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プロ野球

【動画あり】ロッテの新外国人ボルシンガーを分析!注目は伸びるカットボール!



目次
ボルシンガーはどんな球種を持っているのか
ボルシンガーのボールはどれくらい曲がるのか
ボルシンガーはどんな成績を残すのか

キーワード:新外国人、2018、ロッテ、マリーンズ、球種、変化球、球速、回転数、変化量、データ、Mike Bolsinger、マイク・ボルシンガー

マイク・ボルシンガー投手(以下、敬称略)は、最下位ロッテを建て直せるか
写真はWikimedia Commonsより(https://commons.wikimedia.org/wiki/File:MG_6285_Mike_Bolsinger.jpg)

昨シーズン最下位に沈んだロッテは、井口新監督が就任。高卒ルーキーを1軍キャンプに抜擢するなど再建ムードが漂っている。

そんな中、球団が新たに獲得したのがマイク・ボルシンガーだ。メジャー通算8勝右腕に懸ける期待は他球団の比ではない。

今回は、新外国人投手分析第6弾として、ボルシンガーの2017年のメジャーリーグでの投球を紹介したい。

ボルシンガーはどんな球種を持っているのか

カットボールが投球の中心

カットボールが投球の中心となっている珍しいタイプの投手だ。投球割合はカットボールやカーブが多く、次いでスライダー、4シームとなっている(図1)。

図1 投球割合。カットボールとカーブで約7割を占めている

最も投球の多いカットボールは、4シームの球速とほぼ同じ球速で投球される。打者からすると同じ球種に見えて手元で変化するように感じるボールだ。
また、対4シーム比である平均球速(%)が、89%と高速なカーブも特徴だ。日本では高速なカーブを操る投手が少なく、武器となる球種かもしれない(表1)。

表1 球速と投球割合。高速なカットボールとカーブが武器だ
球種平均球速
(km/h)
平均球速
(%)
投球割合
(%)
4シーム145
(150)
100
(100)
14
カットボール143
(142)
99
(95)
35
スライダー130
(136)
90
(91)
15
チェンジアップ133
(135)
92
(90)
3
カーブ128
(126)
89
(84)
33

カッコ内はメジャーリーグ平均

一方で、課題は4シーム自体の球速だ。平均球速は新外国人の中でも3番目に遅く、メジャーリーグ平均を大きく下回った。そのため対4シーム比の平均球速(%)では高値であった変化球も、それぞれの平均球速(km/h)でみると平均的な球速になってしまっている。

ボルシンガーのボールはどれくらい曲がるのか

多くのタイプのボールを投げ分ける

ボルシンガーは、ボールの球質にも特徴を持つ。4シームはホップ成分が小さく、シュート成分が多い球質だ。
最大の特徴はカットボールの変化量だ。ほとんど横変化がなく、真上に伸びていくような球質となっている。また、4シームよりもカットボールのホップ成分が大きな投手は珍しく、打者は見慣れないボールだ。(表2)。

表2 回転数とボール変化量。カットボールのホップ成分が4シームより大きい
球種回転数
(rpm)
縦変化
(cm)
横変化
(cm)
4シーム2109
(2255)
34
(43)
29
(22)
カットボール2119
(2150)
43
(24)
3
(-4)
スライダー2492
(2362)
-1
(9)
-22
(-12)
チェンジアップ1573
(1770)
29
(23)
26
(33)
カーブ2399
(2489)
-26
(-19)
-9
(-22)

カッコ内はメジャーリーグ平均

このようにボルシンガーは球種一つをみても特徴を持つが、持ち球の組み合わせも面白い(図2)。
参考:メジャーリーグで投球される球質の特徴~ボール変化量とは~

図2 各球種のボール変化量。縦のラインと横のラインのボールをそれぞれ投球する

一般的に、変化の方向は投球腕の振りに依存しやすい。例えばソフトバンクサファテ投手のような縦に振り下ろすフォームの投手は、縦のライン(図2でいう黄や緑がプロットされる位置)の変化をみせる持ち球が多い。

しかしボルシンガーは、縦のラインに変化をみせるカットボール、カーブ(図中黄と緑)と、横のラインに変化をみせる4シーム、スライダー(図中赤と橙)のように、それぞれ違うタイプのボールを投球する。イメージするなら、オーバースローの投手とサイドスローの投手のそれぞれのボールを両方有している投手なのだ。

異彩な球質で、劣る球速をカバーできれば、様々な打ち取り方が出来る投手に大化けするかもしれない。

ボルシンガーはどんな成績を残すのか

ボルシンガーは、ボールの変化量に特徴をもつ投手だ。
真上に伸びるようなカットボールや高速に落ちるカーブ、真横に滑るスライダーは単独でも武器となる上、多彩な打ち取り方が出来る投手だ。

一方で、メジャーリーグでネックとなっていたのはやはり球速だろう。変化量が大きいボールでも、球速が遅いと打者は対応しやすくなってしまう。メジャーリーグほど平均球速が高くない日本において、どれだけ通用するのか注目の投手かもしれない。

【動画】球速こそ劣るが、特徴的な球質のボールを投球する

メジャーリーグは年々球速が高速化していると言われている。
球速が遅い投手は埋もれていく可能性があり、ボルシンガーのように球速は速くなくとも球質に特徴を持つ投手は、今後の新外国人投手獲得のヒントとなるだろう。

ボルシンガーの日本での投球に今後も注目だ。

ボルシンガーのプロフィール

・1988年1月29日生まれ(30歳)
・右投右打 背番号86
・アリゾナ・ダイヤモンドバックス (2014)、ロサンゼルス・ドジャース (2015 - 2016)、トロント・ブルージェイズ (2017)、千葉ロッテマリーンズ(2018 - )
・2017年メジャー成績0勝3敗(メジャー通算成績8勝19敗)

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Baseball Geeks編集部