佐々木朗希はシーズン奪三振記録を更新できるか?江夏豊のアンタッチャブルレコードに挑む
弱冠20歳、プロ14試合目の登板にして完全試合を成し遂げた佐々木朗希。完全試合を達成した試合では、プロ野球新記録となる13者連続奪三振やプロ野球最多タイとなる19奪三振も記録した。その翌週も8回完全14奪三振と、開幕から驚異的なペースで奪三振の山を築いているが、21世紀初となるシーズン300奪三振や日本記録である401奪三振を越える可能性はあるのだろうか。
本記事では過去の大エースたちと佐々木朗希を比較することで、偉業達成の可能性を検討していく。
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奪三振率は江夏豊やランディ・ジョンソンを上回る
はじめに、シーズンの奪三振記録について確認する(表1)。1995年以降の選手ではダルビッシュ有の276奪三振が最多。2位は田中将大と石井一久が同着となっている。日米で実績豊富なこの3名でも、300奪三振は達成していない。300奪三振は、1970年の江夏豊を最後に50年以上達成されていない記録となっている。
佐々木朗希の記録は4月19日時点(他の表も同様)
特筆すべきは、佐々木朗希の奪三振率がダルビッシュらを大きく上回っている点だ。この奪三振率はシーズン奪三振の日本記録を持つ江夏豊や、21世紀のメジャー記録を持つランディ・ジョンソンよりも高い数値となっている。今年の佐々木朗希は世界一のペースで奪三振を積み重ねているといっても過言でないだろう。
毎試合7イニング投げれば300奪三振を達成可能!?
では、佐々木がこのペースで奪三振を取れると仮定した場合、何イニング投球すれば日本記録を更新できるだろうか。簡単なシミュレーションを表2に示す。シミュレーションの結果、佐々木がダルビッシュと同じ投球回を投げることができれば、日本記録を上回ることが分かった。中6日の登板間隔では難しい投球回であるが、チーム事情や日程の関係で27登板できれば日本記録更新が見えてくる。
ダルビッシュは2011年、山本由伸は2021年の投球回
また、24先発・各7イニングと仮定すると、303奪三振という試算になる。故障なく中6日ペースを続ければ、52年ぶりの300奪三振は十分射程圏内だろう。仮に規定投球回に終わったとしても最多奪三振のタイトルは安泰だ。規格外の数字に驚きを隠せない。
佐々木朗希、衝撃の省エネ投法
では、佐々木はダルビッシュや田中のようにシーズンを通して長いイニングを投げられるのだろうか。本記事では好材料としてイニングあたりの球数を紹介する(表3)。
佐々木はイニングあたりの球数が13球を下回り、2011年の田中と比べても1イニングあたり1球以上少なくなっている。先日の完全試合も105球で達成しており、三振の多さと球数の少なさを両立できる稀有な投手といえる。この球数でアウトを取ることができれば、一登板あたりのイニング数も増えるため、奪三振記録更新も見えてくるだろう。
1995年以降、200投球回以上の投手を対象。
狼のようなスピードで鬼のように三振を奪え
本記事では、閃烈な活躍をみせる佐々木朗希がプロ野球記録である江夏の401奪三振を上回る可能性について、簡単なシミュレーションとともに分析を行った。この奪三振率のペースを維持できれば、アンタッチャブルレコードに手が届く可能性も十分にあり得る。
もちろん、このペースを保つという仮定は都合がよすぎるかもしれない。だが、それと同様に三振のペースが加速する可能性も忘れてはならないだろう。現に彼は誰もが予想だにしない圧巻の完全試合をやってのけたのだから。
Baseball Geeks編集部