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MLB

【WBC特集】ダルビッシュの2022年データを分析!空振りを量産し自己最多タイの16勝を記録



目次
6球種を巧みに使い分ける
「打者の予想に反する」ボール変化量
空振りを奪えなくなった?
衰え知らずの大ベテランへ

不調だった2021年から一転、2022年のダルビッシュ有は充実した1年を過ごした。安定したピッチングでメジャー自己最多タイの16勝や2013年以来となる190イニング登板を記録、サイヤング賞投票でも8位にランクインした。WBC日本代表にも選ばれ、2009年以来の世界一も目指す。果たして2022年のダルビッシュはどのような投球をしていたのだろうか、トラッキングデータから分析を行う。
昨年の投球はこちらから:ダルビッシュの2021年データを分析!後半戦不調の要因はカットボールの制球?

6球種を巧みに使い分ける

まず、平均球速と投球割合を確認したい(表1)。4シームはメジャー平均を上回る球速であった。2021年よりも球速はあがっている点が大きなポイントだろう。また、投球割合が1番高いカットボールでも約3球に1球の割合であった。6球種を巧みに操ることで、打者に的を絞らせない投球ができていたといえる。
参考:「先発タイプ」ってなに?持ち球からその適性を考える

表1 ダルビッシュの平均球速と投球割合(データは2022シーズン終了時点)

「打者の予想に反する」ボール変化量

次にボール変化量をみていく(図1)。ほとんどの球種がメジャー平均とかけ離れた変化をしていることがダルビッシュの最大の特長だろう。例えば、4シームはメジャー平均よりもホップ成分が大きいボールが多く、カットボールとスライダーはメジャー平均よりスライド成分が非常に大きくなっている。他の投手にはない「曲がり方」をしていることで、打者を翻弄していたと考えられる。
参考:【2021年】メジャーリーグで投球される球質の特徴~ボール変化量とは~

図1 ダルビッシュのボール変化量

余談だが、この変化量プロットを反転させるとアフリカ大陸と似たような形になるといった話題がSNSで話題になった。このアフリカ大陸型のピッチデザインが今後話題になるかもしれない。

空振りを奪えなくなった?

続いて、リスク管理表をみていこう(図2)。完全アウト(三振+内野フライ)の割合がメジャー平均よりも高く、四死球割合が少なくなっている。また、今までの課題であった被本塁打割合もメジャー平均並となり、課題を克服したといえるだろう。

図2 ダルビッシュのリスク管理表

球種ごとのストライク取得状況を分析すると、スプリットで空振りを、カットボールで見逃しを多く奪えていたことがわかる(表2)。さらに、2ストライク時の三振率はスライダーを除く全球種でメジャー平均を上回っていた。多くの球種で三振を奪える状況を作っていたことが、復調をした大きなポイントといえるだろう。

表2 ダルビッシュの球種別ストライク取得状況

衰え知らずの大ベテランへ

ここまで、ダルビッシュの今シーズンを振り返ってきた。6球種を操る変幻自在のピッチングで三振の山を築き、エースとして大活躍する1年となった。2023年も2月にはパドレスと6年契約を発表、3月からはWBCに参加と充実したシーズンインとなっている。さらにパワーアップした投球を披露し、日本代表とパドレスを世界一に導けるかに注目だ。

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Baseball Geeks編集部