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MLB

【開幕直前】2021年の投手大谷翔平を分析!カギは投球コース?



目次
失点リスクの低い投球へ変化
中間球となった新球種カットボール
高めの4シームと低めのスプリットで空振りを奪う
開幕投手に決定!2022年も大注目!

ついに待ちに待ったメジャーが開幕する。今年もメジャーの球団に所属する日本人選手に目が離せない。特に、2021年に大きなインパクトを与えた大谷翔平はエンゼルスの開幕投手に決定しており、昨年以上に注目が集まっていることだろう

2021年の大谷は、圧巻のパフォーマンスだった。メジャー史上初の同一シーズンでの100安打・100投球回・100奪三振・100得点を達成し、ギネス記録にも認定されるほどの大きなインパクトを残した。
2021年の投手大谷は、チーム先発投手陣の中で最多となる23試合に登板。防御率3.18、156奪三振の成績を残し、チーム最多の9勝をマークした。打者大谷としての活躍も光り、見事リーグMVPを受賞した。

今回は、10試合に登板した2018年のデータと比較することで、2021年の進化について振り返っていく。
参考:2021年打者大谷翔平を分析!キャリアハイの要因は打球角度?

失点リスクの低い投球へ変化

完全アウト・ゴロ割合が60%を超える!

まずは、リスク管理表からみていく(図1)。
2021年のリスク管理をみると、完全アウト割合がメジャー平均を大きく上回っており、外野フライ割合はメジャー平均を大きく下回っていた。2018年と比較してゴロ割合が増加していることも注目すべきポイントだろう。完全アウトとゴロ割合の合計が60%を超えており、失点リスクの低い投球ができていたといえる。

参考:奪三振の重要性とは!勝てる投手のリスク管理能力を分析

図1 リスク管理表。2021年は、完全アウトがメジャー平均を大きく上回っている。

※メジャー平均は2021年のもの

新球種のカットボールがカギか

次に、平均球速と投球割合をみていく(表1)。
2018年との大きな違いは、カットボールを投球し始めたことだ。2021年はカットボールが全投球のうち12.2%を占めていた。その他の投球割合が減り、カットボールに分配されたとみていいだろう。

表1 各球種の平均球速と投球割合(2018年→2021年)

※2018年よりも増加しているものは赤、低下しているものは青。

大谷の4シームの投球割合は、メジャー平均(35.3%)を大きく上回っている。近年のメジャーでは、ダルビッシュ有や前田健太のように4シームの割合を減らし変化球の割合を高めることで、打者に球種を絞らせない投球をする傾向にある。4シームは最も失点リスクが高い球種であることがわかっている。2022年の大谷はどのような投球割合になるか注目だ。
参考:【2021年】4シームはリスクが高い?最新データから球種別の特性を探る

球速について、2021年の4シームの平均球速は2018年よりもやや低速になっていた。それでも、メジャー平均(150.8キロ)以上の球速を記録していることが大きな持ち味だ。また、スプリットの平均球速もメジャー平均(137.9キロ)を大幅に上回っている。速球に対する球速比もメジャー平均よりも高く、打者からすると4シームとスプリットの判別は相当困難であるだろう。
参考:奪三振を量産する大谷翔平の高速スプリットとは?

中間球となった新球種カットボール

次に、各球種のボール変化量をみていく(図2・3)。新球種であるカットボールは、メジャー平均よりもやや大きく横に変化するボールとなっている。大谷のスライダーは大きく横に曲がる、いわゆる「ブーメランスライダー」である。カットボールが4シームとスライダーの中間球のような役割を果たしており、非常に効果的なボールであるといえるだろう。

図2 2018年シーズンの大谷のボール変化量
図3 2021年シーズンの大谷のボール変化量

スプリットはシュート成分が非常に小さいため、打者は速球の真縦に落ちるように感じるだろう。ただし、大きくシュートしながら落ちるボールもみられ、シーズン途中に握り方を調整したことが影響を与えているのかもしれない。

また、大谷のスプリットは、2021年の「空振り/スイング率」が2位であった。スプリットを投球すれば、およそ2球に1球は空振りを奪っていることになる。また、2021年の大谷が三振を奪ったなかで最も多いのがスプリットだ。前述の通り、大谷のスプリットは高速で真下に落ちるようなスプリットである。この武器をいかに使っていくことができるか2022年も注目ポイントとなるだろう。

表2 メジャーのスプリットでの空振り/スイング率ランキング

※2021年にスプリットを300球以上投げた投手を対象。「空振り/スイング」はバントを除く

高めの4シームと低めのスプリットで空振りを奪う

最後に、4シームとスプリットの投球位置をみていく(図4・5)。
4シームの投球到達位置をみると、真ん中~非投球腕側(1塁側)の低めのコース付近にボールが集まっている。2021年の大谷の4シーム被打率は0.294と高い値を記録している。球速は非常に高速であるため、より投球コースが重要となるに違いない。

4シームで空振りを奪ったコースをみてみると、真ん中高めに集中していることがわかる。高めへの4シームは、近年のメジャーのトレンドとなっているが、大谷も高めの4シームで空振りを奪えている。高めへの投球割合を増やしていくことこそが、空振り量産のためのカギに違いない

図4 大谷の4シーム到達位置(左が全投球、右が空振り)

赤>白>青の順に投球された割合が高いことを表している。

スプリットは、投球腕側(3塁側)の低めを中心に投球されている。空振りを奪ったコースも同じようなコースであった。空振りが多いコースへの投球が多いことが、圧倒的な空振り率を記録した秘訣といえる。4シームを高めに、スプリットを低めに投球し続けられるかどうかが、2022年の活躍を大きく左右するだろう

図5 大谷のスプリット到達位置(左が全投球、右が空振り)

赤>白>青の順に投球された割合が高いことを表している。

開幕投手に決定!2022年も大注目!

今回は、2021年の投手大谷の活躍についてトラッキングデータより振り返ってきた。
打者として大注目を浴びた年であったが、メジャー移籍後キャリアハイとなる投球回数・奪三振数を記録し、投手大谷としても飛躍の年となった。

2022年開幕投手が決定している大谷。2022年シーズンも注目を集めることはまず間違いないだろう。2022年はより一層の活躍に期待したい。

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Baseball Geeks編集部