変化の大きなカーブだけではなく、変化の小さい変化球を操ることができれば大きな活躍も期待できるかもしれない。中継ぎ投手陣がフル稼働しているチームの救世主になれるか注目したい。
【動画】ブセニッツのメジャー時代の投球
アラン・ブセニッツ プロフィール
1990年8月22日生まれ、28歳、右投右打、エンゼルス13-ツインズ16年途-楽天19
メジャー成績
2018年成績 23試合 4勝1敗 防御率7.82
Baseball Geeks編集部