平良海馬コラボ【中編】先発で挑む2023年シーズンの目標とは!?
球春が到来し、2023年のプロ野球が動き出した。今季の展望に胸躍らせる日が続く中、今回は昨シーズン61試合に登板し、最優秀中継ぎ投手のタイトルを獲得。そして、今シーズンは先発に転向し、2日の試合では7回9奪三振1失点の好投をみせた平良海馬投手を迎え対談を行った。
2022年シーズンを支えた新球種スプリット
森本:2022年でいうと新しい球種のスプリットにトライした1年だったと思います。感触はどうだったんですか?
平良:スプリットめちゃくちゃ良かったですね。最初はチェンジアップが抜けちゃって右バッターに投げづらかったんですけど、その分縦に落ちるイメージができたんでスプリットを投げ始めました。結局チェンジアップぐらいシュートしちゃいましたがそれでも感覚的には投げやすかったです。データ的にどうだったんですか?
森本:2022年のスプリットに関してはボール球が少ない分、すごく空振りが増えましたよね。(前編で)球種別の空振りも気になるっておっしゃってましたけど、カットボール・スライダーがメイン球種である中、もう1つの武器ができたっていうのはすごく大きかったんじゃないかなと思いますね。
神事:最初は「指が短いから投げれないんですよ」みたいなことを言ってましたけど、練習することで上手く感覚を掴めましたね。
平良:今はもうそういうイメージじゃないですね。指が短いから投げられないと思い込んでたんですけど、練習していったら2日目ぐらいでいい落ち方しだして。
神事:「こんな感じですか?」みたいな。
新たな武器の獲得へ
森本:オフに取り組んでいることでお話しいただいてもいいですか。
平良:YouTubeにも出してるんですけど、カーブとツーシームを新しく、先発もするということで投げたいなと思っています。そこで聞きたいことがあるんですけど、ツーシームは神事さん的に、僕いりますか?
神事:ツーシーム、、いります!
平良:いりますか!?
神事:先発になるというところで、投げる球種の数を増やしていきたいっていうのはあります。今だとスライダーがあってスプリットがありますが、逆方向に高速に曲がっていく、右バッターのインコースに食い込んでいくボールはないので、それがあるって思わせるだけでバッターは嫌なので。
平良:なるほど。YouTubeでアップしまくって、ツーシームのイメージを植え付けると(笑)
神事:ツーシームを投げると思わせて「なんだよ、インコースちょっとケアしなきゃいけないんだ」「外目付けだけじゃダメなんだ」っていうことが、さらにピッチングの幅を広げることかなと思います。
平良:完全に無くすっていうよりは、5%でもいいから全体で投げた方がいいってことですね。
神事:食い込んでくるボールが嫌な人もいるので、そういう人にはちゃんと投げきることは必要ですね。今の状況でも相当使えると思います。しかも、155キロのツーシームはまあ嫌ですよ。バット折れるの嫌だし。
平良:嫌ですねそれは。
神事:「わー、ツーシームきたよ」と思わせて、打球速度を下げさせる。弱い打球を打たせてアウトカウントを増やしていくというところだったり、三振ももちろん増やしたいところですけど、結果的にアウトカウントをどうやって取っていくのかの逆算をしていくことは大切ですね。
平良門下生の増加
森本:最近は「平良門下生」ならぬ、若手のピッチャーたちも続々来てくれてます。平良さんがおすすめしてくれたんですかね?
平良:後輩だけじゃなくてちょっと先輩にもいいとこありますよっていうおすすめを何人かしたりしてますね。
森本:でも平良さんと一緒にいるからかわからないですけど、「平良門下生」の選手たちも感度の高い選手が多いですよね?
神事:そうですね。ちゃんと話せるというか、コミュニケーションをとっていく中で、自分の感覚に気付いていったり。そういう意味では、ネクストベースアスリートラボに来てくれるっていう時点でオープンマインドというか、コミュニケーション取れる子たちが多いのはいいなと思いますね。
平良:(菊池)雄星さんが3年前に行っていたアリゾナでの取り組みを教えてくれて、そこから今僕がこういう成績を出してるので、いろんな人に広めていきたいなと思います。
森本:アリゾナの様子がテレビで放送された時に、ちらっと平良さんが映って、コメントでも「あれ平良じゃね?」みたいなやつがあって。まさに今それが逆転して平良さんにほかの投手がついてきてる感じですね。
2023年シーズンの目標
森本:ズバリ2023年の目標についてお伺いしたいと思います。いかがでしょうか。
平良:先発をするので、チームで一番のイニングを投げるっていうのが目標ですね。
神事:いいですね。
平良:ただ、今の自分のスタイルは三振を狙うスタイルじゃないですか。それだと球数が増えて、なかなかイニングが投げれない可能性もあると思うんですけど、多くイニングを投げるにはどうすればいいですかね?
神事:追い込んでからストレートだとファールの割合が多いので、追い込んだら速攻片付ける。初球どうやってストライク取るのか、次のボールをどうやってストライク取るのか。追い込んだら次はスプリットならスプリット、スライダーならスライダーで空振りを取る。空振りを奪える球種はその2つが多いので、その2つをどういう風に配分していくのか、今とやることはそんなに変わらないと思います。
神事:ただ、長いイニングを投げなきゃいけないってなった時に、ストレートの球速がどれぐらい落ちていくのかっていうところはチェックするポイントですね。今投げてる力感で9回行けます?
平良:正直やったことがないので、検証しながらやっていきたいなと。例えば、「ブルペンでラプソード見ながら球速落ちてるのか」とかっていうのも確認していきたいと思います。
神事:できる限り落とさないようにした方がいいですね。あとは「変化球投手だ」って言われてるくらい他の球種もいいので、他の球種をうまく使いながら長いイニング投げていく。
平良:じゃあスタイルを変えずに、長いイニングを投げるっていうのが目標で。
神事:さらに「ツーシームあるぞ」ってアピールを見せつけて。
平良:見せつけます!チームで一番投げて沢村賞取ります!
次回「平良投手のストレートの極意とは!?」
今回は、平良投手と22年シーズンと23年シーズンについて対談した。22年に活躍した球種で満足するのではなく、新たな球種の獲得など進化を止めない貪欲な姿勢を見ることができた。
後編では、平良投手のストレートの極意について迫っていく。
Baseball Geeks編集部