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MLB

ダルビッシュの2021年データを分析!後半戦不調の要因はカットボールの制球?



目次
オールスター後は、本塁打の割合が増加
多くの球種で球速が低下!
空振りを奪えなくなった?
来シーズンの投球に期待!

メジャーもレギュラーシーズンが終了し、ポストシーズンに進出するチームが決まった。ダルビッシュが所属するパドレスは、シーズン前に地区優勝が期待されていたが、残念ながら地区3位。ワイルドカード争いでも他チームと差を広げられ、ワイルドカードを逃してしまった。
参考:ダルビッシュが所属するパドレスってどんなチーム?投打のキーマンを紹介!!

今回は、ダルビッシュの今シーズンの投球を振り返っていきたいと思う。ダルビッシュは、今シーズンのオールスター前は、7勝3敗、防御率3.09であった。しかし、オールスター後は1勝8敗、防御率6.16と大きく成績が悪化している。
なぜ成績が悪化してしまったのかトラッキングデータからダルビッシュの投球を分析していく。

オールスター後は、本塁打の割合が増加

まず、リスク管理表からみていく(図1)。
オールスター前後で比較してみると、完全アウトの割合が大幅に減少し、本塁打が増加しているオールスター後の11試合61.1イニングで被本塁打が15本(オールスター前は18試合105イニング13本)あり、ここが上手く勝ち星を伸ばせていない原因と考えられるだろう。

図1 ダルビッシュのリスク管理表

多くの球種で球速が低下!

リスク管理から完全アウトの割合が減少し、本塁打割合が増加していることが分かった。では、実際に球質が変わっているのかみていきたい
まず、平均球速と投球割合だ(表1)。
各球種の平均球速をみていくと、ほとんどの球種で球速が低下していることが分かる。
投球割合をみていくと、オールスター前に1番多く投げていたカットボールが減少し、その次に多く投げていたスライダーと年々投球割合が低下していた4シームが増加している
参考:前田健太・ダルビッシュ有の開幕戦を振り返る!データからみえた課題とは?

表1 ダルビッシュの平均球速と投球割合の変化

※上段がオールスター前、下段がオールスター後。赤色がオールスター前よりも向上、青がオールスター前よりも悪化を示している。

次に、ボール変化量をみていく(図2・3)。
各球種の変化量に大きな変化はないことがわかる。4シームに関しては、むしろオールスター前よりもホップ成分が安定しており、向上している変化量が原因ではない可能性がある
参考:【2021年】メジャーリーグで投球される球質の特徴~ボール変化量とは~

図1 オールスター後のボール変化量
図2 オールスター前のボール変化量

空振りを奪えなくなった?

最後に、各球種のボール率・空振り/スイング率・ファール/スイング率をみてみる(表2)。
まず、ボール率だ。直球系のボール率は改善しているが変化球が悪化している。特に、投球割合が高いカットボールとスライダーのボール率が悪化している。カットボールは、オールスター前後で投球割合を減らしていることから上手く制御できてない可能性があるだろう
空振り/スイング率では、ダルビッシュの投球割合で多くを占める4シーム、スライダーの3球種で空振りを奪えていないことが分かった。特にダルビッシュの特徴である大きく曲がるいわゆるブーメランスライダーで空振りの割合が減少していることが完全アウト割合減少の原因なのかもしれない。

表2 各球種の1球ごとの結果

※上段がオールスター前、下段がオールスター後。赤色がオールスター前よりも向上、青がオールスター前よりも悪化を示している。

オールスターブレイクでの体調不良やケガも要因の1つであるだろう。また、ダルビッシュの投球割合で多くを占める4シーム、カットボール、スライダーの3球種だ。ボール率が増加しているカットボールや、空振り率が低下している4シームとスライダーは、変化量や平均球速をみても大きな違いはないため、オールスター後の不調の要因はコントロールの可能性がある。被本塁打の多さにおいてもいえるだろう。空振りを奪うことができるコースへコントロールすることがカギになるかもしれない。

来シーズンの投球に期待!

ここまで、ダルビッシュの今シーズンを振り返ってきた。今シーズンは、ポストシーズン進出を逃し、ダルビッシュも後半戦、ケガなどにより調子を落としてしまった。チームはポストシーズンでも勝ち進んでいける戦力が揃っているはずだ。来シーズンは、ダルビッシュの投球でポストシーズン、ワールドシリーズへ導くことができるのか注目だ。

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Baseball Geeks編集部