サイ・ヤング賞候補マノアを分析!デビュー2年目での受賞なるか
メジャーリーグ(以下、メジャー)の投手にとって、最も権威のある「サイ・ヤング賞」。今シーズンのサイ・ヤング賞は、日本時間11月17日に発表される。キャリアハイの成績を収めた大谷翔平(15勝9敗、防御率2.33)の受賞も期待されたが、惜しくもサイ・ヤング賞候補者とはならなかった。アメリカン・リーグの候補者に選ばれたのはアレク・マノア(ブルージェイズ)、ディラン・シーズ(ホワイトソックス)、ジャスティン・バーランダー(アストロズ)である。今回は、両リーグの中で最年少候補者(24歳)であり、大谷の勝利数・防御率を上回ったマノアの投球をトラッキングデータから分析していく。
4球種をバランスよく投げ込む
まず、投球割合と平均球速をみていく(表1)。
投球割合は4シームが3割強、スライダーと2シームが3割弱で、チェンジアップが1割ほどである。4球種をバランスよく投げ分け、打者に狙いを絞らせない投球をしている。球速はメジャー平均に近い球種が多い。ただし、スライダーはメジャー平均より低速なボールとなっている。
続いて、ボールの変化量をみていく(図1)。
投球の軸である4シームはやや「真っスラ系」の球質である。また、2シームとチェンジアップは4シームとの球速や変化量の差分が小さく、ピッチトンネルを構成しやすい球種となっている。球速の遅いスライダーは大きく横に変化する、いわゆる「ブーメランスライダー」であり、特に右打者から非常に空振りを奪いやすいボールである。
参考:【2021年】メジャーリーグで投球される球質の特徴~ボール変化量とは~
長打を防ぐ投球術を披露
ここで、リスク管理表をみてみよう(図2)。
完全アウト割合はメジャー平均を上回っており、他の候補者であるバーランダーやシーズと同様に三振を奪う事に長けている投手であるといえるだろう。
参考:奪三振の重要性とは!勝てる投手のリスク管理能力を分析
懸念点としてゴロ割合が低く、外野フライ割合が高いことが挙げられる。しかし、被バレル率は候補者の中で最も優秀な成績を残している(図3)。ライナーや外野フライといった失点リスクが高い打球こそ多いものの、打球速度の遅い平凡な打球が多いのかもしれない。また、QS(クオリティースタート)も31試合中25試合と候補者の中で最も多い。大量失点を防ぎ、先発の役割を果たす安定した投球を披露している。
ブルージェイズの若きエースは初受賞できるのか
ここまで、今シーズンのマノアの投球をみてきた。サイ・ヤング賞の最有力候補は、最多勝・最優秀防御率のタイトルを獲得したバーランダーとされているが、マノアは昨シーズンの5月にデビューした期待の若手エースだ。2年間の通算成績は25勝9敗とかなりの好成績を残している。今後の成績がどうなっていくのか、楽しみが尽きない。
- アレク・マノア
Alek Isaac Manoah
1998年1月9日生まれ 右投右打
トロント・ブルージェイズ(2021ー)
【MLB通算】51試合、25勝9敗、防御率2.60
Baseball Geeks編集部